[GMEV] 逆転裁判15周年記念 オーケストラコンサート

5月6日に、「逆転裁判」シリーズの楽曲を演奏するオーケストラコンサート「逆転裁判15周年記念 オーケストラコンサート」が開催されました。
昼公演と夜公演の2回開催されたのですが、そのうち夜公演に行ってきたので、その感想を記します。
会場は、東京文化会館 大ホール。
18:30に開演し、20:50頃に終演しました。

■2008年以来9年ぶりでシリーズ勢揃いのオーケストラコンサート
逆転裁判のオーケストラコンサートは、今回が初ではありません。
2008年の春と秋に2回開催されています。
ただ、それ以来なぜか一度も開催されなかったため、今回のコンサートは実に9年ぶりということになります。
9年ぶりという月日の長さと、その9年間に一度も開催されなかったことに、改めて驚きを禁じ得ませんでした。

9年ぶりということもあり、その長い月日の間に「逆転裁判」シリーズ作品はいくつも発売されました。
5や6の他に、スピンオフ作品である「逆転検事」シリーズや「大逆転裁判」もありました。
今回の演奏会ではそれらが一堂に会して、満遍なく演奏されました。

なお、演奏と指揮は9年前のコンサートと同じで、東京フィルハーモニー交響楽団と栗田博文氏でした。

■編曲は岩垂徳行さんが担当
今回演奏された曲は、全て岩垂徳行さんが改めて編曲し直したものだそうです。
オーケストラアルバムなどで発表済みの曲も、今回用に改めて編曲されていました。
とはいえ、既にオーケストレーションされている曲については、その大部分を残したまま、少しだけオリジナルフレーズや音を追加した程度。
確かに新たに編曲し直されていることは明白でしたが、さりとて全く別物になっていたわけでもなく。
その既存のものを生かしたブラッシュアップ加減が絶妙で、今回のアレンジにも好感が持てました。

5や6、「逆転検事」、「大逆転裁判」など2008年のコンサート以降に発売されたゲームの曲については、今回オーケストレーション化されて披露されました。
5は昼の部のみの演目だったため夜の部では聴けなかったのですが、6や「逆転検事」「大逆転裁判」の組曲はようやく聴けたという感慨がありました。
特に「大逆転裁判」のOSTが好きなので、やっとオーケストレーションされたと非常に嬉しく思いました。

今回、岩垂徳行さんがゲストとして登壇されることはなかったのですが、ぜひ編曲の意図を伺いたかったです。
まぁ、真裏の東京ゲームタクトの方に参加されていたから、仕方ありませんが。

■とにかく重厚で勇壮で熱い演奏の数々
演奏は、どの曲もとても熱く格好良かったです。
9年前のコンサートで演奏された曲はもちろんのこと、今回初めてオーケストラで演奏された曲もとても良かったです。
ゲーム内の手に汗握るたぎる展開を彷彿とさせるような、熱い演奏でした。
夜の部だけとはいえ、鑑賞に来られて本当に良かったです。

鑑賞前は、自分都合によりあまり楽しめないかもと思っていました。
前日のニーアコンサートの余韻を引きずっていたことと、5月3日から4日連続で演奏会に行っていて疲労がピークだったこと、その上当日昼に別件の演奏会に行っていたことが重なり、存分に楽しめるほどHPに余裕がなかったのです。
そんなわけで、実は当初レビューを投下する予定はありませんでした。
体力的に書いている余裕はないだろうなぁ、と思っていたので。
それが一転して書きたいと思えたのは、ひとえに今回の演奏会が楽しかったからに他なりません。
実際にコンサートが始まったら、蓄積していた疲労や何やらがあっという間に吹っ飛びました。
逆にエネルギーをもらったような気さえします。

5日のニーアコンサートは切なさが大爆発していたけれど、今回の逆転裁判の方は楽しさが大爆発していました。
それぞれ別ベクトルで良かったのも、前日のコンサートを引きずらずに、こちらはこちらで純粋に楽しめた要因だったかもしれません。
こんなに楽しいのなら、昼の部も行っておけば良かったなぁと、終演後に軽く後悔しました。
昼の部のチケットも確保しておきながら、別件を優先して行かなかっただけに、余計に後悔が強かったです。

演奏中、ステージ上のスクリーンには、曲に合わせてゲームのプレイ動画が流れていました。
が、自分の座席が最前列だったためスクリーンを見上げる格好になり、ずっと見上げていると首が痛いことと、映像のフラッシュが目に痛くて見続けていると頭痛がするという事情により、映像はほとんど視界の外に追いやっていました。
曲が変わったときにチラッと、どんなシーンの曲に移行したのかを確認するために見たぐらいなので、具体的にどんなシーンが流れたのかは把握できませんでした。

■面白おかしい掛け合いカゲアナ&トーク
開演前に、成歩堂と御剣のとても楽しいカゲアナが入りました。
台本は、今回のために山崎Dが書き下ろしたもの。
結構長いカゲアナで、10分ぐらいかけてやっていました。

一応台本があったものの、蓋を開けてみたらかなりアドリブの入ったものになったそうです。
演出の都合により非常口の目印を消灯するから、今のうちに指を指して「ここだ!」と確認するように、という流れ以降、御剣の指示により観客にもそれを強要するという下りはアドリブだったそうです。
大きな声で「ここだ!」をしない限り何度でもやり続けると言われてしまったので、2回目で多くの人が「ここだ!」と叫んでいました。

また、成歩堂が途中で台詞を噛んでしまい、観客席から拍手が沸き起こっていました。
どうやら昼の部でも噛んでいたそうです。
近藤さん、ドンマイ。

演奏会中のゲストトークは、計3回ありました。

1回目のトークは、2曲目と3曲目の間。
ゲストとして、成歩堂龍一役の近藤孝行さんと、御剣伶侍役の竹本英史さんが登場されました。
登場早々に観客席がざわついていたのは、どうやら竹本さんの衣装が昼の部から変わっていたためだった様子。
近藤さんはややラフな黒のフォーマルスーツに対し、竹本さんはがっちりした白の正装でした。
昼の部は、一体どんな衣装だったのだろう。

