[GMEV] BRA★BRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO 2017 with Siena Wind Orchestra

FINAL FANTASYの楽曲を吹奏楽で演奏される公式コンサート「BRA★BRA FINAL FANTASY」(以下、BBFF)が、今年も全国各地で開催されています。
そのうち、4月22日に開催された埼玉公演に行ってきましたので、その感想を記します。
会場は、大宮ソニックシティ 大ホール。
開演は14:00で、終演は16:25頃でした。

■「とにかく楽しむゲーム音楽コンサート」がコンセプトのユニークなコンサートシリーズ
BBFFには、昨年の2016に引き続いての参加。
今回、東京公演を選択せずに、わざわざ埼玉公演を選択したのは、

・土曜日の昼開催
・大宮は、自宅からそれほど遠くなく、交通の便も良い
・チケットの競争率が、東京公演よりも高くなさそう

という好条件が重なった結果でした。

もっとも、結果的に競争率はあまり気にしなくても良かったようですが。
当日券が発売されても、なお空席がちょっと目立っていました。
DQの吹奏楽コンサートが、時間的にも真裏で、かつ同じ埼玉県内で行われていて、それで客足が分割されてしまったようです。

BBFFのコンセプトは「とにかく楽しむゲーム音楽コンサート」。
手拍子OK、曲の終わりに軽率に「ブラボー!」と叫んでもOK、もちろんじっくり曲に集中するのもOK。
個々人の楽しみたい形で楽しめる、堅苦しさの全くない、非常に気楽なコンサートでした。

その気楽な場の雰囲気を作り出していたのが、FF音楽の生みの親の植松伸夫氏。
今回は製作総指揮という肩書にも関わらず、前説やMCすらも自らでこなす八面六臂っぷりを発揮。
さらに植松氏のユーモラスな人柄もあってか、場の雰囲気を温かくする一助であったような気がします。
今回演奏される曲の生みの親が「自由に気楽に楽しもう」と言っているのだし、じゃぁ楽しもうか、という気分にさせられました。

■「とにかく楽しむ」にしては、意外と守られていた参加者マナー
それくらい気楽で自由なコンサートにしては、最低限のマナーは守られていました。
フライング拍手&フライングブラボーをしない、演奏中の耳障りな雑音は極力控える、静かな曲やしっとりした曲は静かに聴く、などといった点はきっちり死守。
それに加えて、手拍子にしても、指揮の指示に従って控えるところ(ソロが入るため)や、曲が終わる指示が入ったところは、綺麗に揃っていました。
この揃い方が本当に見事で。誰一人ズレることがなかったところがすごかったです。
参加者のみなさん、熟練者揃いなのか完璧に調教され過ぎ。まぁ、自分もだけど。

ほんの少し前に、Twitterで「コンサートで軽率にブラボー!を叫びたい」「もっとノリノリで演奏を楽しみたい」というツイートが流れてきましたが、それを現実にやってみせたような演奏会でした。
楽しむところはみんなで大いに楽しんで、それでも最低限のマナーは守るという、演奏会の理想形の1つのように思えました。

■アルバム「BRA★BRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO 3」をベースにした曲構成
演奏された曲は、基本的にアルバム「BRA★BRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO 3」(以下、BBFF3)に収録された曲でした。
演奏曲の8~9割はBBFF3の曲で、数曲だけ1, 2から選曲。
BBFF3発売合わせのコンサートツアー(もしくはコンサートツアーに先駆けて発売されたBBFF3)なので、演奏される曲の大半がBBFF3の曲ということは予想できていましたし、その選曲や曲の並びにも特に不満はありませんでした。

ただ、BBFF3に収録された曲は全部演奏された点は、少し意外でした。
てっきりBBFF3に収録されていても演奏されない曲が、きっと1, 2曲あるのだろうなと思っていたので。

アレンジは特になく、ほぼBBFF3のアレンジのまま演奏されました。
あるとしたら、ほんの少しの音のバランスの違い程度です。
座席位置とホールの響きと生演奏によるものと思われるので、些細な違いです。

■難局も鮮やかに魅せた吹奏楽の良さ
演奏は、アルバムと同様にシエナ・ウィンド・オーケストラ(以下、シエナ)が担当。
指揮は、ゲーム音楽の演奏会ではもはや常連の、栗田博文氏。
鉄板の組み合わせでした。

この組み合わせのため、演奏は超高品質。
素人の自分が聴いても難しそうにしか思えない曲も、その高い技術力で見事に演奏しきっていました。

また、迫力も満点で、終始圧倒されるほどの音の力を感じました。
生演奏かつ吹奏楽だからこその迫力でしょうか。
CDで聴いていただけでは味わえない迫力です。
単純に音を耳で聴くのではなく、全身に打ち付けてくるものを感じるような、そんな感覚でした。
吹奏楽の面白さと底力を、これでもかと見せつけられたような気がしました。

BBFF3のアルバム収録曲をそのまま演奏されたためか、BBFF3のアルバムを聴いた時と生演奏を鑑賞した時の曲の印象の違いを、如実に感じられました。
今回の演奏会で楽器演奏を直接聴いて、CDで聴いたときと印象がガラリと変わった曲もありました。
生演奏は、やはり良いものです。
生音に包み込まれる感じが、非常に心地良かったです。

■来場者参加企画が今年も目白押し
今回の演奏会でも、来場者参加企画が多数用意されていました。
客席で気軽に参加できるものもありましたし、アンコールではステージに上がって演奏に参加できる曲までありました。
どの参加型企画も楽しかったです。
客席周囲の方々も、笑い合いながら参加していて、実に楽しそうでした。

