[GMEV] シュデンゲンアンサンブル 第7回演奏会

7月29日(土)に、ゲーム音楽を演奏する団体「Melodies of Crystal」(以下、MoC)主催の演奏会「シュデンゲンアンサンブル」の第7回演奏会(東京公演)が開催されたので、行ってきました。
会場は、江戸川区総合文化センター 小ホール。
開演が14:00で、終演が16:30頃でした。

これより下は、今回の演奏会のネタバレを含む感想になります。
8月開催予定の名古屋公演に行かれる方で、ネタバレを見たくない方は、ご注意ください。

■昨年教会演奏会の再演
今回の演奏会は、昨年4月の第3回演奏会「教会で奏でる時空を超える音の調べ」の再演になります。
そのため、演奏タイトルは第3回と同じく「クロノクロス」と「ゼノギアス」でした。
ただし、前回は教会が会場でしたが、今回は通常の音楽ホール。
そのため、音の響きとか会場内の空気感とかが前回とは少し異なる感じがしました。
教会のような厳かな雰囲気もユニークで良かったのですが、今回のホールでの鑑賞は気楽でラフな気分で鑑賞できたかもしれません。
また、会場の作りの違いが要因なのか、同じ曲なのに耳に届く音色もなんとなく違って聴こえた気がします。

でも、時々は教会で演奏会開催してほしいです。
クロノ・クロス、ゼノギアスの楽曲と教会の空気感の相性が良くて、あれはあれで趣があってとても良かったので。

■相変わらずの悶絶レベルの演奏力
編成は、小~中規模のアンサンブル形式。
楽器は、弦楽器、木管楽器、ピアノ、それとパーカッション(クロノ・クロスのみ)という、シンプルな編成。
演奏者の人数が10~11人と中途半端に多いため、息を合わせるのがたいへんそうに見えました。
しかも、その上1つの楽器につき演奏者が1人だけというシンプルさ故に、一人一人の責任が大きくなる編成です。

しかし、そこはMoCの演奏力と表現力。
相変わらずのハイレベルで、とても聴き応えのあるものでした。
演奏技術もレベル高いし、音でゲームの世界を表現する力も半端ないし。
いつも似たようなことしか言えないけれど、とにかく演奏が格好良くて凄くて、鑑賞していてジタバタしたくなりました。
すごい演奏を聴くと途端に語彙力が低下するのはどうしようもないね、とあっさり諦めがつくぐらいに、とにかく凄いです。

ただ一点だけ、今回はクロノ・クロスの序盤で、ちょっと引っ掛かりを感じました。
なんというか、ある楽器の音色とある楽器の音色が、うまく噛み合っていない感じというか。歯車がちょっとずれている感じというか。
弦と管でタイミングを合わせるのは、やっぱりMoCでも難しいのかなと、少し思いました。

■2タイトルともにユニークな構成の編曲
曲の構成は、クロノ・クロスとゼノギアスともに、とてもユニークでした。
ゲームのストーリー進行に沿ったメドレー形式ではなく、ゲーム内時系列に沿って曲を並べた感じです。
ゲームをプレイすると、過去の出来事がシナリオを進めていくに従って少しずつ明らかになって、現在の状況と結びついて一つの大きな流れになる、という感じだったと思います。
それを再構成して、物語のそもそもの発端から描き、過去の出来事を経て現在(ゲーム内時間)に至り、そしてエンディングへと収束するような、そんな流れでした。
他の楽団ではあまり類を見ない、面白い構成だったと思います。
しかも、ゲームで語られていた物語をきちんと把握していないとできない芸当ではないかと。

構成はそのように特徴的なものでしたが、クロノクロスの方の編曲はわりとストレート。
木管+弦楽器+ピアノ+パーカスという限られた音ながら、極力原曲の雰囲気に近い形に落とし込んだような、そんなアレンジでした。
そのため、特に抵抗を感じることなくすんなり聴けたように思います。

その一方でゼノギアスの方は、かなり大胆にアレンジされていました。
むしろ、アクロバティックとも言えるようなアレンジです。
ゲームの世界観と物語を一度粉砕し、見方を変えて再構築、そしてそれを曲で表現したような、そんな印象を受けました。
完全に、スクラップ&ビルドです。
ただ、そうして再構築されたものであってもすごくわかりやすくて入り込みやすくて、それでいてゼノギアスの世界観が奥深く練り込まれていて、脱帽ものでした。
これは本当にすごかった。すごいっていう言葉しか出てきません。