近藤さんが終始素であったことに対して、竹本さんは終始御剣モードでトークされていました。
あの御剣の尊大な感じをずっと維持していました。
3回目のトークで「僕たちがキャラを引っ張っているのか、キャラに僕たちが引っ張られているのか」と近藤さんが仰られていましたが、ここでの竹本さんに関しては明らかに後者だったと思います。

トークは非常にフリーダムでした。
開演前に成歩堂と御剣のカゲアナがあったのですが、そこで近藤さんが噛んでしまったことを、この1回目のトークでひたすら謝罪していました。
個人的にはそこまで謝らなくてもいいのにと思ったり。むしろ、我々の業界ではご褒美です。

竹本さんは、物販にあったクラッチバッグを持参していました。
そしてそのバッグに話を振られると、バッグの正しい使い方についてレクチャーを始めました。
まずジッパーを開けて、中のものを取り出す。そこで出てきたのは、指揮棒という名のボールペン。
「次の曲はこれで指揮するから」と、栗田さんが逆に登場し難くなるような発言を、御剣口調でされていました。
# 実際には、次の曲は正規の指揮棒で指揮されました。そりゃそうだ。

2回目のトークは、第2部開始直後。
ゲストとして、「逆転裁判」シリーズのプロデューサーである江城元秀氏と、「大逆転裁判」の音楽を担当された北川保昌氏が登場。
「大逆転裁判」の音楽にまつわる制作秘話を披露されていました。

「大逆転裁判」の曲は、小物の音色を重要視して制作しているそうです。
オルゴールの一音一音やベルの音は、実際に鳴らしてそれをマイクで録音し、サンプリングして楽曲に取り入れていていると語られていました。

また、ディレクターの巧舟氏の要求が高く、成歩堂龍ノ介のテーマは17回もリテイクしたそうです。
話によると、6番目のものを作り直して12番目として提出し、それをさらに修正したものが最終形として採用されたとのこと。
「大逆転裁判2」でもやはり巧氏の要求が厳しくて、「その曲にアイデンティティはあるのか」と何度も指摘されているらしいです。

「大逆転裁判2」ではタップダンスの実際の音が取り入れられる予定だそうです。
その音の収録時の模様が、映像で公開されました。
音と同時にダンス時の人の動きもモーションキャプチャーで撮影していました。
かなり本格的なタップダンスで、音もダンスの動きもゲーム内でどのように使われるのか気になります。
ただ、実際にタップダンスを使う予定の曲は巧氏のOKがまだ出ていないそうで、本採用されるかどうかは未定と不穏なことを仰っていました。

3回目のトークは、本編最後の曲の前。
近藤さんと竹本さん、江城Pが登場されました。
各人から一言ずつコメントということで、トップバッターとして近藤さんに話を振られた途端、竹本さんがゴドーの曲の話をし始めていました。
近藤さんと竹本さんがステージ脇で演奏を聴いていて、ゴドーの曲が始まった途端に2人揃って「きたー・・・・」と同じ感嘆の声を漏らしたそうです。
ひたすら、ゴドーの演奏を絶賛されていました。

ちなみに、竹本さんは御剣のテーマ曲も絶賛していました。
ありとあらゆる美辞麗句を並べていて、さすがに近藤さんにツッコミを入れられていました。

なお、サプライズ情報は特にありませんでした。
「大逆転裁判2」の既出情報が改めてアナウンスされた程度です。

■〆は恒例の「異議あり!」
演奏会の最後の〆は、観客を含めた全員による「異議あり!」。
逆転裁判と言えば、これしかありません。
近藤さんの掛け声に合わせて「異議あり!」が叫ばれました。

逆転裁判のイベントの〆は大体これなのですが、これまでは気恥ずかしさであまりビシッとできないでいました。
ところが、今回はオーラスの曲で緊張が取れたからか、トークの掛け合いが楽しかったからか、はたまた最後の最後で近藤さんがまた噛んだからなのか、一番気持ちよく「異議あり!」を言えたような気がしました。

■感想まとめ
即興の小ネタがあちこちにあり、熱い演奏はもちろんのこと、トークも大盛り上がりで非常に楽しい演奏会でした。
ナンバリングタイトルだけでなく、「逆転検事」や「大逆転裁判」」まで網羅的に演奏してくれた点も、好感度の高いポイントです。
個人的な欲を言えば「王泥喜法介 ~新章開廷!」が聴きたかったところですが、今回の選曲も大満足でした。
ぜひ、次回の演奏会も期待したいです。
とはいえ、さすがに9年も待つのは長いので、せめて遅くとも5年後の20周年に開催してほしいです。

あと、昼の部でしか演奏されなかった曲が聴きたいので、ぜひ音源化をお願いしたいです。
「感動的だった」という「綾里真宵 ~逆転姉妹のテーマ」がすごく気になります。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。

[GMEV] 人形達ノ記憶 NieR Music Concert

5月4日から5日にかけて、「ニーア ゲシュタルト/レプリカント」(以下、とりあえずレプリカント)および「ニーア オートマタ」(以下、オートマタ)の楽曲を演奏するコンサート「人形達ノ記憶 NieR Music Concert」の東京公演が開催されました。
東京公演は全4公演で、そのうち5日昼公演に行ってきたので、その感想を記します。
会場は、よみうりホール。
12:00に開演し、14:05頃に終演しました。

■オートマタにフォーカスした選曲
今回演奏された曲(アンコール含む)のうち、およそ9割がオートマタの楽曲でした。
本編は全てオートマタの曲。
レプリカントの曲は、アンコールで2曲ほど演奏されました。
もっとも、レプリカントの曲というよりも、前回の演奏会「滅びのシロ 再生のクロ」からの再演と言った方が正しいかもしれません。