当然、参加しないという選択肢を選ぶこともできました。
好きなスタイルで、自由に好きなように楽しめるのも、このコンサートの醍醐味だと思います。

■感想まとめ
演奏者側からも、観客席側からも、これほどまでに「楽しい」オーラを放出しまくっている演奏会も珍しいと思います。
それくらい、会場全体が曲を楽しんでいました。
それほどまでにFFの曲が愛されているということを、ひしひしと感じた演奏会でした。
とてもユニークで、楽しかったです。
生演奏の素晴らしさを気軽に気兼ねなく楽しめるので、「ゲーム音楽は好きだけど、クラシックスタイルの演奏会は堅苦しそうで・・・」と感じている方でも簡単に飛び込める演奏会だと思います。
最初の一歩には、ちょうど良いのではないでしょうか。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。
今後、別の公演に行く予定で、それまでセットリストを知りたくないという方は、ご注意ください。

[GMEV] モント・トレーネン・フィルハルモニカー演奏会 -古の記憶 魂の調べ-

4月15日にMond Tränen PhilharmoNikeR(モント・トレーネン・フィルハルモニカー、以下「月オケ」)の演奏会「-古の記憶 魂の調べ-」が開催されたので、行ってきました。
会場は、練馬文化センター 大ホール(こぶしホール)。
開演は13:00で、終演は16:00頃でした。

■ニーア好きによるニーアの楽曲好きのための企画オーケストラ
この月オケは、スクウェア・エニックスより2010年に発売されたA・RPG、Xbox360用の「ニーア ゲシュタルト」およびPS3用の「ニーア レプリカント」(以上2作品を、以下「ニーア」とする)の楽曲を演奏されるために結成された有志オーケストラです。
そのため、今回演奏された楽曲は、アンコールも含めてほぼ全てニーアの曲でした。
例外が1曲だけありましたが、ニーアの世界観を考えるとニーアと無関係とも言い切れない曲なので、あれはあれでとても効果的でアリだと思います。

ちなみに、自分は「ニーア レプリカント」の方をDエンドまでクリア済みです。
と言っても発売直後にプレイした古参ではなく、わりと最近プレイしたばかりです。
ニーアが発売された直後から「曲が良い」という評判を耳にしてOSTを購入し、その美しくも儚い曲の数々に魅了されてゲームにも興味を持ったのがキッカケです。
ただ、PVを見た時点ではあまりに難しそうに見えて、なかなか手が伸びないまま数年経過。
そんなときに、昨年の2016年、公式による演奏会「滅びのシロ 再生のクロ」が開催。
それを機に「いっそプレイできそうにないなら、せめてネタバレサイトで情報を漁ってシナリオだけでも軽く把握しておこう」と考察サイトを見てみたら、退廃的・終末的な世界観や容赦のないシナリオが非常に自分好みだとわかって、ようやくゲームをプレイした次第です。
なんだかアプローチの道程が色々間違っている気がしないでもないのですが、この件に関しては仕方ないと思っています。

ついでに言えば、PS3パッケージ版は釣りで1回詰み、その後友人の助言を借りてなんとか先に進められたものの、某ダンジョンの試練でもう1回詰んでいます。
その後、PS Nowでストリーム配信が開始されたので、プラットフォームが変わればクリアできるかもと一縷の望みをかけて再プレイして、3度目の正直でようやくクリアしました。
クリア後にもう一度再プレイしたいと思いつつも、釣りと試練がどうしてもネックとなっていて、その気力がいまだに出せずにいます。

そんなことはともかく。
今回の演奏会には、どうやらゲーム未プレイでも曲が好きで来られた方がたくさん居られた模様。
開演前や休憩時間中に周囲から、ゲーム未プレイと思われる連れに対して「ニーアはこういうゲームでさ」とか「あれはこういう場面のシーンで流れる曲でね」などと熱心に説明している声を、他の演奏会以上によく耳にしました。
確かに、自分がもしゲーム未プレイだったとしても、曲は大好きだったので、おそらく今回の演奏会には来ていたと思います。
ニーアオンリーで、しかも無料の演奏会ですよ、行かない手はありません。

■企画オケとは思えぬ演奏の完成度の高さ
有志による無料の企画オケ、ということもあって、正直なところ開演まで演奏の質については過度の期待をしていませんでした。
過去にも企画オケには何度も足を運んでいますが、演奏技術的に表現の難しい部分は情熱と勢いでカバーしているケースが多かったので。
また、ゲーム音楽の多くの例に漏れず、ニーアの曲もまた、演奏することを想定されていない難しいもののように思ったので。
そのため、開演前は「楽しめれば良いか」程度の軽い気持ちでいました。

が、いざ演奏が始まってみたら、演奏の質がめちゃくちゃ高くて驚愕しました。
有志オケによる無料の演奏会とは思えないぐらいに、演奏がハイレベル。
楽器の演奏もコーラスの歌声もものすごく丁寧で、最初の一音から最後の一音まで気を抜くことなく確実に演奏されていました。
また、調和にも気を使われていて、音の響きが崩れることなく常に美しかったことも印象的でした。

確かに、音が不安定になったり外していたりしていたところも皆無ではありませんでしたが、おそらく数えられる程度だったかと。
それくらい、しっかりと丁寧にまとめられた演奏になっていました。

またニーアの楽曲の特徴でもある感情的な表現も豊かで、穏やかなところ、切ないところ、狂気じみたところが、確かに音に反映されていました。
特に喪失感や攻撃性、狂気などの負の感情が発露する曲の演奏は、鳥肌ものでした。

これまで行ったことのある有志の企画オケと比べても、相当上位に入るくらいの高レベルな演奏でした。
これを超える企画オケなんて、そうないのではないかと。

ニーアの世界観をすごく大事にされている雰囲気が音の一粒一粒から感じられて、あの世界観が好きな身としては嬉しく思いました。
「楽しめれば良いか」なんて軽く考えていて、本当にすみませんでした。
演奏会が終わった今となっては、高品質で演奏してくれた感謝の念とともに平身低頭したい気分です。

■ニーアを描く上で欠かせないコーラス隊の活躍
今回の演奏会で特に活躍されていたのが、コーラス隊だったと思います。
その歌声のハーモニーがとても素晴らしくて、すごく綺麗な響きでした。
ニーアの世界観にとてもマッチした、脆さ、儚さ、曲によっては力強さと破壊衝動、それらがコーラスによって見事に描かれていました。
どれほど練習されたのかわかりませんが、トレーナーさんが付いて、すごく丁寧に細やかに練習されたのではないかと思います。
それが垣間見えるような、そんな美しい響きでした。

