[GMCD] KINGDOM HEARTS Orchestra -World Tour- Album

スクウェア・エニックスのアクションRPG「キングダムハーツ」(以下KH)シリーズのオーケストラアルバム「KINGDOM HEARTS Orchestra -World Tour- Album」を、一通り聴きました。
全12曲収録で、再生時間はトータルで約72分。

このアルバムは、先日の東京公演を皮切りに開催されているKHのオーケストラコンサートツアー「KINGDOM HEARTS Orchestra -World Tour-」に合わせて、会場限定で販売されたものです。
収録されている楽曲の譜面はコンサートで演奏されたものと同じで、それを事前に収録して1枚のアルバムとして制作したそうです。
そのため、コンサートの模様を収めた音源ではありません。

コンサートで演奏された譜面と同じものを事前に収録して、コンサート当日に会場で販売するというのは、自分にとって初めての体験でした。
コンサート開催から数か月経過した後に音源(あるいは映像)にして販売ということは、数多くありましたが。
個人的には、この試みにはとても好感が持てました。
コンサートの興奮が抜けないうちに改めてコンサートと同じアレンジの演奏を聴けることで、より長く余韻に浸ることができるし、コンサート時には気付かなかったアレンジの奥深さを知ることができるし。

あと、今回のKHコンサートに限っていえば、このアルバムの方が和音が綺麗で聴きやすかったです。
会場で生演奏を聴いた時の不満は当時のエントリに書きまくったので改めて書くことは避けますが、要するに演奏に若干の不満があったのです。
このアルバムでは、その不満がきれいに解消されています。

また、ゲーム音楽の演奏会に映像は不要派だからかもしれませんが、映像がないから物足りないということもありませんでした。
音だけでも十分に楽しめます。
それだけでなく、KHシリーズの楽曲の素晴らしさを純粋に実感しました。
やっぱり自分はKHシリーズの曲が好きなのだな、としみじみ再認識しました。

ただ、臨場感、圧倒的な音の洪水感は、やはり生演奏の方が強かったです。
まぁ、その点こそが生演奏と録音媒体の大きな違いなので、当然と言えば当然なのですが。

なお、本アルバムには、コンサートで演奏された曲の全てが収録されているわけではありません。
次の楽曲は未収録です。

・光 -KINGDOM Orchestra Instrumental Version-
・Organization XIII
・Twinkle, Twinkle Holidays
・Lazy Afternoons ~ At Dusk, I Will Think of You...
・Passion -KINGDOM Orchestra Instrumental Version-
・Fantasia alla marcia for piano, chorus and orchestra

「光」と「Passion」が未収録なのは、おそらく大人の事情でしょう。
他は、CD1枚に収めるために止む無く削ったように思います。
とはいえ、自分が繰り返し聴きたかった曲は一通りアルバムに収録されていたので、この選曲に個人的には満足しています。
不満を差し挟める余地は感じませんでした。

このCDは、ツアーが終わったらイベント限定販売されそうな気がしますが、ぜひイベント限定でも良いので販売してほしいです。
デ○ズニーの思惑は読めませんが、スクエニがこんなにも良質なコンテンツをツアー会場限定だけに絞るとは思えません。
それに、もっと多くの人に聴いてほしいアルバムなので、ツアー会場限定なんて勿体ないことはせずに広く販売してほしいです。
一般販売は難しくても、物理的な距離などの問題でコンサートに行けなかった方々のためにも、きっと会場以外でも購入する機会をセッティングしてくれると期待しています。
きっと、しますよね?

現時点ではツアー会場限定のアルバムなので聴ける機会は限られてしまうのですが、機会があればぜひ聴いてほしいアルバムです。
とても良い選曲+アレンジ+演奏なので、最低でも一回は聴いてみる価値があると思います。
KHシリーズの曲が好きな方にとっては必聴です。
ゲーム音楽のオーケストラアレンジが好きな方にもオススメです。

[GMEV] 魔女と百騎兵-Concert- 魔女たちの幻想夜会

3月25日(土)に、日本一ソフトウェアのA・RPG「魔女と百騎兵」のBGMをメインにしたコンサート「魔女と百騎兵-Concert- 魔女たちの幻想夜会」が開催されたので行ってきました。
会場は、府中の森芸術劇場 ウィーンホール。
開演は18:00で、終演は20:15頃でした。

■日本一ソフトウェア主催による日本一ソフトウェア作品初の公式ホールコンサート
今回のコンサートは、日本一ソフトウェア主催の「魔女と百騎兵」を主軸としたものでした。
なんでも、コンサートホールで演奏するような形の公式コンサートは、今回が初だそうです。
バンド形式のコンサートは過去に「ディスガイアナイト」などの例がありますが、音楽ホールで座って聴くタイプのものは確かに記憶にないかも。
ただ、岐阜の隣県を拠点とする某アマチュア楽団が、かつて「魔女と百騎兵」や「ディスガイア」の曲を演奏していた覚えがあります。
あの時、「魔女と百騎兵」の曲が聴きたくて、行こうかどうしようかギリギリまで真剣に悩んだんだよなぁ。
結局、旅費を前にして膝を折りました。

それにしても、ゲーム会社自身が主催する演奏会というのは、ここ最近では珍しかったかもしれません。
近年は、主催はゲーム会社ではなくてイベント企画会社(あるいは団体)で、ゲーム会社は「協力」や「協賛」というサポート的な立ち位置であることが多かったので。
その点は、少し意外に感じました。
が、日本一ソフトウェアという会社の特性を考慮すると、まぁ主催してもおかしくないという気がするから、不思議なものです。
個人的なイメージですが、日本一ソフトウェアって、やりたいことをやりたいようにやる、良くも悪くも挑戦的な会社(その結果、大穴を引き当てることも、大暴投することもある)という印象を抱いています。

■小規模な編成ながら迫力のサウンド
今回演奏された曲は、次の作品のBGMでした。

・魔女と百騎兵(以下、魔女百)の無印, 2
・ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団(以下、ルフラン)
・魔界戦記ディスガイアシリーズ