今回演奏されたオートマタの曲は、序盤で聴ける曲から3周目までプレイしないと聴けない曲まで幅広く選曲されていました。
それらの曲が、ゲームの序盤から終盤までのシナリオに沿うように並んでいました。
ゲームプレイ中に長時間耳にすることになるフィールド曲から、バトル曲やイベント曲、そして終盤に流れる印象的な曲まで、一通り網羅して2時間の中に凝縮したような感じです。

そして、どの曲も神曲でした。
そもそもOSTの時点で神曲ばかりのオートマタですが、その中から選抜された曲なので、神曲ばかりにならないわけがありません。
確かに「あの曲も聴きたかったな」という思いがないわけではありません。
が、言い出したらキリがないし、今回のセットリストに関しては全く不満を感じませんでした。
むしろ、「これを演奏してくれるのか」という感謝の気持ちの方が強かったです。

レプリカントの曲が少ない点に関しては、人によっては不満があるかもしれません。
が、レプリカントの曲は前回の演奏会でこれでもかと演奏されているし、そのときの模様を収めた円盤も発売されているので、その点については個人的には特に問題にはなりませんでした。
ほんの少しだけ「レプリカントの曲が少ないな」と感じたぐらいです。
レプリカントは他で補えるので、今回はオートマタが主体の選曲で正解だったと思います。

■休憩なしの2時間ぶっ続けがあっという間に過ぎていった件について
演奏は、どの曲も非常に迫力のある素晴らしいものでした。
選曲も神がかっていたならば、演奏も神がかり的でした。
どこを切り出しても神演奏ばかりで、息つく暇もないほど。
気が付いたらあっという間に本編が終わり、アンコールも終わってしまっていました。
ものすごく集中して鑑賞していたように思います。

通常、1時間を超えるようなクラシカルスタイルな演奏会では、途中に15~20分間の休憩時間が挟まれるものです。
が、今回はそれがなく、休憩なしで2時間ぶっ続けの強行軍を決行していました。
それなのに、途中でダレることも飽きることもなく、本当に2時間があっという間でした。
鑑賞後の疲労感は皆無とは言いませんが、疲労感よりも充実感の方が強かったです。
そして、むしろもっと他の曲も聴きたいという欲求の方が勝っていました。

演奏を鑑賞しながらずっと、ゲームで描かれた各種イベントの記憶や、プレイ中に感じた感情のあれこれが自然と呼び起されていました。
あのイベントの切なさや、このエンディングの感動など、あまりに色々な喜怒哀楽(ほとんどが哀ですが)が呼び起されてしまい、今自分の感情が上手く整理できていません。
まして、そこに演奏の感動が加わったものだから、より一層カオスな状態に。
言葉では言い表そうとしても複雑過ぎて、なんかこう、もう、「ああああぁぁぁぁ!!」としか言えない感じです。
もっとも、選曲も演奏も良い意味で刺激的だったことによるものなので、むしろしばらくその余韻に身を委ねておきたいような気もします。

■マニピュレーターの本領発揮
楽器の編成は前回に引き続き、非常にシンプルでした。
弦楽器4人(ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロ)+ピアノ+ギター、それにマニピュレーター。
おそらく、「滅びのシロ 再生のクロ」と同じ編成かつメンバーではないかと。

編成はシンプルでしたが、非常に厚みと重みのある音色でした。
そのあたりは、マニピュレーターの貢献度の高さが反映されていたのではないかと。
レプリカントに比べオートマタのBGMは、音数も音の種類も増えているので、前回以上にマニピュレーターが大活躍していました。
特に打楽器パート。
曲を演奏する上でどうしても外せない打楽器音は、マニピュレーターが一手に引き受けていました。
そのおかげでしょうか、ものすごく迫力のある演奏になっていたと思います。

それと、弦楽器(特にヴァイオリン)の音の伸びも、鑑賞していて気持ちが良かったです。
抒情的に切なく鳴き響く弦楽器の音色に強く心を刺激されて、涙を誘われました。
特に終盤の、朗読劇 第三幕から第四幕の間の曲で響く弦楽器の音色が、たまらなく切なかったです。

■小規模編成に違和感のないアレンジ
原曲はオーケストラのような大規模編成に向いているような曲ばかりですが、今回の演奏会の編成は小規模。
マニピュレーターが入っているとはいえ、それだけではどうしても補えない部分はあります。
どうしても、原曲から今回の編成に合わせた編曲は必要になります。

が、今回演奏された曲はどれも、鑑賞中「あれ、ほぼ原曲のままじゃないか?」と錯覚するほどに、違和感のないものになっていました。
確かにアレンジされていることは分かるのだけど、違和感があまりにも仕事をしませんでした。
それくらい自然なアレンジであり、演奏でした。

その違和感の仕事しなさがゲームプレイ時の記憶を如実に呼び起こす切欠になり、感情のカオス状態からの涙腺大ダメージなりました。
あまりにも違和感のないあの編曲は、地味に凄かったです。

■主張しないが涙腺を刺激する映像の数々
今回の演奏会ではスクリーンに映像が投影されていたのですが、これが程良い映像でとても好感が持てました。
自分は演奏会に映像は不要派(聴覚が疎かになるからという理由による)なのですが、今回の映像だったら十分にアリだと思います。

まず、映像が視界に入ってきても邪魔にならないのが、とても良かったです。
あくまで主体は演奏で、映像は演奏の盛り上げ役に徹していたような感じです。
主張の強くない、動きの少ない映像が多かったような印象があります。

それでいて、演奏と映像が合わさるととんでもないパワーを発揮していました。
演奏だけでも感動的だったのに、映像が加わることでより強い感動を与えられたような気がします。
こういう映像の使い方だったら、自分も映像容認派になってもいいなぁ。