また、有志でコーラス隊を結成すると、声質的に他の人と混ざり難い声の持ち主が一人や二人はいて、その声だけが悪目立ちしてしまうことがよくあるものですが、今回それがなかったのも印象的でした。
コーラス隊全員の歌声が一体となってホール内に広がっていく様は、鑑賞していて気持ちが良かったです。

■的確かつ精確な指揮
今回の演奏会の指揮は、後藤正樹氏。
後藤氏の指揮は久しぶりでしたが、相変わらず見事なまでに的確で精確な指揮だったと思います。
その的確さは、音楽素人の自分にもわかるくらい。
どの曲の演奏時だったか忘れてしまいましたが、少しだけ大きな一音を出していた楽器に対して即座に指示を出したっぽい後、次の一音ではちゃんと抑えられた音になっていたところが、すごく印象に残りました。
全体の音を客観的に、かつ瞬時に把握して、バランスや表現を調整する、それが指揮者の役目かと、その指揮姿を眺めながら思いました。
指揮者の楽器はオーケストラだと、どこかで耳にしたことがありますが、今回の指揮を見てその言葉をふと思い出しました。

それにしても、後藤氏の指揮は、何度見てもやっぱり好きです。
理由はよくわからないのですが、何故だか魅了されるものを感じます。
全体を瞬時に把握して、その場の最適解を即座に導き出し、的確に指示を出されている頭の回転の速さは、いつも見てもすごいなぁと思うのですが、それだけではないような気もします。
他の指揮者の方々に比べ、感情よりも理性が強いというか、理性で感情をコントロールしているような印象を受けるのですが、そこにも不思議な魅力を感じています。

ただ、今回一瞬だけ妙に印象に残ったシーンがありました。
3曲目か4曲目だったと思うのですが、メドレーの曲と曲の間が少し空いたところでフライング拍手がパラパラと起こった瞬間に、後藤氏が客席の方を一瞬だけ睨んだように見えたところです。
おそらく無意識の反応だったような気もしますが、あまりにも眼光が鋭くて、そこに演奏に対する素の感情の一片が垣間見えた気がして、その一瞬がすごく印象に残りました。
とはいえ、その鋭さからそれだけ真剣に曲や演奏と対峙されている感じがして、逆に好感度が上がりましたが。

ちなみに、ある曲の最中に指揮棒を吹っ飛ばすというアクシデントもあって、そこもある意味印象的でした。
後方の客席からも、放物線を描く指揮棒がばっちり見えました。

■ニーアの物語を考え尽くされた曲構成
曲の構成は、ゲームのシナリオをなぞったものになっていました。
第1部はゲーム前半(レプリカントで言えばニーア少年期)、第2部はゲーム後半(レプリカントのニーア青年期)、第3部は決戦、という構成。
その構成もまた、演奏同様に完成度が高くて、すごく練り込まれたものでした。

その完成度の高さは、曲と曲の間の拍手に困ったほどです。
演奏に感動した想いを伝えたくて拍手したい気持ちがありつつも、拍手せずにこのまま続けて演奏を聴きたい気持ちもあって、一曲演奏が終わる度に葛藤がありました。
こんなに拍手一つで戸惑った演奏会は初めてかも。

また、非常にゲームに忠実な構成だったためか、ゲームプレイ時の記憶とのシンクロ率が半端なかったです。

第1部と第2部は、わりと冷静に鑑賞できていました。
あんなイベントがあったなぁ、その後にそんなシーンもあったなぁ、と、思い出を掘り起こしながらゲームを追体験している気分でした。
まぁ、普通にゲーム音楽の演奏会を鑑賞しているのと同じ感覚です。

が、第3部に突入した途端、ゲームプレイ時の記憶が一気にフラッシュバックしてきて、それがぴったり演奏とクロスし、その結果、感情が限界突破しました。
懐かしさ、切なさ、登場人物たち各々の切なる想いの強さ、戦わざるを得ない皮肉さと非情さ、その結末のやるせなさが、一気に押し寄せてきた感じです。
第1部、第2部でもそんな感情は確かにあったのですが、それ以上のものが第3部でどっと襲い掛かってきて。
結果、感情が千々に乱れる感覚に陥りました。

本編最後の曲が終わったときは、やるせない気持ちでいっぱいになりました。
満足感も確かにあったけれど、それと同じくらいにやるせない気持ちもありました。
満足感は演奏に対してのもので、やるせなさはゲームに対するものだと思いますが、それらがごちゃごちゃになってしばらく気持ちの整理が付きませんでした。

なんとか気持ちと折り合いを付けようとしてあれこれ考えた結果、結論としては「感無量」という言葉が一番しっくりきました。
うん、感無量な演奏会でした。

■原曲を重視しつつもフルオケ用にアレンジされた楽曲の数々
編曲の傾向としては、原曲重視。
ただ、他の企画オケよりも、やや強めにアレンジされていたように感じました。
原曲をそのまま素直にオーケストラに落とし込むのではなく、ゲームの各シーンで伝えたいことや、その時の登場人物たちの心情まで再現するような、そんな編曲だったように思います。

まぁ、原曲があまり音に厚みのないある意味さっぱりした硬質な曲が多く、これを単純にオケに落とし込んだだけでは味気ないものになりそうなので、今回披露された程度の編曲はアリではないかと。
フルオケで演奏する上で必要な緩急やメリハリを、原曲よりもやや強めに付けるためと思われるアレンジが多かったですし。
それに、原曲の雰囲気をとても大切にしつつ、ゲームの各シーンとも真っ正面から向き合ったような編曲だったので、不満はほとんどありません。
むしろ、すこぶる満足しています。