これらの作品のBGMが、アコースティックなサウンドで演奏されました。
編成は、

・ヴァイオリン(1st, 2nd)
・ヴィオラ
・チェロ
・ピアノ
・ギター(アコースティックギター, エレキギター)
・パーカッション
・アコーディオン

と、総勢8人による小規模なアンサンブル形式。

確かに、編成だけ見れば小規模です。
が、演奏全体の迫力はものすごかったです。
アンプを使っていたからかもしれませんが、まず音圧がすごい。
そして、原曲の拡張するような編曲の見事さがすごい。
さらに、演奏に込められた熱量がすごい。
それらが三位一体となって観客席に襲い掛かってくるような感じで、とにかくすごかったとしか言いようのないすごさでした。

■原曲を生かしつつ、よりダイナミックに拡張されたアレンジ
編曲は、今回の編成に合わせてがっつり手が加えられていたと思います。
魔女百とルフランに関しては、原曲の雰囲気を色濃く残しつつも、今回の編成を生かすようにアレンジされていました。
あの原曲に含まれていた独特の妖しさと美しさはそのまま。
それを継承しつつ、各楽器の魅力を最大限に引き出し、かつ曲自身が持つ魅力も増幅させるような、そんな思慮が見えました。
ゲームを知らなくても十分聴けるような、一つの曲として演奏が成立するような、そんなアレンジです。

ディスガイアについては、実はシリーズ作品のいずれも未プレイでOSTも聴いたことがないので原曲を知らないのですが、魔女百やルフランと同様に上手くアレンジされていました。
原曲を知らなくても、すごく楽しめました。
また、魔女百やルフランの中に混ざっても違和感のない雰囲気に仕上がっていて、ガチで「混ぜるな自然」状態だったのも印象的。
あまりにも上手く魔女百の雰囲気に寄せていて、心底驚きました。
その寄せっぷりのあまり、逆に原曲がどんなものなのか気になったくらいです。
原曲はもっとロックっぽかったり讃美歌っぽかったりするのかな。

■編曲の妙に見事に応えた迫真の演奏
そんな素晴らしい編曲に対して、演奏も見事に応えていました。
演奏者一人一人の技量の高さも素晴らしかったし、演奏に込められた熱量も半端なかったです。
各楽器の音色が混然一体となり、大きな熱量を伴った塊になって、客席に向って飛んできていました。
そのあまりに熱量の高い迫真の演奏に、最初から最後まで心が震えっ放しでした。
魔女百っぽい表現をするなら、圧倒的なまでの音の狂宴、といった感じです。
熱量を伴ったプロの技ってすごい。本当にすごい。
圧巻の演奏でした。

中でも、弦楽器がすこぶる格好良かったです。
特に1stヴァイオリンがめちゃくちゃ格好良くて、演奏時間の半分以上を費やしてガン見していたような気がします。
また、アコーディオンの演奏もとても良かったです。
アコーディオンが入ると途端に魔女っぽさが増すのは、良い意味で卑怯というか、上手い効果というか。
正直、たまりませんでした。

また、演奏者の方々がみんな、今回のコンサートの曲を楽しそうに演奏されていたのも印象的でした。
演奏するのが楽しくて仕方がない、という雰囲気が、音からも姿勢からも伝わってきました。
特に1stヴァイオリンの方が、時折微笑みを浮かべながら弾いていらしたのが実に楽しそうで、聴いているこちらも楽しくなりました。
自分の好きな曲を楽しそうに弾いてくれると、聴いてる方も嬉しくて楽しくなります。

■次回コンサートの会場は岐阜?
コンサート中、ゲストとして佐藤天平さんと新川社長が度々登壇されて、トークを披露されていました。
トークの内容で覚えているのは、

・かつて日本一ソフトウェアがパズルや麻雀ゲームばかり作っていた時代、いよいよ潰れそうというときに「いっそ潰れるならRPGを作って華々しく散ろう!」と新川氏が当時の社長を説得して作られたのが、ミュージカルRPGの「マール王国の人形姫」。
・ミュージカルRPGということから、当時ミュージカルの楽曲も手掛けられていた佐藤天平さんに声がかかった。
・話を持ち掛けられた際、佐藤さんは「よくぞ見つけてくれた」と嬉しく思い、渋谷の坂(当時、日本一ソフトウェアのオフィスが渋谷の坂の上にあったらしい)を足取り軽く降りていったらしい。早く曲を作りたくて仕方なかったそうな。
・初代ディスガイアは、再び会社が潰れかけたときに、新川社長を含めたスタッフ3人が集まって、「魔界」という世界観だけ決めて各々好き勝手に作り始めて、後日合体させてできたもの。
・「魔界」という何でもありの懐の広さが功を奏した。
・音楽について、ディスガイアは何でもありの広がりのあるサウンドを心がけていて、魔女百やルフランは逆に凝縮したサウンドのイメージを大事にして曲を制作した。

新川社長本人も仰っていましたが、なんだか「会社が潰れる」ネタの多いトークだった気がします。
率直に言えば、今も傍から見ていて危なっかしい感じがするので、もはや伝統芸なのではないかと思ってますが。
潰れそうで潰れないしぶとさとしたたかさが。

あと、コンサートのメインであるはずの魔女百に関するトークが少なかったです。
知名度で言えばディスガイアの方が遥かに上なので、まぁ、仕方ないのかな。

新川社長自身はまたこのようなコンサートを開催したいようなので、次回も期待できそうです。
「この日のためだけに編曲して、メンバーを揃えて、会場を押さえて・・・なんて勿体ないから、またやりたい」というような発言をされていました。
ただし、「ワイン片手に屋外でゆったり聴きたい。岐阜城とか、関ケ原の合戦場とかで」とも仰っていたから、会場が岐阜になる可能性が無きにしも非ず。
岐阜かぁ・・・遠いな・・・。
というか、新川社長、本当に岐阜が好きだな。

■感想まとめ
妖しくも美しい魔女百やルフランなどの楽曲を、非常に情熱的に演奏されて、とてもたぎった演奏会でした。
新川社長もトークで発言されていましたが、他にもこの形で聴いてみたい曲があるので、ぜひ次回コンサートも期待したいです。
そのときもまた、足を運んでみたいと思います。

ただ、会場が岐阜だったら、ちょっと考えます。

あ、その前に、まず魔女百のアレンジサウンドトラックの再販をお願いします。
Amaz○nで「いつか買おう」と欲しいものリストに入れておいたらいつの間にか売り切れていて、「いつか再販されるだろう」と思っていたけれどいつになっても再販されなくて、今「在庫のあるうちに買っておけば良かった」と密かに悔し涙を流しています。
パンフレットに掲載されていたくらいなので、きっと再販してくれると期待しています。
心の底から、期待しています。(大事なことなので