どちらも音でゲームを表現するという方針は変わらず、それを見事に体現していて、もはや感嘆のため息しか出ませんでした。
音という空気の振動だけでゲームの世界を表現しきっているのが、とにかくすごいです。

ちなみに、クロノ・クロスの編曲は前回(第三回演奏会)のときと大きく変わったようには感じなかったのですが、ゼノギアスの方はがっつり変わっています。
再演とかいうレベルを超えています。一からアレンジし直されているレベルです。
そもそも演奏された曲が違うし、編曲の方針すらも変わっています。
前回がゼノギアスの世界を横から見て構成したものとすれば、今回は上から見て再構成し直した感じです。

■感想まとめ
いつもいつも素晴らしい演奏を届けてくれるMoCの演奏会ですが、今回もとても良い演奏会でした。
各タイトルの演奏が終わったときの満足感や灌漑の深さは、ゲームをクリアしたときのそれによく似ていて、ゲームを追体験したような気分になれました。
ゲームをプレイした時や攻略本で設定の深さを知った時の感動や興奮を、演奏が呼び起こしてくれているようで、それがたまらなく気持ち良かったです。

MoCの演奏会では、ゲーム音楽が生演奏で聴ける楽しさだけでなく、自分の思い至らなかった考察も音で表現されていて、それを知るのも楽しみの一つです。
そんな他の演奏会にはない楽しさに、魅了されていつも足を運んでいるような気がします。

ぜひ次回の演奏会でも、面白い演奏を期待しています。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、ゲームタイトルごとの感想になります。


セットリストは次の通りです。

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[第1部] CHRONO CROSS
1-01. 【第一楽章】プロジェクト・キッド
クロノポリス
時のみる夢
アルニ村 ホーム


1-02. 【第二楽章】ラジカル・ドリーマーズ
夢の岸辺に アナザー・ワールド
RADICAL DREAMERS -MAIN THEME-
3人の盗賊
蛇骨館
疾風
白と黒のレクイエム
炎の孤児院
星を盗んだ少女


1-03. 【幕間劇】
MAGICAL DREAMERS ~風と星と波と~

1-04. 【第三楽章】運命の神に挑む者達
神の庭
失われた欠片
CHRONO CROSS~時の傷痕~
死海・滅びの塔
運命に囚われし者たち


1-05. 【第四楽章】殺された未来の復讐
サラのテーマ
星の塔
龍神
生命~遠い約束~
回想~消せない想い~
RADICAL DREAMERS ~盗めない宝石~


[第2部] Xenogears
2-01. 冥き黎明
冥き黎明

2-02. アベル
予感
星の涙、人の想い


2-03. キム
神無月の人魚
夢の卵の孵るところ
遠い約束
死の舞踏


2-04. ラカン
傷もてるわれら 光のなかを進まん
やさしい風がうたう
紅蓮の騎士
グラーフ 闇の覇者


2-05. フェイ
海と炎の絆
おらが村は世界一
憧憬
引き裂かれしもの
覚醒
lost… きしんだ かけら
盗めない宝石
SMALL TWO OF PIECES~軋んだ破片~


[アンコール]
E-01. Xenogearsより「飛翔」
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これより下は、印象に残った楽章ごとの感想になります。

1-02. 【第二楽章】ラジカル・ドリーマーズ
サテラビューで配信されていたテキストアドベンチャー「ラジカルドリーマーズ」の曲も含む楽章。
「ラジカルドリーマーズ」は遥か昔に一応プレイしたことがありますが、シナリオも楽曲もあまり覚えていません。
そのため、クロノ・クロスにはなくてラジカルドリーマーズには存在する楽曲である「3人の盗賊」や「白と黒のレクイエム」などを聴いても、「なんかどっかで聴いたような・・・聴いてないような・・・?」みたいなモヤッとした記憶しか呼び起せませんでした。

ただ、原曲と比較してどーのこーのというのとは別にして、今回の演奏を聴いて単純に「白と黒のレクイエム」は面白い曲だなと感じました。
メリハリが強いというか、コロコロ変わる曲の雰囲気がユニークというか。
しっとりした曲かと思ったら、急に盛り上がったりして、その翻弄される感じが逆に気持ち良く面白かったです。

その「白と黒のレクイエム」から続く「炎の孤児院」は、前回同様にすこぶる格好良かったです。
若干狂気じみたアグレッシブな弦楽器がたまりません。
元々好きな曲の1つでもあるので、それが素晴らしく格好良く演奏されて俺歓喜状態でした。

