[GMEV] GAME SYMPHONY JAPAN 23rd CONCERT

5月3日に、ゲーム音楽をオーケストラで生演奏するプロジェクト「GAME SYMPHONY JAPAN」(以下、GSJ)の第23回演奏会「PlayStationを彩るJAPAN Studio音楽祭2017」(以下、Jスタ音楽祭)が開催されたので行ってきました。
会場は、ミューザ川崎シンフォニーホール。
18:00に開演し、20:50頃に終演しました。

演奏は、東京室内管弦楽団と東京混声合唱団。
指揮は、志村健一氏。
曲によっては、東京少年少女合唱隊やプロの奏者が参加されていました。

■歴代のSIE作品が一堂に会した音楽祭
今回の演奏会は「Jスタ音楽祭」の名の通り、オールSIE(元SCE)作品によるオムニバス形式。
SIEがこれまで発売してきたゲームタイトルの数々の曲が演奏されました。
その数、ざっと16タイトル。
タイトルの数だけで、SIEの太っ腹っぷりが見える化されていました。

プログラムの構成は、全3部構成。
第1部は、PS初期の作品の中から、今も語り継がれている名曲ばかりをピックアップ。
第2部は、キャラクター性やゲーム性に特徴のある作品が勢揃い。
第3部は、上田文人Dの作品とGRAVITY DAZEシリーズで固めていました。

全体的な雰囲気は、確かにいかにも音楽祭という雰囲気でした。
とにかく楽しませることを前面に押し出したような演奏、演出目白押しで。
特に第1, 2部でその傾向を強く感じました。
まるで学園祭のステージイベントを鑑賞しているような気分になりました。

第1部で、SIE作品といえばこの曲という、SIEを語る上では外せない名曲を単品もしくはメドレーで演奏して、観客を心をギュッと鷲掴み。
そこに続いて第2部では、SIE作品の名物キャラクターを取り揃えて、あれやこれやのどんちゃん騒ぎ。
ピポザル、トロとクロ、パラッパが曲に合わせて登場して、場を盛り上げます。
その様は、まさに「祭」でした。

第3部はメインディッシュ。
どの曲も、じっくりしっかりがっつりしみじみ聴かせる演奏でした。
第1, 2部で気分を盛り上げてからの第3部突入で、興奮が途切れることなく、最後まで気分が高揚した状態で鑑賞できたように思います。

■楽しい演出と迫力の演奏と
第1部では小曲を、第3部では大曲をじっくり演奏されましたが、どの曲も確かな技術力で演奏されていて魅了されました。
曲に合わせて力強さや繊細さが使い分けられた演奏で、生演奏ならではの迫力や臨場感がしっかり感じられました。

第2部は、とにかく観客を楽しませることに専念したパートでした。
演出がとにかく楽しくて、見て楽しいし聴いて楽しいかったです。
SIEの総力を結集して、いかに観客を楽しませるかに全力を注いでいたようにも感じられました。

また、第2部の曲は、その特徴的過ぎるゲーム性からBGMもまた特徴的だったので、よく演奏しきったなぁと感心しました。
そもそもオーケストラで演奏することを想定されていない曲ばかりですし。中にもラップもありますし。
演奏するという観点で言えば、第1部や第3部の曲よりも、ずっと難しかったのではないかと思います。
プロの技って、やっぱりすごいのだなぁと、改めて実感しました。

■原曲準拠の編曲と演奏
今回の演奏会で、自分が意外とSIE作品をプレイしていないことを再認識しました。
今回演奏されたゲームタイトルの中で最後までプレイしたことのあるものは、「ワイルドアームズ」「俺の屍を越えてゆけ」「パタポン」「どこでもいっしょ」ぐらい。
ただ、OSTで聴いていたり、PV等で耳にして妙に印象に残っていたり、そういった曲もいくつかありました。
その反面、ゲームも曲もよく知らないものも多かったのですが。

そのため、原曲からどれくらいアレンジされていたのか明確にわからないものもあるのですが、知っている曲に限って言えば原曲を忠実に再現したものがほとんどでした。
オーケストラで演奏するために必要な編曲はありましたが、それでもなるべく原曲に近付けようとしていたように感じました。
例外的に、オーケストラ映えするようにややアレンジの強い曲もありましたが、数は多くありませんでした。

■豪華ゲストが続々登場
開演の30分ほど前から、プレトークが開催されました。
SIEの方が2名(すみません、お名前がわかりませんでした)と、GSJ顧問の作曲家の方が3名(坂本英城さん、なるけみちこさん、岩垂徳行さん)が登場。
さらに途中で、田中公平さんまで参加されていました。
なに、この豪華な面々。

話の内容は主に、今回の演奏会で披露されるゲームタイトルにまつわる思い出話やBGMの制作に関すること。
詳細はあまり覚えていないというか、ホールの反響音が強い上に座席位置がよくなかったため、声がほとんど聞き取れませんでした。