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。

[GMEV] Music 4Gamer #1 「聖剣伝説」25th Anniversary Concert

3月24日(金)に聖剣伝説シリーズのオーケストラコンサート「Music 4Gamer #1 「聖剣伝説」25th Anniversary Concert」が開催されたので、行ってきました。
会場は、Bunkamuraオーチャードホール。
19:00開演で、21:00頃に終演しました。

演奏は、東京交響楽団。
指揮は、柴田真郁氏。

■聖剣伝説25周年記念としてシリーズ初の公式オーケストラコンサート
2016年、聖剣伝説シリーズは発売25周年の記念イヤーでした。
今回のオーケストラコンサートはそれを記念して、ゲーム情報サイト「4Gamer」とタッグを組んで企画されたものです。
開催時点で2017年なので、正確には今年で発売26周年なのですが、まぁ細かいことはいいのです。誤差の範囲内です。

聖剣伝説シリーズはナンバリングタイトルだけでなく派生作品も数多くあるのですが、今回の演奏会では「聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-」(以下、1)、「聖剣伝説2」、「聖剣伝説3」、「聖剣伝説 Legend of MANA」(以下、LOM)、「聖剣伝説4」の曲が演奏されました。
演奏された曲は、4Gamerで募集したリクエストをもとに選曲されたそうです。
このラインナップは、個人的には正直なところありがたかったです。
自分の聖剣シリーズ作品プレイ歴が、

・1(GB版+Vitaリメイク版)、2、3、LOM、「聖剣伝説 CHILDREN of MANA」クリア済み
・4は開始30分で挫折(でもOST持ってる)
・「新約・聖剣伝説」は途中までプレイした(でもOST持ってる)
・「聖剣伝説 HEROES of MANA」、「聖剣伝説 RISE of MANA」はOST持ってるけれど未プレイ
・他は未プレイで曲も全く知らない

という状態だったので。
やはりナンバリングタイトルとLOMは、格別に思い入れが強いです。

コンサートにはどうしても演奏時間に上限があり、無制限にあれもこれもと演奏することはできないため、シリーズの中からこの4作品に絞ったのは正解だと思います。

■過去の名アレンジを生かしつつ、オーケストラを生かした編曲
編曲は、原曲に対してそこそこ加えられていました。
これまでプロ・アマ問わず様々な楽団の演奏会で何度か聖剣シリーズの演奏を聴いたことがありますが、それらよりも比較的編曲が強かったように思います。
ただ、原曲がそもそも演奏することを想定して制作されていないので、それを人の手で演奏できる形にした程度です。
原曲の雰囲気や空気感はほぼ残されていました。

一部、既にオーケストレーション化されているものは、それをベースにリアレンジ、あるいはそのまま演奏されていたりもしましたが。
特に下村陽子さんの「drammatica」に収録されているLOMの曲は、そのまま再現されていたことが多かったように思います。
他にも、1は「想いは調べにのせて」バージョンをベースにアレンジされているような曲もありました。
メドレーの都合上、オリジナルのアレンジになっている部分もありましたが、過去の名アレンジを生かしてくれていたところにも、25年もの長きに渡って愛されてきた作品への敬意を感じました。

その上で、オーケストラによる生演奏という付加価値を最大限に生かすような、ダイナミックなアレンジになっていたと思います。
激しい曲は熱く壮大に、泣ける曲はしっとりと、時にはソロを交えつつ、メリハリの付いたとても良いアレンジでした。

少し余談ですが、「drammatica」版が多く採用されているのは、「drammatica」のオーケストラアレンジが最強だからなんだと思います。
先日開催された「キングダムハーツ」のオーケストラコンサートでも、「drammatica」収録曲はそのまま演奏されることが多かったですし。
あのスコアがあることで編曲にかかる負荷が下がっているのであれば、「drammatica」は色々な意味で名盤ではないかと。
演奏とアレンジの質の高さという意味だけでなく、貢献度的な意味でも。
もう、あれが公式スコアで良いと思います。

■編曲の素晴らしさに見事に応じた演奏の素晴らしさ
今回演奏された曲の中には、いくら考えても人の手で演奏できる曲じゃないと思われた曲もありました。
2の「危機」や「子午線の祀り」はどんなにオーケストレーションしても、あれを再現するのは難しいだろうと、開演前は思っていました。
それがプロの業によってどんな風に料理されるのか、楽しみでもあり不安でもありました。

そんな思いの中、蓋を開けてみたら、とんでもない超絶技巧が披露されました。
演奏を聴いている最中ずっと、「え、これ、人の手で演奏できるの? え? え??」と感嘆しか出てきませんでした。
プロの本気がガチで本気で、半端なかったです。脱帽ものです。プロすごい。

バトル曲のような熱い曲は熱く情熱的に、イベント曲のような切ない曲は情緒豊かに、ゲームを想起させるのに十分な熱量の含んだ演奏でした。
今回ステージで演奏に参加された東京交響楽団の方々全員が聖剣伝説をプレイされているとは思えないけれど、譜面からそのへんを汲み取って演奏されているところも、さすがプロだなと感心しました。

まぁ、原曲を知らないことが原因と思われる音のズレも、多少ありましたが。
全体的な完成度の高さから言えば、些細なことです。

■開演前トークショー(作曲家編)
開演前の18:30から30弱ほど、伊藤賢治さんと菊田裕樹さんをゲストに招いたトークショーが開催されました。
トークの内容は、かなり濃いものでした。
濃過ぎて、実はあまり覚えていません。
かろうじて覚えているのは、

・人が演奏することを想定した曲ではないので、(演奏者に対して)ドSな曲ばかり。特に菊田さんの曲が。
・発注を受ける際の指示は、大体「通常バトル」「ザコ1」「ザコ2」「ボス戦」「ラストバトル」など、とてもアバウト。
・菊田さんは曲が降りてくるタイプ。イトケンさんは曲が降りてくることもあれば、悩み抜いた挙句に気分転換しようとしたタイミングで閃いたりするタイプ。