ただ一点、ちょっと不満に感じた点があるとすれば、同じ曲を何度も聴くことになったこと。
これは曲の構成も絡む話なのですが、あまり大きなアレンジの違いのない曲を、1つの演奏会中に3, 4回も聴くと、さすがに飽きるというか疲れるというか。
構成を大事にした結果というのも理解できなくもないのですが、アプローチの仕方を少し変えてみるなどの飽きない工夫が欲しかったなぁ、という気もします。

■凝った演出だけでなく、豪華なサプライズまで続々と
演奏以外についても少し言及します。

演奏以外の部分においても、ニーア一色な演奏会でした。
特に開演前と休憩時のカゲアナが、ニーア好きにはたまらないくらい凝ったものでした。
鑑賞時の注意事項が「掟〇〇〇」になっていたり、「休憩」ではなく「休息」だったり。
細かいところまで凝っていました。

また、アンコールではシークレットゲストとして、実際にニーアの楽曲に参加された中川奈美さんが登場。
そのままアンコールの演奏にも参加されていました。
終演後にはマイク片手にステージ上からアナウンスを行っていましたが、声質からするとどうやらこれまでのカゲアナも全て中川さんだった模様。
全然気付きませんでした。
確かに、開演前アナウンスのうち掟の部分だけやや厳格な雰囲気に変わったから、妙に小慣れているアナウンスだなぁとは思いましたが。

さらに、アンコール1曲目の後には、ニーアの曲を作曲をされた岡部啓一氏とディレクターのヨコオタロウ氏も、スペシャルゲストとして登壇。
エミールヘッドを付けていない素顔のヨコオ氏を見たのは初めてかも。
岡部氏は、自身のニーアの楽曲を自画自賛しつつ(実際、ものすごい良曲ばかりですが)、しっかり(ちゃっかり?)「ニーア オートマタ」の宣伝もされていました。
その一方で、GWに開催予定の公式演奏会の宣伝がなかったのは、チケットが既にSOLD OUTしていたからでしょうか。

ところで、中川さんのコメントで「OSTがゲームの3倍売れてる」「ゲームを買った人の3分の1の方がOSTを買っている」とあったのですが、あれは本当なのでしょうか。
そういえば、「滅びのシロ 再生のクロ」でヨコオ氏が「ゲームより音楽の方が評価されている」というようなコメントをされていたし、本当にその通りなのかもしれない。

それにしても、ゲームクリエイターやゲーム音楽の作曲家の方々は、本当にフットワークが軽いなぁと思います。
過去にも、アマチュア楽団の演奏会に作曲の方が直々に来場されるケースは多々ありましたが。
非公式の演奏会にも関わらず足を運んでくれて、場合によっては軽くトークまでしてくれて、ファンとしても嬉しい限りです。

■感想まとめ
予想の遥か上を行く素晴らしい演奏、構成、編曲の数々で、たっぷりとニーア充できた演奏会でした。
ニーア好きとしても、ニーアの音楽好きとしても、今回の演奏会に参加できて良かったし、満足しました。
演奏とゲームプレイ時の記憶がシンクロして、感情の整理が追い付かないような珍しい体験もしましたし。
これが無料の演奏会なんて勿体ないくらいでした。
わりと真剣に、チケット代の振込先はどこですか?と問い合わせたいくらいです。

岡部啓一氏も仰られていましたが、ぜひ「ニーア オートマタ」の演奏会も開催してほしいです。
「ニーア オートマタ」も良曲が揃っているし、「ニーア オートマタ」の方がフルオケに向いていると思うので、検討をお願いしたいです。
たとえ開催までに7年かかるとしても、待ちます。待つ覚悟はできています。

※[2017/04/16更新] コメントでご指摘をいただいた点について修正しました。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。

[ゲームRev] CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!

Xbox One/PS3/PS4/PS Vita/PC他でリリースされたADV「CHAOS;CHILD」(以下、カオチャあるいはカオチャ本編)のファンディスク「CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!」(以下、カオチャLCC)が発売されたので、予約して購入しました。
プレイ時間は、トゥルーエンド到達までに30~40時間。
そこからトロフィーコンプにかかった時間は、+3時間ほど。
カオチャ本編に比べると、テキスト量はおよそ半分ほどかと思います。
そもそもカオチャ本編のテキスト量が一般的なテキスト型ADVゲームの2倍と膨大なので、カオチャLCCのテキスト量の方が標準サイズとも言えます。

ボイスをほぼ全部ちゃんと聞いてこの時間なので、テキスト読むだけならもっと短時間でクリアできると思います。
ちょっと性的にマニアック過ぎてマトモに聞けなかったシーンが1, 2ヶ所あったので、そこだけすっ飛ばしましたが。
ただ、CVの方々の声の熱演が凄過ぎるので、ボイスは聞いた方が良いです。特に拓留。
主人公・宮代拓留役の松岡禎丞さんが、一体どこから声を出しているのか、どんな声帯してるのか、こんな声を出し続けていて喉が潰れないのか、もはや不思議しかない声を、カオチャ本編に引き続き今回もあちこちで出してます。
拓留のテンションの振り幅がカオチャ本編よりも大きいためか、なんだか本編よりも凄いことになっているかも。
別に俺は久野里さんサイドの人間ではないけれど、正直、喉をはじめとする呼吸器系を解剖して見てみたくなりました。

他のCVも凄いことになっているので、その声芸を聞くだけでもプレイする価値はあるかもしれません。
シーンによっては、声芸で張り合っているようにしか聞こえません。
それだけに、掛け合いが面白かったです。

シナリオの内容や舞台は、完全にカオチャ本編の後日談。
カオチャ本編のネタバレが、冒頭からそれはもうボロボロ出てくるので、カオチャ本編クリア済みであることが前提です。
アニメでは足りません。ゲームクリア済みが前提です。
というか、テキスト型ADVに抵抗のない方は、ぜひカオチャ本編をプレイしてほしいです。
シナリオがめちゃくちゃ良いので、本当にプレイしてくださいお願いします!
カオチャ本編をプレイして、その上で少しでもその後の話が気になったらカオチャLCCをプレイするくらいが、おそらくちょうど良いと思います。
うん、まずはカオチャ本編のプレイから。話はそれからだ! だっ!!