その後、開演中も豪華なゲストが続々登場。
原曲でも参加された方がそのまま歌声を披露されたり、著名なプロの演奏家さんが参加されたり、ゲーム制作のディレクターさんが登場されたりと、とにかく豪華。
こんなにゲストが一堂に集まるなんてそうそうないし、今後もあるかどうかわからないのではないか、というくらいの豪華さでした。

■感想まとめ
今回の演奏会を総合すると、「Jスタの総力を結集して催された音楽祭という名のエンターテインメント」ではないかと。
うん、観客を喜ばせるためにあれやこれやと手を変え品を変えて様々な曲が披露されたところは、まさにエンターテインメントでした。
また、GSJの音楽力とSIEの全面的なバックアップのwin-winな関係だけでなく、さらに観客も楽しいというトリプルwinの理想的な関係が、そこにありました。
演奏も演出も楽しかったし、これはとても良い演奏会だったので、ぜひ今後も定期的に開催してほしいです。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。


セットリストは次の通りです。
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[第1部] 全ての物語はここから始まる

01. I.Q Intelligent Qube
オープニング・コーラス / 前兆 / 第1の潮流 / 黄道 / 危機の訪れ
02. アークザラッド
「アークザラッド」のテーマ
03. ポポロクロイス物語
ピエトロの旅立ち
04. ワイルドアームズ
荒野の果てへ
05. 俺の屍を越えてゆけ


[第2部] 音楽とキャラクターたちの共演

06. サルゲッチュ
オープニングムービー / タイムスリップムービー / こだいのはらっぱ
07. 勇者のくせになまいきだ。
すべてのはじまり / こんかいのお題 / さわやかな朝のダンジョン / なまいき勇者あらわる / みごと勇者を撃退
08. パタポン
パタポンの伝説 / ギョロッチのテーマ / ずんじゃかホイ!~凱旋
09. どこでもいっしょ
テーマ曲(「どこでもいっしょ」オープニングバージョン) / News BGM Ver.3 / news_End
10. LocoRoco
ロコロコのうた
11. パラッパラッパー
パラッパ登場 / たまねぎ先生のカンフー・ラップ / ムースリーニ先生の教習ラップ / カエル先生の売口上ラップ / ニワトリ先生のお料理ラップ / トイレ・ラップ / クラブパーティー・ラップ

(休憩15分)

[第3部] PlayStationと共に広がるJAPAN Studioの世界

12. ICO
prologue / impression / Castle in the Mist / heal / ICO -You were there-
13. ワンダと巨像
プロローグ ~古の地へ~ / 荒ぶる邂逅 ~巨像との戦い~ / 甦る力 ~巨象との戦い~ / 復活の予兆 / エピローグ ~残されし者たち~
14. 人喰いの大鷲トリコ
Overture: Lore/Forest / Sentinel II / Victorious / Finale I: Apex / Finale II: Escape / End Title: The Last Guardian Suite / Epilogue
15. GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動
万有引力の発見 / オルドノワ / 反抗と殲滅
16. GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択
GRAVITY DAZE 2 / アンジュ / レベル4 / GRAVITY DAZE/重力的眩暈(English Ver.)

[アンコール]

17. パラッパラッパーより「ファニー・ラブ」
18. パラッパラッパー2より「Always Love!」
※アンコール曲については、これで合っているのかあまり自信ありません。ツッコミ歓迎です。
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これより下は、印象に残った曲ごとの感想になります。

03. ポポロクロイス物語
「ピエトロの旅立ち」のボーカルが響いた途端に、感極まって涙が出ました。
ポポロクロイス物語はプレイしたことがないのですが、あの曲は曲単体で泣けます。
あの素朴だけど、涙腺にストレートに直撃する憂いと前向きさのある主旋律が大好きです。
ゲームのどんなシーンで流れるのか全く知りませんが、曲自体がもう好きです。
今回、生オケ+生歌で聴けて、感動が倍増しました。

ボーカルは、原曲同様に奥山佳恵さんが担当。
原曲収録以来20年ぶりに歌われたそうです。
原曲同様のピエトロらしい拙い歌い方で、余計に一生懸命さが伝わってきて感動しました。

05. 俺の屍を越えてゆけ
「花」の作曲者である樹原涼子さん自らが、歌声+ピアノ演奏を披露。
原曲のラテン調に含まれる情熱的な部分をより強くしたようなアレンジでした。
少なくとも「PRESS START 2009」で演奏されたものとは異なるアレンジだったと思います。

情熱さが強調された今回の「花」も、胸が熱くなるような素晴らしい演奏でした。
儚くも熱い原曲の特徴的な部分が、目一杯引き出されていました。
こういう熱いアレンジも良いなぁ。