というぐらい。

今回会場に来ることができなかった下村陽子さん(キングダムハーツのワールドツアーでイギリスに行っていたのではないかと思う)からは、音声コメントが届いていました。
その中で、会場にいないことを良いことに、イトケンさんと菊田さんへ「デモを提出するときはどんな心境ですか?」という質問に続いて、「きっと自信満々に提出されていたと思います!」と半ば挑発とも取れる爆弾発言を投下されていきました。
今回の演奏会の中で、下村さんが一番の地雷踏みでした。
ただ、その質問に対して漫才みたいな回答を和気あいあいとするイトケンさんと菊田さんから、コンポーザー陣の仲の良さも感じられました。

ちなみに質問に対する回答は、イトケンさんが「提出とリテイクを繰り返して曲を仕上げていく」、菊田さんが「できるだけデモは出したくない、出すときに完成形を出したい」とのこと。
ただ、お二人とも「発注元が期待しているものを予測して作曲している」という点は共通していました。

開演前トークショーの最後に、イトケンさんが「いっぱい喋れた!」と喜んでいたのが印象的でした。
おそらく昨年のサガオケと比較しての発言だと思いますが、あのときはトークの時間がものすごく短くて物足りなさそうでしたしね。

■休憩中トークショー(制作スタッフ編)
第一部終了後に20分ほど、再びトークショーが開催されました。
今度のゲストは、聖剣伝説の生みの親である石井浩一さん、2, 3の制作に関わられた田中弘道さん、現・聖剣伝説プロデューサーの小山田将さん。
聖剣伝説について、主に石井さんが当時の思い出を熱く濃く語られていました。
トークの内容としては、

・発売された1は、実は三代目の聖剣伝説。
・「聖剣伝説」という商標を取得した初代は、FFよりも前に開発に着手していた。
・今の聖剣伝説とは全く異なるシステムで、3DダンジョンRPG(ウィザードリィのようなもの)だった。
・しかも、ディスクシステムで3部作という構成だった。
・三代目にあたる1を制作する初期段階では、RPGにする想定だった。
・が、石井さんが参加され、石井さんの意向によりアクション要素が追加されて、今の1のような形になった。
・マナの樹を女性、剣を男性に見立てて、樹に守るようにその根元に突き刺さっている剣のイメージが石井さんの中に思い浮かんだ瞬間に、「これはいける!」と直感した。
・FFが物質世界なら、聖剣伝説はそのアストラル(精神)世界。だから精霊が見える。
・モンスターの色にも理由があり、ラビの色が黄色なのは太陽の光を受けたから。他のキャラの色もそれぞれ理由がある。
・2は、企画当時、任天堂とソニーがCDをメディアにした新しいハードを出すという話があり、それ用に開発していた。
・開発段階でキャラデザを鳥山明さんに依頼していた。
・が、いくら待っても新しいハードの話が進まず、結局SFCで出した。
・鳥山明さんの要素は、クロノ・トリガーに引き継がれた。
・2, 3がマルチプレイに対応しているのは、家族で楽しめるようにするため。
・LOMのシステムが2, 3からガラリと変わったのは、石井さんが同じもの(似たようなもの)を作りたくなかったから。

などなど、これまで聞いたことのないこともポンポン飛び出していました。
どのトークも非常に興味深かったです。

■丁寧なつくりのパンフレット
当日物販で販売されたパンフレットが非常に読み応えのあるものになっていて、面白かったです。
曲目解説もあり、インタビュー記事も豊富。
しかも、内容がどれも濃かったです。
巻末にはシリーズ作品の紹介記事が掲載されていたのですが、ガラケー作品まで網羅。
すごく丁寧につくられているパンフレットでした。
これは、聖剣シリーズ好きは一読の価値があるのではないかと。

そういえば、シリーズ作品のうちスマホ作品は2年ほどでサービス終了しているものもあって、そこにそこはかとない切なさを感じました。
聖剣って、スマホはあんまりパッとしないよね。。。

■感想まとめ
選曲、編曲、演奏にトークと、どこを取っても満足した演奏会でした。
演奏会の時間は休憩時間(30分)を含めて2時間とやや短めでしたが、トークがあったためか、それほど短くは感じませんでした。
最後の最後に、イトケンさんの煽りによって半強制的に全員スタンディングオベーションになったのですが、それが苦にならないくらいの満足感でした。
イトケンさんも菊田さんも、カーテンコール時のテンションが妙に高く見えたけれど、きっと演奏を聴いて興奮されていたのだろうなぁ。うん、わかります。

というくらい満足度の高い演奏会だったので、これ1回で終わらせてしまうのは勿体ないと思います。
今回は平日開催ということもあって、来られなかった方も多かったと思うので、ぜひ土日に再演してほしいです。

4Gamerでは今後も「Music 4Gamer」として、ゲーム音楽のコンサートを開催していくそうです。
1つの作品(あるいは1つのシリーズ作品)をプロの奏者でがっつり演奏するということは、GAME SYMPHONY JAPANと似た路線になるのでしょうか。
ただ、演奏形式はオーケストラに限らないそうなので、そこで差別化を図っていくのかな。
何にせよ、今回の演奏会がとても熱くて満足したものだったので、今後の展開にも期待です。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。

[GMCD] FIRE EMBLEM MUSIC COLLECTION : PIANO ~Faith & Engagement~

任天堂のS・RPG「ファイアーエムブレム」(以下、FE)シリーズのアレンジアルバム「FIRE EMBLEM MUSIC COLLECTION : PIANO ~Faith & Engagement~」が発売されたので、早速ゲットしました。
収録曲数は、全16曲。
再生時間は、トータルで60分ほど。

ちなみに、先日開催されたアレンジアルバム発売記念コンサートの方は行けませんでした。
行きたいのは山々だったのですが、3月から5月にかけてイベント被りがヒドくて懐があまりにも寒くなってしまったので、泣く泣く諦めました。
いいもん、このアルバムをヘッドホン着用+爆音で聴いて我慢するもん・・・・・・くそぅ、行きたかったな・・・(泣

このアルバムには、タイトルにもある通り、FEの曲をピアノ主体にアレンジされた楽曲が収録されています。
ピアノソロの曲もあれば、フルート+ピアノやヴァイオリン+ピアノの曲もあったり。
ピアノは全曲に参加していますが、ピアノオンリーというわけではありません。

FEの曲というと、個人的にはなんとなく弦楽器のイメージが強いです。
特にSFC時代の作品の音源に慣れ親しんで育ったからか、より一層その傾向にあります。
そのためか、ピアノメインのアレンジというのは新鮮でした。