あと、結構がっつり恋愛要素、性的要素が盛り込まれているので、そこを楽しめる方推奨なところもあります。
自分は、グロ耐性はかなり高いので本編程度のグロ表現なら平気だったのですが、逆に恋愛要素や性的要素はやや苦手らしくて、プレイしていてツラかったところがしばしば。
プレイしているだけなのに、あまりにも気恥ずかしくて正視できなくなり、耐えられなくて意識が遠のいた箇所がいくつか。
プレイしていてどちらがツラかったかと問われれば、多分LCCの方に一票を投じると思います。
本編も本編で別ベクトルで辛いけれど、LCCの方が苦手なツラさでした。
俺、やっぱり恋愛要素ダメなんだなぁ。Memories Offシリーズをプレイしていたときから薄々気付いていたけれど、ここまでとは。
まぁ、非リアだから仕方ないね。

それでも、楽しめる要素も多々ありました。
全体的にラブコメだけど、カオチャ本編を踏まえたラブコメになっているので、カオチャ好きにはたまらないシーンが多数。
まぁ、良い意味でも悪い意味でも、という形容付きで、ですが。

シナリオも、それなりに楽しく読めました。
各ルートにヒロインの特性に合わせた味があって、面白かったです。
比較的どのルートも「似たような話どこかで見たような」という気がした王道路線だったけれど、その分ハズレがなくて、王道ならではの安心感と安定感がありました。

ルート分岐は、結構わかりやすいです。
ADVゲームに慣れている方ならば、何が分岐フラグかすぐにわかるかと。
攻略サイトなしの自力プレイでも、たぶんトゥルーエンドまで到達できると思います。
ちなみに、トゥルーエンドまでだったら、自分も攻略サイトに頼らず自力で到達しました。
その後、トロコンのために、ちょっと攻略サイトを見たぐらいです。

カオチャ本編に引き続き、今回も妄想トリガーがあります。
ただ、ネガティブトリガーを弾いても、それほどグロくはありません。
ポジティブでもネガティブでも、どちらを弾いても大抵エロいです。
ただ、精神的ダメージの大きさが違うぐらいです。
人によってはご褒美かもしれませんが。

妄想トリガーの妄想シーンは、本編よりも暴走していたように思います。
というか、なんつー妄想してるんだよ拓留。
妄想トリガーのシーンだけ見たら、本当に残念男子でしかない。

もっとも、それだけでは終わらないから、宮代拓留という人物が好きなんですけれど。

そんなわけで、サスペンス要素満載だったカオチャ本編からがらりと雰囲気を変え、ラブコメ要素満載になったカオチャLCC。
グロ要素がない分、本編よりも優しくなっています。
カオチャ本編を面白く感じられた+ラブコメに抵抗がない方にはオススメです。

・・・・・・さて、本編やり直すか。


※これより下の追記以降には、カオチャ本編およびカオチャLCCのネタバレが多数含まれています。
本編トゥルールートおよび本作トゥルーエンドまでプレイしていない方は、閲覧の際にご注意ください。


[GMCD] NieR:Automata Original Soundtrack

PS4で発売されたA・RPG「ニーア オートマタ」のOSTが発売されたので、早速一通り聴いてみました。
CD3枚組で、全46曲収録。再生時間はトータルで3時間34分ほど(HACKING TRACKS除く)。

ちなみに、ゲームはEエンドまでクリア済みです。
ゲームをプレイしている間から、「ゲーム性やグラフィックだけでなく、BGMもすごく良いな」と思っていました。
そのため、時折プレイの手を止めて、美しい背景を眺めながら曲に聴き入ることもしばしば。
ゲーム中の各場面との適合性の高さだけでなく、曲単体としてもすごく完成度が高いと感じていました。
そしてゲームクリアしてからはずっと、OSTの発売を心待ちにしていました。

改めてOSTでBGMを聴き直して、改めて曲の良さを認識しました。
率直に言って、すごく良いです。とんでもなく良いです。
「ニーア ゲシュタルト&レプリカント」の曲もとても良かったけれど、それに比肩するレベルだと思います。

一曲一曲どこにも手抜きが感じられなくて、どこにも捨て曲がありません。
表現はちょっと荒っぽいですが、曲に憑り付かれて離れられなくなるような、そんな魅力があります。
むしろ、そのような魅力しかないです。
どの曲も、思わず聴き入ってしまいます。

曲の雰囲気は、民族音楽調も取り入れられたアコースティックサウンド。
ピアノやストリングスようなアコースティックな音色によって、静謐さや神秘性が表現されています。
その中に、儚さや脆さが垣間見えます。
手を離したら消えてしまいそうな、それでいて少し触れただけでも壊してしまいそうな、そんな儚さと脆さです。
そこも「ニーア オートマタ」の曲の魅力なのかもしれません。

バトル曲のような激しい曲からも、非情さ、虚無感など、ネガティブな波動満載。
それでいて、使命感を掻き立て強い衝動を湧き起こさせるところは、もう絶妙としか言いようがありません。

唯一脱力するぐらいにポジティブな曲は、「エミール / ショップ」くらいでしょうか。
ゲームをプレイされた方ならご存知の方も多いと思いますが、あのエミールが歌う場違いに明るい曲です。
場違いにノリノリで可愛く楽しい曲のため、ある意味、唯一の癒し曲いなっています。
というか、エミール、お前、音痴だったのか。。。
まぁ、そこも微笑ましく感じましたが。
「どっこいしょ♪」とか、可愛過ぎかよっ!