■オートマタの世界観を掘り下げる朗読劇
演奏会中にところどころで、声優陣による朗読劇が挟み込まれる演出がありました。
この公演で登場したキャラクターは、2B(CV.石川由衣さん)、9S(花江夏樹さん)、ポッド042(安元洋貴さん)。
話の内容は、ゲームのシナリオに沿って、9Sの心情の変遷を描いたものでした。
というわけで、主役は9Sと受け取りました。
ちなみに、ポッド042(というか安元さん)は、ポッド042というよりもナレーションのようなポジションでした。

序盤の明るく人懐っこい9Sが、シナリオの進行に従って変わっていってしまうのが、ゲーム同様に辛かったです。
特に9S(花江さん)の迫力ある負の感情の演技が見事で、ざっくりと心を抉られました。

回によってシナリオが異なるらしいので、円盤化する際には、各回の朗読劇を網羅的に収録してほしいです。
5日昼公演の朗読劇で初めて9Sが殺されなかったとカーテンコールの時に花江さんが仰っていて、それで他の回が気になったので、ぜひとも検討をお願いします。

なお、朗読劇ではありませんが、5日昼公演の開演前カゲアナは9Sと2Bでした。
9Sが前振りをして、2Bが注意事項を読み上げ、そして最後に9Sと2Bが仲良く(?)やり取りをするような、そんなほんわかしたカゲアナでした。
開演前の頃は、平和だったなぁ。。。

■感想まとめ
とにかく素晴らしい演奏会でした。
と、どんなに言葉を連ねても自分の拙い言葉使いでは感想を伝えきれないので、結論を言えば、

【推奨】ニコニコ生放送のタイムシフト視聴。

に尽きると思います。
百聞は一見に如かず、です。
ニーアのゲームが好き、もしくは曲が好きであれば、問答無用でタイムシフト視聴した方が良いレベルです。
今回の演奏会の円盤が発売されるかどうかは現時点では不明なので、もし迷っているのであれば視聴する方をオススメします。
タイムシフト視聴期間は、2017年5月28日までだそうです。

あと、今回の演奏を何度も鑑賞したいので、ぜひ円盤化をお願いします。
その暁には、朗読劇を全て収録してほしいです。
2枚組になって値段がやや高くなっても、おそらく買うと思います。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。

[GMEV] GAME SYMPHONY JAPAN 23rd CONCERT

5月3日に、ゲーム音楽をオーケストラで生演奏するプロジェクト「GAME SYMPHONY JAPAN」(以下、GSJ)の第23回演奏会「PlayStationを彩るJAPAN Studio音楽祭2017」(以下、Jスタ音楽祭)が開催されたので行ってきました。
会場は、ミューザ川崎シンフォニーホール。
18:00に開演し、20:50頃に終演しました。

演奏は、東京室内管弦楽団と東京混声合唱団。
指揮は、志村健一氏。
曲によっては、東京少年少女合唱隊やプロの奏者が参加されていました。

■歴代のSIE作品が一堂に会した音楽祭
今回の演奏会は「Jスタ音楽祭」の名の通り、オールSIE(元SCE)作品によるオムニバス形式。
SIEがこれまで発売してきたゲームタイトルの数々の曲が演奏されました。
その数、ざっと16タイトル。
タイトルの数だけで、SIEの太っ腹っぷりが見える化されていました。

プログラムの構成は、全3部構成。
第1部は、PS初期の作品の中から、今も語り継がれている名曲ばかりをピックアップ。
第2部は、キャラクター性やゲーム性に特徴のある作品が勢揃い。
第3部は、上田文人Dの作品とGRAVITY DAZEシリーズで固めていました。

全体的な雰囲気は、確かにいかにも音楽祭という雰囲気でした。
とにかく楽しませることを前面に押し出したような演奏、演出目白押しで。
特に第1, 2部でその傾向を強く感じました。
まるで学園祭のステージイベントを鑑賞しているような気分になりました。

第1部で、SIE作品といえばこの曲という、SIEを語る上では外せない名曲を単品もしくはメドレーで演奏して、観客を心をギュッと鷲掴み。
そこに続いて第2部では、SIE作品の名物キャラクターを取り揃えて、あれやこれやのどんちゃん騒ぎ。
ピポザル、トロとクロ、パラッパが曲に合わせて登場して、場を盛り上げます。
その様は、まさに「祭」でした。

第3部はメインディッシュ。
どの曲も、じっくりしっかりがっつりしみじみ聴かせる演奏でした。
第1, 2部で気分を盛り上げてからの第3部突入で、興奮が途切れることなく、最後まで気分が高揚した状態で鑑賞できたように思います。

■楽しい演出と迫力の演奏と
第1部では小曲を、第3部では大曲をじっくり演奏されましたが、どの曲も確かな技術力で演奏されていて魅了されました。
曲に合わせて力強さや繊細さが使い分けられた演奏で、生演奏ならではの迫力や臨場感がしっかり感じられました。

第2部は、とにかく観客を楽しませることに専念したパートでした。
演出がとにかく楽しくて、見て楽しいし聴いて楽しいかったです。
SIEの総力を結集して、いかに観客を楽しませるかに全力を注いでいたようにも感じられました。

また、第2部の曲は、その特徴的過ぎるゲーム性からBGMもまた特徴的だったので、よく演奏しきったなぁと感心しました。
そもそもオーケストラで演奏することを想定されていない曲ばかりですし。中にもラップもありますし。
演奏するという観点で言えば、第1部や第3部の曲よりも、ずっと難しかったのではないかと思います。
プロの技って、やっぱりすごいのだなぁと、改めて実感しました。

■原曲準拠の編曲と演奏
今回の演奏会で、自分が意外とSIE作品をプレイしていないことを再認識しました。
今回演奏されたゲームタイトルの中で最後までプレイしたことのあるものは、「ワイルドアームズ」「俺の屍を越えてゆけ」「パタポン」「どこでもいっしょ」ぐらい。
ただ、OSTで聴いていたり、PV等で耳にして妙に印象に残っていたり、そういった曲もいくつかありました。
その反面、ゲームも曲もよく知らないものも多かったのですが。