アレンジは、結構大胆です。
このアルバムに収録されている全楽曲の原曲を知っている(覚えている)わけではないのですが、知っている曲だけに限って言ってもかなり大幅にアレンジが施されています。
単純に原曲をピアノに落とし込んだような感じではありません。
主旋律には原曲成分が多く含まれているけれど、伴奏部分は躍動感のあるものになっています。
ゲームシーンと照らし合わせると違和感があるかもしれませんが、ゲームとは切り離して単純に曲として聴くと、これはこれで面白いアレンジだと思いました。
聴いていて「お、そう来たか」と感じたことが、しばしばありました。

演奏もアレンジも、一言で言い表すならば「情熱的」。
想像以上に熱いというかポジティブというかダイナミックというか。
勇壮というよりは、躍動感たっぷりという感じです。
一曲の展開の中にもメリハリがかなり強く効いていて、聴いていてあまり飽きません。

アレンジの元になった曲は、FEシリーズの主なタイトルから幅広く選曲されています。
が、リメイク作品はともかく、「烈火の剣」と「聖魔の光石」の曲がないのは少々残念。
その一方で、「if」の曲が3曲収録と、他のタイトルより少し多めに採用されています。
また、「外伝」「蒼炎の軌跡」「暁の女神」「覚醒」からそれぞれ2曲ずつ選ばれています。
他、「暗黒竜と光の剣」「紋章の謎」「聖戦の系譜」「トラキア776」「封印の剣」から各1曲ずつ収録されています。

試聴用のサンプルを聴いて以来楽しみにしていた「覚醒」の「貴様らが…姉さんの言葉を語るな!」は、情熱的なヴァイオリンがとても印象に残る曲になっていました。
原曲に多く含まれていた悲壮感や喪失感は薄くなっているけれど、その分前向きで熱い曲になっています。
原曲の切なさ乱れうち感も大好きだけど、こちらのアレンジもこれはこれで好きです。
ゲームシーンとは合わないけれど、とても良いアレンジだと思います。

全体的に大幅にアレンジされているので、原曲至上主義の方には違和感があるかもしれません。
けれど、ゲームと切り離して曲は曲として聴けば、とても素晴らしいアレンジかつ演奏だったと思います。
どの曲も聴き応えがあって、満足しました。
個人的には、前述の「貴様らが(以下略)」と「if~ひとり思う~」がオススメです。

[ゲームRev] ニーア オートマタ

PS4のアクションRPG「ニーア オートマタ」を、Eエンドまでクリアしました。
プレイ時間は、Eエンド到達時点で約55時間。

前作「ニーア ゲシュタルト」および「ニーア レプリカント」は、後者を一応クリア済みです。
2回ほど詰んだり紆余曲折ありつつも、なんとか最後のエンディングまで到達しました。
前作はアクション要素にものすごく苦労させられたけれど、文明崩壊後の終末的な世界観がすこぶる自分好みで楽しかったです。
今作「ニーア オートマタ」がそんな世界の遥か未来の話と耳にして俄然興味が湧き、予約の上ゲットしてプレイを開始しました。

そんな終末感を期待してプレイし始めましたが、今作でもそれは裏切られることがなく、実に強い終末感が漂っていました。
高度な文明の痕跡が前作以上にそこかしこに残っている分、より一層の強く感じられたかも。

そんな”終わってる”世界でしたが、風景がものすごく美しかったです。
光と影の淡いコントラストは、前作同様の脆さや儚さを表現。
さらに、崩れかけた巨大ビル群や遊園地などの人工建造物や、それを飲み込みつつある草木や砂漠からは、かつて人が生きていた痕跡を容赦なく消していく空虚さもありました。
そういうところに、カタルシス的な美しさを感じました。
どの風景を切り取っても、とにかく美しかったです。

日頃、ビルに囲まれた日常風景を眺めながら、この世界から人類がいなくなって全部廃墟になったらどうなるだろうと妄想することはありますが、その妄想がそのまま画面上に描かれているようで、フィールドのあちこちを見て回るだけでも楽しかったです。
廃墟好きならば、風景だけでもかなり堪能できると思います。

そんな世界を舞台に物語が進行するので、ポジティブな要素はほとんどありません。
だいたいネガティブな鬱展開です。
少し持ち上げたらそれを10倍にして叩き落とすぐらいの、容赦のなさです。
救いとか、期待するだけ無駄です。

もっともヨコオタロウ氏の作品なので、どこまで徹底的な鬱展開になるのか期待していたところもありますし、「どうせこの後○○が※※※れてるんだろう、うんわかってる」と身構えていたところもあります。
そのためなのか、前作で鬱展開に慣れたからなのか、他に要因があるのか、絶句するほどの衝撃的な展開は少なかったように思います。

でも、鬱展開は基本好物なので、今回も楽しくプレイしました。
また、今回も考察しがいのある世界観とストーリーだったので、そのあたりも楽しかった要素の一つでした。
設定資料集が発売されたら、もう一度最初からやり直してみたいと思っています。
あとは、時間が確保できれば。。。

エグいシーンは今回も結構あるので、そういうシーンが苦手な方は要注意。
今作はアンドロイドvs機械生命体なので、前作ほど流血演出目白押しではないけれど、それでもそれなりにあります。
むしろ、今作は精神攻撃の方が強いかもしれません。
話が進めば進むほど、心がガリガリ削られていきます。

ただ、最終的な印象としては、前作よりも綺麗だったように感じました。
言葉で表現するのが難しいのだけど、一言で言い表すならば「綺麗」でした。

サブクエストも、大体容赦ありません。
むしろ、サブクエストの方が容赦ありませんでした。
ただ、サブクエストは脇の人物や世界観を掘り下げるものが多かったので、プレイしておいた方がより楽しめます。
と言いつつ、自分もサブクエストをコンプリートしたわけではありませんが。
サブクエスト消化率は75%ぐらいでした。

前作は、プレイしておいた方が無難です。
プレイする時間がないのであれば、設定資料集やプレイ動画、もしくは考察サイトの一読を推奨します。
前半はそうでもないけれど、後半になると前作の根幹の部分が大きく絡んでくるので、前作のメインシナリオは知っておいた方が良いと思います。

話は変わってシステムについて。
前作同様に今作もA・RPGなので、バトルは基本的にアクションです。
ただ、前作と異なり、今作はオートバトル機能が付きました。
ゲーム開始時に難易度をEASYにすると、最初からオートバトル機能が使えます。