「エミール / ショップ」に限らず、最近のゲーム音楽では珍しくなくなりましたが、コーラス入りの曲も多数あります。
とはいえ、コーラスの自己主張が強い曲はどこにもなく、どのコーラスも伴奏に上手く溶け込んでいて全く邪魔に感じません。
むしろ、その透き通ったウィスパーボイスが、「ニーア オートマタ」の空気感を醸し出す一助となっています。
また、どれも耳に心地よく響いて、良い感じに心を震わせてくれます。

再生時間はCD3枚分たっぷり詰まっているのに、曲数が他のOSTに比べて少ないのは、1曲あたりの尺が長いためです。
特にフィールド曲は、1曲あたり5, 6分の尺になっているものがほとんどです。
ゲームでは、フィールドを移動しているとコーラスが入ったり無くなったり、音数が増えたり減ったりしていましたが、それがOSTでも再現されています。
1つの曲が様々なバリエーションで展開されていて、結果、尺が長くなっています。
その展開がまたすごく凝っていて、そこにも手抜き無しの全力投球感を感じました。

作曲家陣は、「ニーア ゲシュタルト&レプリカント」の岡部啓一氏だけでなく、他の方々も参加されています。
その中でも、帆足圭吾氏の曲が結構耳に残ることが多かったです。
自分にとって特に印象的だった曲は、「遊園施設」(廃墟遊園地のBGM)。
あの曲が耳に入ると途端にゲームシーンにトリップできるし、さらにしばらく脳内で自動再生されてしまうくらい、感染力の強い曲でした。
もはや、洗脳曲とも言えるレベルです。
もっとも、好きな曲の一つなので、全く問題ありませんが。

「ニーア オートマタ」を語る上で重要な曲となる「Weight of the World」は、全4バージョン(英語版、日本語版、フランス語版、ヨルハ版)が収録されています。
その中でも、ヨルハ版は必聴です。
冒頭は8bit音源版から始まり、1サビ以降は英語版、日本語版、フランス語版が交互に入れ替わる状態に。
英語版、日本語版、フランス語版がそれぞれ、2B、9S、A2の唄と考えると、それだけで胸熱です。
その上、中盤以降にはバックにコーラスが入る全員合唱状態になるという圧巻の演出。
まさに、ヨルハ部隊の唄。
この曲を聴く度に、この曲が流れるゲームのシーンを強烈に想起させられて、その都度心が震えて泣きそうになります。

ついでに、早期購入特典の「HACKING TRACKS」についても少々。
「HACKING TRACKS」には、「ニーア オートマタ」の楽曲を8bit音源にしたものが収録されていました。
ハッキング時に流れるBGMです。
全16曲、約46分収録されています。

ゲームプレイ時はハッキングがあっという間に終わったり、BGMに耳を傾けている余裕がなかったりと、あまりちゃんと聴けていなかったので、ようやくきちんと聴けた気がしました。
8bit音源になったことで懐かしさを感じつつも、原曲の雰囲気を色濃く残しているので、なんだか不思議な気分になりました。
「ニーア オートマタ」が遥か未来の話ということもあってか、遠い未来の音が数十年前にタイムスリップしてきたような、そんな不思議な感覚です。
でも、悪くないです。むしろ、面白いと思いました。

ゲームプレイ時に感じた感動をそのままOSTに記録したような、心に突き刺さる曲の多いとても良い作品でした。
ゲームをプレイして、BGMに心魅かれた方はぜひ買いましょう。
また、ゲーム未プレイでもおそらく十分聴けるOSTだと思うので、アコースティックサウンドなゲーム音楽好きの方にもオススメです。
「ニーア ゲシュタルト&レプリカント」の曲が好きな方は、ゲーム未プレイでも問答無用で聴いてほしいです。

[本] CHAOS;CHILD -Children's Revive-

2017/04/08(土) 11:31:37 | カテゴリ:
原作・MAGES/著・梅原英司「CHAOS;CHILD -Children's Revive-」(講談社ラノベ文庫)読了。

Xbox One/PS3/PS4/PS Vita他で展開されているADVゲーム「CHAOS;CHILD」(以下、カオチャ)の後日談を描いたノベライズ「CHAOS;CHILD -Children's Revive-」が発売されたので、発売日に買って一気に読みました。
遅読っぷりには自信のある自分ですが、読み終わるまでにかかった時間は5時間ぐらい。
クセのない文体なので読みやすくて、ラノベにしてはさくっと読めました。

ちなみに、読み終わったのは発売日の4日後で、それからこのレビューを投下するまで少し時間が経っているのは、1日違いで発売された「CHAOS;CHILD らぶchu☆chu」を絶賛プレイ中のためです。
そっちは現在進行形で、ようやく半分ぐらいまで進んだかな、というあたりです。
正直なところ、SNSやニコ動のコメントなど受動的に目に入ってきてしまう情報から極力ネタバレを回避し続けるのにも若干疲れを感じてきていて、なんかもういっそネット絶ちしたいなと思いつつあるところです。

閑話休題。

舞台は、カオチャのトゥルーエンド後。
あの印象的なエンディングから、それほど時間の経っていない頃です。
主要登場人物たちそれぞれの身に起きた出来事が、オムニバス形式で綴られています。

カオチャ本編トゥルーエンド後の話という事情もあるため、本書はカオチャ本編をトゥルーまでクリア済みであることが前提です。
というか、裏表紙のあらすじに本編のネタバレが掲載されているので、それ以前に本編未プレイの方は本書を手に取ってはいけないレベルかもしれません。
内容自体もカオチャ本編とかなり密接に繋がっています。
本編を知らないと、内容の半分も理解できないと思います。

逆に言えば、カオチャ本編をクリア済みで、あの後の彼ら彼女らが気になる方には、オススメの作品です。
カオチャのメインシナリオライターさん直々に書かれた作品ですし、内容もハッと考えさせられるものがあちこちに散りばめられていて面白かったです。

本書に綴られている物語はどれも、カオチャ本編ほどセンセーショナルなものではありません。
各登場人物たちの”日常”生活の中で起こった、ちょっとした変化の物語です。
ただ、それだけに、どの物語も心にズシンと来ました。
”ちょっとした変化”の匙加減が絶妙で、なんだか妙なリアル感がありました。
カオチャ本編も第三者的立場で物語を読み進めていったら最後にぐっさりと心を抉られたのですが、本書の後日談の場合は少しずつ優しく心を削がれていくような感じがしました。
カオチャ本編のようなセンセーショナル感が低減されている分、より一層「あ、あり得そう」というリアル感を強く感じました。
特に、カオチャ本編を現実で報道されている事件に置き換えて考えると、さらにそれが強くなるかと。