そのため、原曲からどれくらいアレンジされていたのか明確にわからないものもあるのですが、知っている曲に限って言えば原曲を忠実に再現したものがほとんどでした。
オーケストラで演奏するために必要な編曲はありましたが、それでもなるべく原曲に近付けようとしていたように感じました。
例外的に、オーケストラ映えするようにややアレンジの強い曲もありましたが、数は多くありませんでした。

■豪華ゲストが続々登場
開演の30分ほど前から、プレトークが開催されました。
SIEの方が2名(すみません、お名前がわかりませんでした)と、GSJ顧問の作曲家の方が3名(坂本英城さん、なるけみちこさん、岩垂徳行さん)が登場。
さらに途中で、田中公平さんまで参加されていました。
なに、この豪華な面々。

話の内容は主に、今回の演奏会で披露されるゲームタイトルにまつわる思い出話やBGMの制作に関すること。
詳細はあまり覚えていないというか、ホールの反響音が強い上に座席位置がよくなかったため、声がほとんど聞き取れませんでした。

その後、開演中も豪華なゲストが続々登場。
原曲でも参加された方がそのまま歌声を披露されたり、著名なプロの演奏家さんが参加されたり、ゲーム制作のディレクターさんが登場されたりと、とにかく豪華。
こんなにゲストが一堂に集まるなんてそうそうないし、今後もあるかどうかわからないのではないか、というくらいの豪華さでした。

■感想まとめ
今回の演奏会を総合すると、「Jスタの総力を結集して催された音楽祭という名のエンターテインメント」ではないかと。
うん、観客を喜ばせるためにあれやこれやと手を変え品を変えて様々な曲が披露されたところは、まさにエンターテインメントでした。
また、GSJの音楽力とSIEの全面的なバックアップのwin-winな関係だけでなく、さらに観客も楽しいというトリプルwinの理想的な関係が、そこにありました。
演奏も演出も楽しかったし、これはとても良い演奏会だったので、ぜひ今後も定期的に開催してほしいです。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。

[GMEV] BRA★BRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO 2017 with Siena Wind Orchestra

FINAL FANTASYの楽曲を吹奏楽で演奏される公式コンサート「BRA★BRA FINAL FANTASY」(以下、BBFF)が、今年も全国各地で開催されています。
そのうち、4月22日に開催された埼玉公演に行ってきましたので、その感想を記します。
会場は、大宮ソニックシティ 大ホール。
開演は14:00で、終演は16:25頃でした。

■「とにかく楽しむゲーム音楽コンサート」がコンセプトのユニークなコンサートシリーズ
BBFFには、昨年の2016に引き続いての参加。
今回、東京公演を選択せずに、わざわざ埼玉公演を選択したのは、

・土曜日の昼開催
・大宮は、自宅からそれほど遠くなく、交通の便も良い
・チケットの競争率が、東京公演よりも高くなさそう

という好条件が重なった結果でした。

もっとも、結果的に競争率はあまり気にしなくても良かったようですが。
当日券が発売されても、なお空席がちょっと目立っていました。
DQの吹奏楽コンサートが、時間的にも真裏で、かつ同じ埼玉県内で行われていて、それで客足が分割されてしまったようです。

BBFFのコンセプトは「とにかく楽しむゲーム音楽コンサート」。
手拍子OK、曲の終わりに軽率に「ブラボー!」と叫んでもOK、もちろんじっくり曲に集中するのもOK。
個々人の楽しみたい形で楽しめる、堅苦しさの全くない、非常に気楽なコンサートでした。

その気楽な場の雰囲気を作り出していたのが、FF音楽の生みの親の植松伸夫氏。
今回は製作総指揮という肩書にも関わらず、前説やMCすらも自らでこなす八面六臂っぷりを発揮。
さらに植松氏のユーモラスな人柄もあってか、場の雰囲気を温かくする一助であったような気がします。
今回演奏される曲の生みの親が「自由に気楽に楽しもう」と言っているのだし、じゃぁ楽しもうか、という気分にさせられました。

■「とにかく楽しむ」にしては、意外と守られていた参加者マナー
それくらい気楽で自由なコンサートにしては、最低限のマナーは守られていました。
フライング拍手&フライングブラボーをしない、演奏中の耳障りな雑音は極力控える、静かな曲やしっとりした曲は静かに聴く、などといった点はきっちり死守。
それに加えて、手拍子にしても、指揮の指示に従って控えるところ(ソロが入るため)や、曲が終わる指示が入ったところは、綺麗に揃っていました。
この揃い方が本当に見事で。誰一人ズレることがなかったところがすごかったです。
参加者のみなさん、熟練者揃いなのか完璧に調教され過ぎ。まぁ、自分もだけど。

ほんの少し前に、Twitterで「コンサートで軽率にブラボー!を叫びたい」「もっとノリノリで演奏を楽しみたい」というツイートが流れてきましたが、それを現実にやってみせたような演奏会でした。
楽しむところはみんなで大いに楽しんで、それでも最低限のマナーは守るという、演奏会の理想形の1つのように思えました。

■アルバム「BRA★BRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO 3」をベースにした曲構成
演奏された曲は、基本的にアルバム「BRA★BRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO 3」(以下、BBFF3)に収録された曲でした。
演奏曲の8~9割はBBFF3の曲で、数曲だけ1, 2から選曲。
BBFF3発売合わせのコンサートツアー(もしくはコンサートツアーに先駆けて発売されたBBFF3)なので、演奏される曲の大半がBBFF3の曲ということは予想できていましたし、その選曲や曲の並びにも特に不満はありませんでした。

ただ、BBFF3に収録された曲は全部演奏された点は、少し意外でした。
てっきりBBFF3に収録されていても演奏されない曲が、きっと1, 2曲あるのだろうなと思っていたので。