このオートバトルがかなり賢くて、アクションスキル底辺の自分にとってはたいへんありがたい機能でした。
敵に近づくと、自動的に攻撃・回避・回復してくれます。
特に回避機能がものすごくて、99%ぐらいの確率で敵の攻撃を避けてくれます。
敵の斬撃はもちろんのこと、弾幕も華麗に回避してくれます。
ほぼ無双状態で、安定して敵をなぎ倒してくれました。
そのおかげでバトル中はカメラ座標系の調整のためにコントローラーを操作するくらいで、基本放置してバトルを眺めていました。

ただ、バトルを眺めていてひしひしと感じたのは、オートバトル機能がなかったらクリア無理だな、でした。
敵の攻撃の勢いが、前作の比ではなかったです。
多数の敵に群がられるわ、凄まじい弾幕が飛んでくるわで、まず目が追い付けませんでした。
かなり賢いオートバトル機能のおかげで難易度が劇的に下がっているけれど、オートバトル機能がなかったら前作よりもずっと難しくなっていると思います。

バトルは基本的にオートバトルでどうにかなったのですが、逆にフィールド探索には苦労させられました。
アクションが苦手なので、向こう岸まで飛び越えられない、崖の上までジャンプできない、うっかりするとすぐ落ちる、ということがよくありました。
1, 2回ほど、うっかり落ちた先にも実はマップがあって、そのおかげで死にはしなかったものの戻れなくなったことがありました。
こまめなセーブって重要だな、と実感した瞬間でした。

前作で賛否両論を巻き起こしたノベル形式は、今作でも健在。
ただ、前作と異なり、正しい選択肢を選ばないと先に進めないということはありませんでした。
単純に表現の一つとしてノベル形式が採用された、という感じです。

このノベル形式ですが、個人的には結構好きです。
主に回想シーンがノベル形式になっていたのですが、ノベル形式になより登場人物の想いが深く豊かに表現されていました。
これは、文字媒体だからこその表現力で、映像では叶わない領域だったと思います。

前作では盛り沢山だったパズル要素は、今作ではそれほど多くありませんでした。
とはいえ、フィールド探索が、ある意味パズルだったような気もします。
あの目標地点まで行くには、ここからこう行って、あっちに回り込んで・・・と、考えながら探索していました。

前作ではシナリオ進行上必須だった釣りは、今作では必須ではなくなりました。
前作の釣りで1度詰んでいる俺大歓喜です。
とはいえ、釣り機能自体は、今作にも搭載されています。
が、前作よりもぐっと簡単になっていました。
ヒットしたタイミングで○ボタンを連打してたら、あとはポッドさんがいい感じにどうにかしてくれました。

今回新たに加わった要素は、シューティング。
シューティング要素が、かなり目立った取り入れられ方をしています。
ただ、ここでもオートバトル機能が有効なので、オートバトル機能が使えるならば、難易度はそれほど高くありません。
敵の弾は勝手に回避してくれるので、あまり被弾することはありません。
適当にグルグル機体を動かしていれば、大抵なんとかなります。

音楽は、前作に引き続き今作も素晴らしかったです。
アコースティックサウンドがゲームの空気感とよく合っていて、時に穏やかに、時に激しく、場の雰囲気を盛り上げてくれました。
また、妙に耳に残る曲が多かったです。
ふと気が付くと、廃墟都市やレジスタンス基地、廃墟遊園地のBGMが脳内再生されています。
特に廃墟遊園地のBGMが強力で、なかなか自分の脳内から離れてくれません。
バトル曲はあまりBGMに集中できる状況ではなかったので、そいういう曲をじっくり聴き込むためにも、OST発売を心待ちにしています。

ゲーム性、ストーリー、映像、音楽と、どの要素をとっても非常に満足したA・RPGでした。
PVを見るとあまりの弾幕にビビるかもしれませんが、難易度EASYが嘘偽りなくガチでEASYなので、アクション苦手な方でもプレイできるかと。
Eエンドの最後だけは、ほぼずっとオートバトルだった自分にとって相当厳しい戦いでしたが、”諦めなければ”なんとかなります。たぶん。

最後に、Eエンドのラストのアレで被弾しまくったので、今この場を借りて全力で土下座しておきます。
協力してくれた「たいせつなもの」たちに、感謝を。

[GMEV] KINGDOM HEARTS Orchestra -World Tour-

3月10日, 11日に、アクションRPG「KINGDOM HEARTS」シリーズ(以下、KH)の公式オーケストラコンサート「KINGDOM HEARTS Orchestra -World Tour-」の東京公演が開催されました。
そのうち、10日の公演に行ってきたので、その感想を記します。

会場は、東京国際フォーラム ホールA。
指揮は和田薫氏、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団+コーラス隊。
開演は19:00で、終演は21:30頃でした。

■シリーズ初の公式オーケストラコンサート
自分のシリーズ作品プレイ歴は、1(オリジナル版)、「チェインオブメモリーズ」(CoM)、2(FINAL MIX版)、「Birth by Sleep」(BbS)のみ。
それと、ブラウザ用ゲームとして展開されていたχ(アンチェインではない方)をプレイしていた時期があります。
ただ、世界観が複雑過ぎて、ストーリーや人物関係は把握できていません。

とはいえ曲は好きで、OSTは聴き込んでいます。
未プレイの「ドリームドロップディスタンス」(3D)のOSTも持っていますし、HD ReMIX版のサントラBOXも購入しました。
下村陽子さんのアルバム「drammatica」と「memoria」も、当然押さえています。

それくらいのKHサウンド好きなので、今回のオーケストラコンサートは待ちに待ったものでした。
昨年の吹奏楽コンサート(First Breath)にも行きましたが、やはりKHはオーケストラで聴いてみたかったです。
開催されるという一報を聞いてチケット争奪戦への闘志を燃やし、なるべく確実にゲットするために平日金曜日公演の抽選予約に申し込みました。
そして無事にチケットをゲットできて、今回足を運んだ次第です。

■感涙必至の神曲揃い
昨年の吹奏楽コンサートのセットリストは、全体的に1, 2に偏っていたように思います。
今回のオーケストラコンサートは、吹奏楽コンサートよりもシリーズ作品から満遍なく選曲されていました。
比重はどうしても1, 2に偏りがちでしたが、それでも吹奏楽コンサートよりはその比重が小さくなっていました。
358/2やBbSの曲が、思っていた以上に多かったです。