ただ、カオチャ本編と異なり、読みながら心を削がれつつも、削がれた先から削がれた分だけ修復させられます。
その点では、読者にとっても登場人物たちにとっても優しい作品だったと思います。

読後感は、なんというか、いろいろな感情が入り混じって言葉にするのが難しいのですが、「良かった」でしょうか。
一抹の寂しさと侘しさがありつつも、救いも感じました。
カオチャ本編の延長線上の物語なので、完全にすっきりさっぱり綺麗に完結させることは、まずできません。
第三者による興味本位の汚い部分も、あちこちで結構描かれています。
それと比較するような形で、当事者同士で互いに助け合いながら、周囲の逆境に毅然と立ち向かっていく強さもあったり。
あの事件が残した傷痕を抱えつつも、それでも地道に、普通に、前向きに生きていくいく姿には、感動を覚えました。

しかし、カオチャ本編でもそうだったけれど、本書もネタバレをしないように気を付けて感想を書くのが難しい作品です。
気になったら、カオチャ本編クリア後にぜひ読んでみてください。
カオチャ本編トゥルーED後、残された当事者たちのその後の生き様が気になる方にはオススメです。


これより下の追記は、ネタバレ満載の感想になります。
本書だけでなく、カオチャ本編のネタバレにも触れることになるので、読み進める場合は注意してください。
LCCはまだプレイ中だから、そっちにあまり触れないと思います。

[GMEV] MUSICエンジン 第二回演奏会

4月1日にMUSICエンジンの第二回演奏会が開催されたので、行ってきました。
会場は、清瀬けやきホール。
開演は14:00で、終演は15:50頃でした。

■メジャー路線から少し外れたゲームタイトル
昨年11月に第一回演奏会が開催され好評を博した、MUSICエンジンの第二回演奏会。
第一回のときにそのハイレベルな演奏技術と編曲で一気に魅了されたため、今回の演奏会も楽しみにしていました。
しかも、個人的なイチオシである「ルドラの秘宝」の曲を演奏するとあれば、もはや行かない手はありませんでした。

今回演奏された楽曲は、「ルドラの秘宝」(以下、ルドラ)と「ブレス オブ ファイア」(以下、BoF)の2本立て。
ともにSFC時代のゲームです。
ゲームタイトルとしての知名度は、中の中ぐらいでしょうか。
SFC時代のコアなRPG好きだったら大抵の方は知っている、逆に言えばそうでなければ大抵の方が知らないタイトルかもしれません。
BoFは今もシリーズの続いている作品なので知っている方も多いかもしれませんが、ルドラは単発作品なので知らない方が多いかも。

前回の「エストポリス伝記2」のときにも感じましたが、そのメジャー路線からあえて少し外れたゲームタイトルが選ばれている点も、この楽団の魅力の一つだと思います。
たくさんのメジャーな作品の中に埋もれてしまっている良曲を拾い上げてくれているようで、昔からのゲーム音楽好きとしてはとても嬉しいです。
なんというか、気付いてくれたんだ!という感激みたいなものでしょうか。
マイナーな作品なので集客的には不利であるけれど、それを振り切ってでも演奏会を企画し開催してくれた関係者の方々に、感謝の念を抱いています。

ちなみに、ルドラもBoFも、他の演奏会では聴いたことのないゲームタイトルです。
かれこれ何十というゲーム音楽の演奏会に足を運んできましたが、自分がこれまでに行ったことのある演奏会では、たぶん一度も聴いたことがありません。
むしろ、今回の演奏を聴いて、何故これまで演奏されてこなかったのか、逆に不思議に思いました。

■プロの演奏者によるガチの演奏
ゲーム音楽、それもSFC時代の作品なんて、そもそも人の手で演奏されることは想定されていないので、ピロピロした旋律が多分に含まれている難しいものばかり。
音楽素人の自分の耳で原曲を聴いていても「これ、一体どうやって人の手で演奏するんだ?」と思うような曲ばかりです。
が、ステージで演奏されていた奏者の方々は皆プロの演奏者なので、演奏技術は折り紙付き。
その高い技術力でもって、一見難しそうなフレーズも見事に華麗にこなされていました。

それに加えて、プロの演奏者でありながらゲームあるいはゲーム音楽が好きな方々ばかりなので、曲への情熱もすごかったです。
プロの技術にゲーム音楽への情熱が加わると半端ない化学反応が起こる、という現場には過去に何度か居合わせたことがありますが、今回もその例に漏れることはなく。
演奏中だけでなく曲と曲の合間からすらも、とてつもなく大きな熱量をステージ上から感じました。
その熱量に、終始圧倒されていました。
プロの技術に情熱が加わると、本当にすごいです。すごいという言葉しか出てこないくらいにすごいです。

■中規模編成ながら、バランスの良い組み合わせ
今回の演奏会の編成は、弦楽器+木管楽器(フルート、オーボエ、クラリネット)+金管楽器(トランペット、ホルン)+パーカッション(ドラムセット含む)+ピアノ(シンセサイザー含む。
総勢20人という編成でした。
少なくはないけれど、多くもないという人数です。

ただ、バランスはすごく良かったです。
各パートの音のバランスが絶妙で、どこかのパートの音が突出して前に出過ぎることもなく、逆に弱くて埋もれてしまうこともなく。
パートごとに全体のバランスを互いに常に調整し合っていて、結果的にちょうど良いバランスになっていました。