アレンジは特になく、ほぼBBFF3のアレンジのまま演奏されました。
あるとしたら、ほんの少しの音のバランスの違い程度です。
座席位置とホールの響きと生演奏によるものと思われるので、些細な違いです。

■難局も鮮やかに魅せた吹奏楽の良さ
演奏は、アルバムと同様にシエナ・ウィンド・オーケストラ(以下、シエナ)が担当。
指揮は、ゲーム音楽の演奏会ではもはや常連の、栗田博文氏。
鉄板の組み合わせでした。

この組み合わせのため、演奏は超高品質。
素人の自分が聴いても難しそうにしか思えない曲も、その高い技術力で見事に演奏しきっていました。

また、迫力も満点で、終始圧倒されるほどの音の力を感じました。
生演奏かつ吹奏楽だからこその迫力でしょうか。
CDで聴いていただけでは味わえない迫力です。
単純に音を耳で聴くのではなく、全身に打ち付けてくるものを感じるような、そんな感覚でした。
吹奏楽の面白さと底力を、これでもかと見せつけられたような気がしました。

BBFF3のアルバム収録曲をそのまま演奏されたためか、BBFF3のアルバムを聴いた時と生演奏を鑑賞した時の曲の印象の違いを、如実に感じられました。
今回の演奏会で楽器演奏を直接聴いて、CDで聴いたときと印象がガラリと変わった曲もありました。
生演奏は、やはり良いものです。
生音に包み込まれる感じが、非常に心地良かったです。

■来場者参加企画が今年も目白押し
今回の演奏会でも、来場者参加企画が多数用意されていました。
客席で気軽に参加できるものもありましたし、アンコールではステージに上がって演奏に参加できる曲までありました。
どの参加型企画も楽しかったです。
客席周囲の方々も、笑い合いながら参加していて、実に楽しそうでした。

当然、参加しないという選択肢を選ぶこともできました。
好きなスタイルで、自由に好きなように楽しめるのも、このコンサートの醍醐味だと思います。

■感想まとめ
演奏者側からも、観客席側からも、これほどまでに「楽しい」オーラを放出しまくっている演奏会も珍しいと思います。
それくらい、会場全体が曲を楽しんでいました。
それほどまでにFFの曲が愛されているということを、ひしひしと感じた演奏会でした。
とてもユニークで、楽しかったです。
生演奏の素晴らしさを気軽に気兼ねなく楽しめるので、「ゲーム音楽は好きだけど、クラシックスタイルの演奏会は堅苦しそうで・・・」と感じている方でも簡単に飛び込める演奏会だと思います。
最初の一歩には、ちょうど良いのではないでしょうか。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。
今後、別の公演に行く予定で、それまでセットリストを知りたくないという方は、ご注意ください。

[GMEV] モント・トレーネン・フィルハルモニカー演奏会 -古の記憶 魂の調べ-

4月15日にMond Tränen PhilharmoNikeR(モント・トレーネン・フィルハルモニカー、以下「月オケ」)の演奏会「-古の記憶 魂の調べ-」が開催されたので、行ってきました。
会場は、練馬文化センター 大ホール(こぶしホール)。
開演は13:00で、終演は16:00頃でした。

■ニーア好きによるニーアの楽曲好きのための企画オーケストラ
この月オケは、スクウェア・エニックスより2010年に発売されたA・RPG、Xbox360用の「ニーア ゲシュタルト」およびPS3用の「ニーア レプリカント」(以上2作品を、以下「ニーア」とする)の楽曲を演奏されるために結成された有志オーケストラです。
そのため、今回演奏された楽曲は、アンコールも含めてほぼ全てニーアの曲でした。
例外が1曲だけありましたが、ニーアの世界観を考えるとニーアと無関係とも言い切れない曲なので、あれはあれでとても効果的でアリだと思います。

ちなみに、自分は「ニーア レプリカント」の方をDエンドまでクリア済みです。
と言っても発売直後にプレイした古参ではなく、わりと最近プレイしたばかりです。
ニーアが発売された直後から「曲が良い」という評判を耳にしてOSTを購入し、その美しくも儚い曲の数々に魅了されてゲームにも興味を持ったのがキッカケです。
ただ、PVを見た時点ではあまりに難しそうに見えて、なかなか手が伸びないまま数年経過。
そんなときに、昨年の2016年、公式による演奏会「滅びのシロ 再生のクロ」が開催。
それを機に「いっそプレイできそうにないなら、せめてネタバレサイトで情報を漁ってシナリオだけでも軽く把握しておこう」と考察サイトを見てみたら、退廃的・終末的な世界観や容赦のないシナリオが非常に自分好みだとわかって、ようやくゲームをプレイした次第です。
なんだかアプローチの道程が色々間違っている気がしないでもないのですが、この件に関しては仕方ないと思っています。

ついでに言えば、PS3パッケージ版は釣りで1回詰み、その後友人の助言を借りてなんとか先に進められたものの、某ダンジョンの試練でもう1回詰んでいます。
その後、PS Nowでストリーム配信が開始されたので、プラットフォームが変わればクリアできるかもと一縷の望みをかけて再プレイして、3度目の正直でようやくクリアしました。
クリア後にもう一度再プレイしたいと思いつつも、釣りと試練がどうしてもネックとなっていて、その気力がいまだに出せずにいます。

そんなことはともかく。
今回の演奏会には、どうやらゲーム未プレイでも曲が好きで来られた方がたくさん居られた模様。
開演前や休憩時間中に周囲から、ゲーム未プレイと思われる連れに対して「ニーアはこういうゲームでさ」とか「あれはこういう場面のシーンで流れる曲でね」などと熱心に説明している声を、他の演奏会以上によく耳にしました。
確かに、自分がもしゲーム未プレイだったとしても、曲は大好きだったので、おそらく今回の演奏会には来ていたと思います。
ニーアオンリーで、しかも無料の演奏会ですよ、行かない手はありません。