ただ、3Dだけは影が薄かったです。
今回のコンサートにSIEも協力していたことから察するに、PSプラットフォームでリリースされていない作品だからでしょうか。

そんな数多あるKHサウンドの中から、選りすぐりの曲がセットリストに並んでいました。
右も左も神曲揃い。むしろ神曲しかない。
いや、使い古された神曲という言葉自体が生温く感じるくらいのセットリストでした。

そんなオールスターな曲が、今回オーケストラで生演奏されたわけです。
セットリストだけでなく、アレンジといい演奏といい、観客を本気で泣かせにきていました。
OSTですら軽く泣きかけてた曲は、オーケストラの生演奏では号泣必至です。
もし演奏中、目の前に机があって、音を出しても良かったなら、机に突っ伏してバンバン叩いてジタバタしていたと思います。
それくらい、感動的なセットリストとアレンジでした。

そんな感動に包まれていた人は、どうやら自分だけではなかったっぽく。
観客席のあちこちから、鼻をすする音が聴こえていました。
これは、泣いても仕方ないよね、うんわかる。
でも、演奏中に鼻すするときは、ティッシュを使うとかハンカチやタオルで鼻の辺りを覆うとか、なるべく音を出さない努力をして欲しかったな。

■原曲準拠もしくはオーケストレーション済み音源準拠のアレンジ
アレンジは、それほど強くなかったです。
そもそも原曲がオケっぽい曲なので、そのまま素直にオーケストラ演奏用に落とし込んだような感じでした。
また、既にオーケストレーション化して発表済みの曲(「drammatica」や「memoria」収録曲など)は、ほぼそのまま演奏されていました。
そのため、違和感はほぼ感じることはなかったです。
むしろ、「これをそのまま生オケで聴けるんだ・・・(感動)」と感じたことの方が多かったです。

今回オーケストラでの演奏を聴いて、KHサウンドとオケの相性はやっぱり最高だなと実感しました。
ものすごく相性が良いです。
あまりに相性が良いので、なんでこれまでオーケストラコンサートが開催されなかったのか、不思議に思ったくらいです。

■演奏以外の驚きの展開
演奏会中のMCは、KHシリーズの作曲を担当されている下村陽子さんご本人。
・・・・・・え、何されてるんですか、下村さん。
と、下村さんが登場されておもむろにMCを始めたときに、思わず目が点になりました。
下村さんは招待される立場なのでは?
もしかして、下村さんご本人の希望だったのでしょうか?
などなど、色々考えもしましたが、真相は何だったのでしょう?

曲名紹介などは大体映像が担当していたので、MC自体は本編1回、アンコール前に1回の計2回。
それだけだったから、下村さんが担当されていたのでしょうか。

また、驚きの展開といえば、休憩時間の終了間際にディレクターの野村哲也氏のアナウンスが流れたこと。
主に、近日リリース予定の「Union χ」(ユニオンクロス)の告知でした。
PVも先行公開され、あちこちから歓喜の声が沸き起こっていました。
※PVが一般公開されたのは、このときに公開された後だそうです。

追加情報として、KH3は鋭意制作中で、このWorld Tourのどこかの公演で発売日を発表するとのこと。
ということは、最終の大阪公演までには発表されるということですね。
お、もうすぐ情報解禁か・・・と一瞬思いましたけれど、大阪公演って7月じゃん! 最長であと4ヶ月待たされるってことじゃん!
まぁ、これまでさんざん待たされてきたので、4ヶ月なんてあっという間だと思いますが。

ちなみに、この休憩時間のアナウンスは、10日公演だけのものだそうです。

■不満点もないわけではなく
そんなこんなで、選曲やアレンジはとても素晴らしいコンサートだったのですが、不満点もないわけではありません。
国際フォーラム ホールAでのゲーム音楽コンサートではもはや恒例とも言えるスピーカーのノイズは、今回のコンサートでもやはり気になりました。
ホールがキャパ約5,000と巨大な空間で、曲の性質上ピアノやハープの音色を強調したい時があるから、スピーカーの使用自体は仕方ないと思います。
が、あのノイズはどうにかならないものでしょうか。
激しい曲であればノイズが掻き消されるので気にならないのですが、静かな曲ではノイズの方が勝ってしまうこともあって、その点は残念でした。
機材やケーブルの特性上、どうしようもないことなのかな。

あと、曲の余韻をもう少し長めに取って欲しかったです。
最後の一音が鳴った後に余韻に浸る間もなくスパンと指揮の手を下ろすことが多くて、余韻とは・・・と思ったことがしばしば。
勇ましい曲や激しい曲であれば百歩譲って許容範囲内ですが、感動する曲はもっとじっくり余韻を味わいたかったです。
あ、フライング拍手は問題外だと思っています。

■映像は必要か?
話は今回のコンサートから少々外れるのですが、先日Twitterで「ゲーム音楽の演奏会に映像欲しい?」というようなアンケートが流れてきました。
その結果「場合によっては欲しい」が最多数、次点が「ぜひ欲しい」でした。
映像が欲しいという人が多数派なんだなぁ、としみじみ思ったことが、今でも記憶に残っています。

ちなみに、自分は映像不要派。
理由は、映像が流れると視覚に脳のリソースを取られて、聴覚が疎かになるから。
せっかくの演奏会なのに、音を感じ取る聴覚が疎かになるなんて、勿体ないじゃないですか。
映像に含まれる情報量が少なければ問題ないのですが、ゲーム画面のような情報量の多い映像だったらむしろ邪魔だと感じています。

そういうわけで、映像演出にあまり良い印象を持っていないのですが、今回はそれとは少し角度の異なる理由で、映像演出に対する印象が悪化しました。
そもそもの発端は、演奏が合わなくて音が不揃いになり、不快に感じたところが数えきれないくらいあったこと。
東京フィルらしからぬミス乱発で、らしくないなぁと思っていました。
が、第2部あたりでその理由が分かったような気がしました。