07. 勇者のくせになまいきだ。
オーケストラだけでなく、リコーダー(ソプラノ、アルト)+鍵盤ハーモニカ+タンバリン+オルガンと、原曲のコンセプトである小学校にあるような楽器まで参加。
オケの音色が抑え目だったため、より原曲に近い形で演奏されました。
豪華なフルオケが脇役で、世間的にチープと認識されている楽器が主役という、そのアンバランスさがユニークでした。
だからこそかもしれませんが、勇なまのシュールな世界観が音で表現できていたように感じました。
フルオケでバーンと演奏するのも良いけれど、こういう演出も今回のJスタ音楽祭ならではという感じで、良かったです。

08. パタポン
コーラス隊とパーカス隊の本気がとにかく凄かった演奏でした。
今回演奏されたゲームタイトルの中で、一番印象に残った演奏だったかも。

コーラス隊の方々はパタポンたちの台詞を「ポン、ポン、パタ、ポン♪」だけでなく、後半の何言ってるのか分からない部分やイントネーションまで再現。
ドラムやベルを始めとしたパーカス隊の、後ろで薄く聴こえるオケ隊の演奏も、何から何まで完全再現されていました。
演奏会終了後に帰宅して久しぶりに曲を確認したら、あまりにそのままだったので驚愕したくらい。
よくここまで再現したものです。本当に凄かったです。

腹の底に響くようなドラムの低音が、生演奏ならではの臨場感があって良かったです。
土着的なドラムの音色で、会場が原始時代にタイムスリップしたかのような錯覚すら覚えました。
あれは、本当に現地に参加できて良かったと思いました。

また、似たようなリズムが続くから、今どこを演奏しているのか分からなくなりそうな曲でしたが、コーラス隊もドラム隊も他の部隊も、どこも崩れることなく演奏しきっていたところも見事でした。

09. どこでもいっしょ
トロとクロがとにかく可愛かったです。ほっこりしました。
演奏よりも、トロとクロの一挙手一投足に目を奪われていたような気がします。
なんかもう、本当に可愛かった。あの可愛さはヤバい。

演奏中に、クロとトロが指揮台に上がって指揮っぽいことをする演出が挟み込まれていました。
演奏された曲は、ベートーヴェンの交響曲第5番(運命)の冒頭。
最初に指揮台に上がったクロのときはグダグダな演奏で、次にトロが上がったときはしっかりした演奏だったのは、面白い演出でした。
クロが指揮してグダグダになるのは予想の範囲内でしたが、トロが意外とやればできる子だったことには驚き。
また、冒頭だけでなく中盤部分も少し演奏してくれたことにも驚きました。
トロって、ただの天然じゃなかったのか。

10. LocoRoco
東京少年少女合唱隊が舞台に上がってのコーラス+振り付けが、聴いていても見ていてもとても楽しそうでした。
それが曲やゲームの雰囲気ともよく合致していて、心の踊る演奏でした。
もともと耳に残りやすい曲だったけれど、さらに強く記憶に刻み込まれたような気がします。

12. ICO
「ICO -You were there-」は、これまであちこちの演奏会で何度も聴く機会があったのですが、今回演奏された曲はその中でも1, 2を争うほどに綺麗な演奏でした。
コーラスの澄んだ響き、オーケストラの儚くも確かな演奏、どれも良かったです。
ガラスのような透明さと儚さ、霧のような白さが見えたような気がしました。
原曲よりも低音が強かったためか、霧の白さの向こうに土の黒さも透けて見えるようでした。

13. ワンダと巨像
「荒ぶる邂逅 ~巨像との戦い~」からの「甦る力 ~巨象との戦い~」が、非常に格好良かったです。
もともとオーケストラとは相性の良い曲で、その上生音による補正がかかっていたことを考えた上で控えめに言っても、とても格好良かったです。
とにかく身体に打ち付けてくるような音の迫力がたまりませんでした。
力強く伸びやかな音色が、聴いていて心地良かったです。

15. GRAVITY DAZE
このゲームタイトルの演奏そのものよりも、この演奏の前に登壇された田中公平さんの暴走っぷりが印象的でした。
喋り始めたら止まらないやりたい放題っぷりを、これでもかと言わんばかりに発揮。
田中公平さんって、こういう方だったのか。

演奏された曲は、原曲ほぼそのままでした。
「オルドノワ」ののどかな雰囲気や「反抗と殲滅」の危機感もばっちり再現。
また、曲全体に共通して存在するふわっとした浮遊感まで再現されていたように感じました。

16. GRAVITY DAZE 2
GRAVTY DAZE 2の原曲は知らなかったのですが、1に比べると華やかだったり厳かだったり、聴いていて飽きない曲ばかり。
思わずOSTが欲しくなりました。
特に「レベル4」が重厚で勇壮で、非常にツボでした。
重低音が格好良かったです。

演奏された曲共通で言えることは、金管楽器が格好良かったこと。
とにかく金管楽器がおいしいところを片っ端から掻っ攫っていたような印象が残りました。
これは、金管楽器の音色が好きならたまりません。
ゲームは1の途中でアクションが難しくなって詰んだので、正直2もプレイできる気が全くしないのですが、せめてOSTだけでも買おうかな。

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