開演前に若干不安視していたドラムセットも、実際に演奏が始まったら、そんな不安はあっという間に消し飛んでしまいました。
ドラムセットというと、これまでの経験上、前に出たがる演奏者の方々が多かった印象が強くて、今回もそうだったらどうしようと思っていたのですが、完全に杞憂に終わりました。
他の楽器の音色の溶け込むような絶妙なボリュームで、主旋律を盛り上げる裏方に徹する一方、インパクトを効果的に与えるべきところでは与えていたところには、すごく好感が持てました。
絶妙なバランスだったと思います。
ドラムスの方、本当に素晴らしい力加減でした。

■長年の念願がようやく叶った「ルドラの秘宝」
まず、前半に演奏されたルドラについて。
自分のルドラ歴は、まずゲーム雑誌で情報を入手したことがキッカケでした。
言霊システムと世界観に興味を持って、漠然とプレイしたい欲求を抱いた覚えがあります。
ただ、当時ゲーム禁止家庭の実家住まいだったためゲームをプレイすることは叶わず、さりとてマイナー作品故にOSTを入手する機会もなくて、消化不良な日々を過ごしていました。
そんな日々の果てに、独り暮らしを始めたことによりようやくゲーム禁止の制約から解放されて、まずやったことはOSTのゲット。
そこで聴いた曲がどれもとてもツボにハマり、それによりゲームへの興味が再燃して、とある機会にゲームもクリアしました。
そんな紆余曲折のある思い出深い作品が、ルドラです。

そのルドラの楽曲を演奏すると知った時点で、もうチケットゲットは確定でした。
OSTを入手して魅了されて以来、ずっと生演奏で聴きたかったルドラの曲を、今回ようやく聴けたわけです。
それだけでもう感謝感激雨あられ。
自分の悲願を成就してくださって、本当にありがとうございますMUSICエンジンさん!

そんなわけで、今回の演奏会の目当ての大半は、ルドラの曲でした。

編曲は、原曲をそのまま素直に管弦楽に落とし込んだような感じでした。
原曲重視というよりも、原曲再現と言った方が近いかも。
とはいえ、元の音源がSFCなので、そっくりそのまま同じというわけにはいきません。
また、多少のアレンジも加わっていたと思います。
が、原曲をがっつり聴き込んだ上で今回の演奏を聴いても、違和感はほとんどありませんでした。
むしろ、原曲に近い感じで再現してくれた分、OSTを聴いていた当時やゲームをプレイしていた時の懐かしさがぶわっと湧き出してきて、ゲームのシーンをちらちらと思い出しながら聴いていました。
ルドラは、ゲームも音楽も、本当に夢中になったなぁ。
懐かしい、とても懐かしいです。
懐かしさのあまり、曲が進むにつれて感動が積み重なって、最終的には涙腺が崩壊しました。
それくらい、素晴らしい演奏でした。

■今回の演奏会のために原曲の音源を購入して予習して臨んだ「ブレス オブ ファイア」
後半はBoFの楽曲を演奏。
BoFは、GBA版をプレイしたようなしていないような曖昧な記憶しかなく、そのためBGMの記憶はほとんどありませんでした。
とはいえ、原曲を全く知らないまま演奏会に突撃するのも無謀かなと思い、演奏会が開催される10日ほど前にiTunesでサウンドコレクションを購入。
一応曲だけでも予習しておくか、という軽い気持ちで、ざっくり聴き込んでから今回の演奏会に臨みました。

ゲームはほぼ未プレイ(プレイしていたとしても、もはや記憶にほとんど残っていない状態)だったので、開演前はついていけるかどうか不安がありました。
が、蓋を開けていたら、意外と本気で聴き入っていました。
予習が功を奏したのか、原曲や今回の演奏が素晴らしかったからなのかは不明ですが、意外と楽しく演奏を堪能できました。

編曲の方針はルドラの時とは少し違っていて、SFC音源の原曲からクラシカルな楽器で広がりのあるクリアなサウンドにしつつ、メリハリを少し強調させたような感じになっていました。
もしBoFが最新ハードでリファインあるいはリメイクされることがあれば、きっとこんな感じになりそう、という感じです。
むしろ、そのような機会が生まれたら、BGMは今回の演奏会のもので良いのではないかとすら思ったくらいです。

多少アレンジが加わっていたとはいえ、基本的には原曲重視。
雰囲気を十分に残しつつも、音の広がりや幅、場の臨場感を拡張させたような感じです。
原曲を知らなくても楽しめたかもしれませんが、原曲を知っていても違和感なく楽しめました。

今回の演奏会でBoFの原曲をじっくり聴く機会に巡り合えたのですが、生演奏で聴いたBoFの曲もとても格好良かったです。
原曲を聴いたときは、率直に感想を言えば良くも悪くも「あ、ゲーム音楽だ」で完結してしまっていたのですが、生演奏によって格好良さがより一層引き立てられていたように感じました。
「この曲、こんなに格好良かったっけ?」のオンパレードで。
それにより、原曲の良さが再認識できて、また一つお気に入りのゲーム音楽が増えました。

■中規模ながらも利便性の高いしっかりしたホール
会場である清瀬けやきホールは、キャパシティ500人ほどの中規模の音楽ホール。
初めて足を運んだホールでもあります。
それほど大きなホールではないのですが、意外と音響はしっかりしていたと思います。
そして何より、観客席の傾斜が結構急で、前の席との高低差がかなり大きく、そのおかげで前の席の方の頭でステージが見えない、ということがなかったのは好印象でした。
交通の便はあまりよくないけれど、このホール、結構良いかもしれません。
個人的には、前の方の頭が邪魔にならずに、ステージの全景を見ることができた点を、大いに評価したいです。
このホールを見つけてくれた方、とてもGJでした。

■感想まとめ
プロの演奏者によるマイナー楽曲のゲーム音楽専門の管弦楽団「MUSICエンジン」の第二回演奏会でしたが、第一回に負けず劣らずの素晴らしい演奏の数々でした。
演奏を聴いていて、胸が熱くなったり、たぎったり、切なくなったり、楽しくなったり、興奮したりと、色々な感情が沸き起こって、それすらも思う存分楽しめました。
次回演奏会の予定はまだ決まっていないようですが、ぜひ第三回目も期待しています。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。