まず最初に気付いたのは、指揮の乱れでした。
リズムや指示が解りにくいというか、なんだかよく乱れていたのです。
で、よく見たら、どうも演奏中にヘッドホンを付けていた模様。
スピーカーから流れていたものと同じものを聴いていたのではないかと思います。
その時点で、そりゃ音が乱れるな、と納得しました。
楽器から直接聴こえてくる音とスピーカーから流れる音が完全同期するはずはなく、ケーブルや機材を経由している分、どうしてもスピーカーから流れる音の方が遅くなります。
演奏者側は楽器から発せられた音を聴きつつ指揮に合わせて演奏していると思うので、そこで楽器の音と指揮のタイミングにズレが生じ、混乱を招いた結果が音の乱れだったように思いました。

それならば、なぜヘッドホンを着用していたのかと言えば、これは憶測なのですが、映像と完全に同期させるためではないかと。
指揮台の足元にもモニターがあって、そこに正面スクリーンに投影されているものと同じ映像が流れていたようで、どうしても映像と同期させた演奏をしたいという企画側の意図が見えました。
ひょっとしたら、指揮者が着用したヘッドホンからは、映像と同期させるための外部からの細かい指示も含まれていたかもしれません。
それもあって、指揮が乱れてしまうことがあったのではないかと。

結局のところ、演奏と映像の主従が逆転してしまい、映像に引っ張られる形で演奏が乱れてしまっていたように思います。
だったら、演奏会に映像は要らないです。
演奏会なのだから、まずは音を最優先で大事にして欲しいです。

なんだか、映像に関する制約が強過ぎて、鑑賞していて楽団の方々や指揮の和田氏が可哀そうでなりませんでした。
もっと自由にのびのびと演奏してほしかったです。
少なくとも、今回の音の乱れに関しては、演奏者と指揮に非はないという結論に達しています。

■物販は長蛇の列
話は変わって、物販について。
コンサート恒例の物販は、やはり長蛇の列ができていました。
物販開始1時間前に列に並んで、買い終えたのはそれから2時間半後。
先頭に並んでいた方は、一体何時から並んでいたのだろう。

物販商品は大量に用意されていたらしく、自分が買った時点ではまだ品切れはありませんでした。
というか、商品が大量にあり過ぎていて、物販会場となったD1ホールが倉庫のようになっていました。
ホールの面影がまるでなくなっていて、それはそれで珍しいものを見た気分になりました。

もし品切れしていたとしても、通販による受注を受け付けていたので、今すぐ欲しい!というものでなければ確実に手に入れることができたようです。
受注受付期間は短いですが、せっかく並んだのに入手できないということが無くなるので、これは良い対応だと思いました。

ちなみに、会場限定発売されたアルバムは、今回演奏された曲が全て収録されているわけではありません。
アンコールを含めて6曲ほど未収録なので、そこは注意が必要です。

■感想まとめ
演奏と映像については不満を爆発させてしまいましたが、コンサートが終わって少し時間が経過した今になって振り返ってみると、良かったという思い出しか浮かんでこないです。
音だけで涙ぐんだり高揚したりと感情を揺さぶられながら、結局のところなんだかんだで楽しんでいたのだと思います。
KHはオケと相性の良い素晴らしい楽曲ばかりなので、ぜひ今後もコンサートを開催してほしいです。
さしあたって、KH3が発売されたタイミングでいかがでしょうか。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと印象に残った曲ごとの感想になります。

[GMCD] 「ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団」アレンジサウンドトラック

PS Vitaで発売中のRPG「ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団」(以下、ルフラン)のアレンジサウンドトラックが発売されたので、ゲットしてきました。
収録曲数は17曲。再生時間は65分ほど。

昨年冬のコミケ(C91)に別の企業ブース目当てで参戦し、一通り目当てのものを勝ち取った後に一応チェックしておいた日本一ソフトウェアのブースへ行ってみたところ、それほど並ばずに買えそうだったので、このCDを購入してきました。
ルフラン自体は未プレイですが、「魔女と百騎兵」(以下、魔女百)と雰囲気が似ているということで、BGMも気になっていました。

確かに聴いてみたところ、「あ、これ、魔女百だ」と感じる曲が多かったです。
1曲目の「Draw Near」や2曲目「Witch's Depression」、「Labyrinth of the Refrain」は、魔女百の曲の雰囲気そのままです。
どこかじめっとしたほの暗さを感じる怪しげで気紛れでテンポの良い音色が、本当にそのまま。
特に管弦楽器やオルガン(かな?)の怪しい響きとコーラスの組み合わせにはゾクゾクしました。
魔女百のBGM好きにはたまりません。

とはいえ、全部が全部、魔女百っぽいかと言うと、そうでもなく。
しっとりした神秘的な曲、幻想的な曲もあります。
「Moonlight Piano」や「More Than Words」、「A the ha lluri da」がそんな雰囲気の曲です。
そういった曲が魔女サウンドの間に挟まり、その清涼感で怪しげな空気感を一度リセットしてくれるので、緩急の面でも良い展開だと思いました。
また、曲自体も普通に良い曲でした。しみじみ聴けます。

曲調は、全体的に民族音楽調が中心。
アコースティックサウンドの映える曲ばかりです。
これは、生演奏で聴きたいかも。
それも、大規模なオーケストラではなく、小規模の室内楽っぽい編成で。
3月25日に開催される魔女百のコンサートでルフランの曲も演奏されるそうですが、俄然楽しみになってきました。
どの曲が演奏されるんだろう、楽しみ楽しみ。

中にはロック調の曲もないわけではありません。
「Detuned Beat」は電子楽器がバリバリ鳴り響く激しい曲です。
でも、これがまたすごく格好良いです。
弦楽器とピアノとの相性も良くて、とても聴きやすいロックでした。

個人的に一番好きな曲は「Under Crasher」。
オーケストラとコーラスによる、とても壮大な曲で。
怪しさというよりも妖しさを含みつつ、格好良さと切なさが混ざり合ったような、そんな曲です。
初めて聴いたときに一発で気に入り、作業用BGMとしてこのアルバムを流しているときでも、この曲が流れると決まって手が止まります。
それくらい、自分のツボにハマった曲でした。

OSTは確か初回限定特典だったと思うので、ルフラン未購入な上に未プレイな自分は原曲を聴いたことがなく、そのためどれくらいアレンジされているのか判別が付けられません。
ただ、原曲を知らなくても十分楽しめるアルバムです。
魔女百の曲の雰囲気が好み、もしくは中世ヨーロッパを想起させられるようなアコースティックサウンドが好きな方にはオススメです。