■企画オケとは思えぬ演奏の完成度の高さ
有志による無料の企画オケ、ということもあって、正直なところ開演まで演奏の質については過度の期待をしていませんでした。
過去にも企画オケには何度も足を運んでいますが、演奏技術的に表現の難しい部分は情熱と勢いでカバーしているケースが多かったので。
また、ゲーム音楽の多くの例に漏れず、ニーアの曲もまた、演奏することを想定されていない難しいもののように思ったので。
そのため、開演前は「楽しめれば良いか」程度の軽い気持ちでいました。

が、いざ演奏が始まってみたら、演奏の質がめちゃくちゃ高くて驚愕しました。
有志オケによる無料の演奏会とは思えないぐらいに、演奏がハイレベル。
楽器の演奏もコーラスの歌声もものすごく丁寧で、最初の一音から最後の一音まで気を抜くことなく確実に演奏されていました。
また、調和にも気を使われていて、音の響きが崩れることなく常に美しかったことも印象的でした。

確かに、音が不安定になったり外していたりしていたところも皆無ではありませんでしたが、おそらく数えられる程度だったかと。
それくらい、しっかりと丁寧にまとめられた演奏になっていました。

またニーアの楽曲の特徴でもある感情的な表現も豊かで、穏やかなところ、切ないところ、狂気じみたところが、確かに音に反映されていました。
特に喪失感や攻撃性、狂気などの負の感情が発露する曲の演奏は、鳥肌ものでした。

これまで行ったことのある有志の企画オケと比べても、相当上位に入るくらいの高レベルな演奏でした。
これを超える企画オケなんて、そうないのではないかと。

ニーアの世界観をすごく大事にされている雰囲気が音の一粒一粒から感じられて、あの世界観が好きな身としては嬉しく思いました。
「楽しめれば良いか」なんて軽く考えていて、本当にすみませんでした。
演奏会が終わった今となっては、高品質で演奏してくれた感謝の念とともに平身低頭したい気分です。

■ニーアを描く上で欠かせないコーラス隊の活躍
今回の演奏会で特に活躍されていたのが、コーラス隊だったと思います。
その歌声のハーモニーがとても素晴らしくて、すごく綺麗な響きでした。
ニーアの世界観にとてもマッチした、脆さ、儚さ、曲によっては力強さと破壊衝動、それらがコーラスによって見事に描かれていました。
どれほど練習されたのかわかりませんが、トレーナーさんが付いて、すごく丁寧に細やかに練習されたのではないかと思います。
それが垣間見えるような、そんな美しい響きでした。

また、有志でコーラス隊を結成すると、声質的に他の人と混ざり難い声の持ち主が一人や二人はいて、その声だけが悪目立ちしてしまうことがよくあるものですが、今回それがなかったのも印象的でした。
コーラス隊全員の歌声が一体となってホール内に広がっていく様は、鑑賞していて気持ちが良かったです。

■的確かつ精確な指揮
今回の演奏会の指揮は、後藤正樹氏。
後藤氏の指揮は久しぶりでしたが、相変わらず見事なまでに的確で精確な指揮だったと思います。
その的確さは、音楽素人の自分にもわかるくらい。
どの曲の演奏時だったか忘れてしまいましたが、少しだけ大きな一音を出していた楽器に対して即座に指示を出したっぽい後、次の一音ではちゃんと抑えられた音になっていたところが、すごく印象に残りました。
全体の音を客観的に、かつ瞬時に把握して、バランスや表現を調整する、それが指揮者の役目かと、その指揮姿を眺めながら思いました。
指揮者の楽器はオーケストラだと、どこかで耳にしたことがありますが、今回の指揮を見てその言葉をふと思い出しました。

それにしても、後藤氏の指揮は、何度見てもやっぱり好きです。
理由はよくわからないのですが、何故だか魅了されるものを感じます。
全体を瞬時に把握して、その場の最適解を即座に導き出し、的確に指示を出されている頭の回転の速さは、いつも見てもすごいなぁと思うのですが、それだけではないような気もします。
他の指揮者の方々に比べ、感情よりも理性が強いというか、理性で感情をコントロールしているような印象を受けるのですが、そこにも不思議な魅力を感じています。

ただ、今回一瞬だけ妙に印象に残ったシーンがありました。
3曲目か4曲目だったと思うのですが、メドレーの曲と曲の間が少し空いたところでフライング拍手がパラパラと起こった瞬間に、後藤氏が客席の方を一瞬だけ睨んだように見えたところです。
おそらく無意識の反応だったような気もしますが、あまりにも眼光が鋭くて、そこに演奏に対する素の感情の一片が垣間見えた気がして、その一瞬がすごく印象に残りました。
とはいえ、その鋭さからそれだけ真剣に曲や演奏と対峙されている感じがして、逆に好感度が上がりましたが。

ちなみに、ある曲の最中に指揮棒を吹っ飛ばすというアクシデントもあって、そこもある意味印象的でした。
後方の客席からも、放物線を描く指揮棒がばっちり見えました。

■ニーアの物語を考え尽くされた曲構成
曲の構成は、ゲームのシナリオをなぞったものになっていました。
第1部はゲーム前半(レプリカントで言えばニーア少年期)、第2部はゲーム後半(レプリカントのニーア青年期)、第3部は決戦、という構成。
その構成もまた、演奏同様に完成度が高くて、すごく練り込まれたものでした。

その完成度の高さは、曲と曲の間の拍手に困ったほどです。
演奏に感動した想いを伝えたくて拍手したい気持ちがありつつも、拍手せずにこのまま続けて演奏を聴きたい気持ちもあって、一曲演奏が終わる度に葛藤がありました。
こんなに拍手一つで戸惑った演奏会は初めてかも。

また、非常にゲームに忠実な構成だったためか、ゲームプレイ時の記憶とのシンクロ率が半端なかったです。

第1部と第2部は、わりと冷静に鑑賞できていました。
あんなイベントがあったなぁ、その後にそんなシーンもあったなぁ、と、思い出を掘り起こしながらゲームを追体験している気分でした。
まぁ、普通にゲーム音楽の演奏会を鑑賞しているのと同じ感覚です。

が、第3部に突入した途端、ゲームプレイ時の記憶が一気にフラッシュバックしてきて、それがぴったり演奏とクロスし、その結果、感情が限界突破しました。
懐かしさ、切なさ、登場人物たち各々の切なる想いの強さ、戦わざるを得ない皮肉さと非情さ、その結末のやるせなさが、一気に押し寄せてきた感じです。
第1部、第2部でもそんな感情は確かにあったのですが、それ以上のものが第3部でどっと襲い掛かってきて。
結果、感情が千々に乱れる感覚に陥りました。

本編最後の曲が終わったときは、やるせない気持ちでいっぱいになりました。
満足感も確かにあったけれど、それと同じくらいにやるせない気持ちもありました。
満足感は演奏に対してのもので、やるせなさはゲームに対するものだと思いますが、それらがごちゃごちゃになってしばらく気持ちの整理が付きませんでした。

なんとか気持ちと折り合いを付けようとしてあれこれ考えた結果、結論としては「感無量」という言葉が一番しっくりきました。
うん、感無量な演奏会でした。

■原曲を重視しつつもフルオケ用にアレンジされた楽曲の数々
編曲の傾向としては、原曲重視。
ただ、他の企画オケよりも、やや強めにアレンジされていたように感じました。
原曲をそのまま素直にオーケストラに落とし込むのではなく、ゲームの各シーンで伝えたいことや、その時の登場人物たちの心情まで再現するような、そんな編曲だったように思います。

まぁ、原曲があまり音に厚みのないある意味さっぱりした硬質な曲が多く、これを単純にオケに落とし込んだだけでは味気ないものになりそうなので、今回披露された程度の編曲はアリではないかと。
フルオケで演奏する上で必要な緩急やメリハリを、原曲よりもやや強めに付けるためと思われるアレンジが多かったですし。
それに、原曲の雰囲気をとても大切にしつつ、ゲームの各シーンとも真っ正面から向き合ったような編曲だったので、不満はほとんどありません。
むしろ、すこぶる満足しています。

ただ一点、ちょっと不満に感じた点があるとすれば、同じ曲を何度も聴くことになったこと。
これは曲の構成も絡む話なのですが、あまり大きなアレンジの違いのない曲を、1つの演奏会中に3, 4回も聴くと、さすがに飽きるというか疲れるというか。
構成を大事にした結果というのも理解できなくもないのですが、アプローチの仕方を少し変えてみるなどの飽きない工夫が欲しかったなぁ、という気もします。

■凝った演出だけでなく、豪華なサプライズまで続々と
演奏以外についても少し言及します。

演奏以外の部分においても、ニーア一色な演奏会でした。
特に開演前と休憩時のカゲアナが、ニーア好きにはたまらないくらい凝ったものでした。
鑑賞時の注意事項が「掟〇〇〇」になっていたり、「休憩」ではなく「休息」だったり。
細かいところまで凝っていました。

また、アンコールではシークレットゲストとして、実際にニーアの楽曲に参加された中川奈美さんが登場。
そのままアンコールの演奏にも参加されていました。
終演後にはマイク片手にステージ上からアナウンスを行っていましたが、声質からするとどうやらこれまでのカゲアナも全て中川さんだった模様。
全然気付きませんでした。
確かに、開演前アナウンスのうち掟の部分だけやや厳格な雰囲気に変わったから、妙に小慣れているアナウンスだなぁとは思いましたが。

さらに、アンコール1曲目の後には、ニーアの曲を作曲をされた岡部啓一氏とディレクターのヨコオタロウ氏も、スペシャルゲストとして登壇。
エミールヘッドを付けていない素顔のヨコオ氏を見たのは初めてかも。
岡部氏は、自身のニーアの楽曲を自画自賛しつつ(実際、ものすごい良曲ばかりですが)、しっかり(ちゃっかり?)「ニーア オートマタ」の宣伝もされていました。
その一方で、GWに開催予定の公式演奏会の宣伝がなかったのは、チケットが既にSOLD OUTしていたからでしょうか。

ところで、中川さんのコメントで「OSTがゲームの3倍売れてる」「ゲームを買った人の3分の1の方がOSTを買っている」とあったのですが、あれは本当なのでしょうか。
そういえば、「滅びのシロ 再生のクロ」でヨコオ氏が「ゲームより音楽の方が評価されている」というようなコメントをされていたし、本当にその通りなのかもしれない。

それにしても、ゲームクリエイターやゲーム音楽の作曲家の方々は、本当にフットワークが軽いなぁと思います。
過去にも、アマチュア楽団の演奏会に作曲の方が直々に来場されるケースは多々ありましたが。
非公式の演奏会にも関わらず足を運んでくれて、場合によっては軽くトークまでしてくれて、ファンとしても嬉しい限りです。

■感想まとめ
予想の遥か上を行く素晴らしい演奏、構成、編曲の数々で、たっぷりとニーア充できた演奏会でした。
ニーア好きとしても、ニーアの音楽好きとしても、今回の演奏会に参加できて良かったし、満足しました。
演奏とゲームプレイ時の記憶がシンクロして、感情の整理が追い付かないような珍しい体験もしましたし。
これが無料の演奏会なんて勿体ないくらいでした。
わりと真剣に、チケット代の振込先はどこですか?と問い合わせたいくらいです。

岡部啓一氏も仰られていましたが、ぜひ「ニーア オートマタ」の演奏会も開催してほしいです。
「ニーア オートマタ」も良曲が揃っているし、「ニーア オートマタ」の方がフルオケに向いていると思うので、検討をお願いしたいです。
たとえ開催までに7年かかるとしても、待ちます。待つ覚悟はできています。

※[2017/04/16更新] コメントでご指摘をいただいた点について修正しました。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。