俺歓喜といえば、この楽章の1曲目の「夢の岸辺に アナザー・ワールド」の主旋律のヴィオラも、なんだか強く印象に残りました。
ヴィオラと言えば縁の下の力持ち的な目立たない存在というイメージを漠然と抱いていたのですが、ここのヴィオラの音色がすごく心に突き刺さる音色で。
あまりに切なさの震える響きに内心ゾクゾクしながら、曲に浸っていました。
ヴィオラって、こんなに格好良くなれる楽器だったのか。
ヴィオラの可能性を見たような気がします。

それと、「疾風」は相変わらず演奏の難しそうな曲だなぁ、としみじみ感じていました。
これは今回だけに限らず、別の楽団で演奏された時もいつも思うことですが。
変拍子しまくりだし、音のタイミングが一拍ズレるところがあちこちにあるしで、合わせるのがたいへんそうだなぁ、と。
しかし、そこはMoC、見事にきっちり鮮やかに演奏しきっていて、もはや流石としか言いようがありません。

1-03. 【幕間劇】
原曲の「MAGICAL DREAMERS」は、クロノ・クロスの楽曲の中では数少ない苦手な曲(理由は、エレギの音色がなんとなく耳障り)なのですが、どうやら管弦楽で演奏されると好物に転ずるようです。
今回のように木管楽器と弦楽器で演奏されたバージョンも、すこぶる好みの演奏でした。
音色に対する抵抗感がないからなのか、演奏している姿が楽しそうで鑑賞しているこちらの心も踊ってくるからなのか、聴いていて楽しくなります。
管弦楽で生演奏を聴くとすんなり楽しいと感じられるのに、なんで原曲に対する抵抗感は拭えないのだろう。。。

今回の演奏でもっとピンポイントに言えば、主旋律を奏でていたチェロがものすごく格好良くてたまりませんでした。
なんなんだろうあのチェロの音色は。
心の中でジタバタと悶絶していたくらいに、ド直球で好みでした。

1-04. 【第三楽章】運命の神に挑む者達
「失われた欠片」からの「CHRONO CROSS~時の傷痕~」へ繋がる展開が見事でした。
前回の演奏会のときにもこの展開にたぎったのですが、今回も同様にたぎりました。

ピアノとチェロによるしっとりとした「失われた欠片」。
「時の傷痕」と同じ主旋律で、さながらチェロ・ソナタ版「時の傷痕」とも言えるアレンジで、シンプルな編成ながらも十分に聴き応えのある演奏でした。
そこから一気に加速して「時の傷痕」へ。
「時の傷痕」は問答無用の名曲な上に、原曲にかなり近い形で演奏された今回の演奏も、とても熱くて疾走感の溢れたものでした。
いつ聴いても「時の傷痕」はたぎるなぁ。

1-05. 【第四楽章】殺された未来の復讐
この楽章は、なんといっても「龍神」から「生命~遠い約束~」の展開の妙が冴えていたと思います。
厳かさがありつつ激しさも溢れた「龍神」の演奏は、素晴らしいの一言に尽きます。
そんな演奏から間断なく「生命~遠い約束~」へ遷移した様は、クロノ・クロスの世界で生きるもの全てに対する星からのメッセージのように聴こえました。
人類だけでなく、龍族や龍神も含む、古今東西あらゆる全ての生命に対して、どんな生命もそこに存在していいんだよと星が言っているかのようで。
端的に言えば「生命讃歌」というか。
そう感じた途端に胸が詰まって、軽く泣きかけました。
この展開は、本当にヤバかったです。危うく涙腺崩壊しかけました。

そして、ピアノソロの「回想~消せない想い」へ。
「生命~遠い約束~」で盛り上げた余韻をしっとりと残しつつ、夜明けのような爽やかさの感じられる演奏で、しみじみと聴き入っていました。
シンプルさ故にあまり目立たない曲だけど、結構良い曲だなこれ。
今回の演奏で気付かされたような気がします。

2-01. 冥き黎明
「冥き黎明」が始まると、途端に「ゼノギアスが始まった!」感が強烈に感じられてテンションが上がるのは、何かの刷り込みでしょうか。
今回の演奏会でも例に違わず、「ゼノギアス、キターッ!」とたぎっていました。
これから描かれる物語への期待感が天元突破していました。

・・・と、この時はそれだけだったのですが、まさか後々にも度々この曲のフレーズが使われるとは思いませんでした。
確かにすべての元凶の象徴とも言える曲なので、編曲の方針を考えると納得しかないのですが。
というか、ところどころに挟み込まれていたこの曲のフレーズのタイミングが絶妙過ぎて、反論の余地なしでした。

2-03. キム
「神無月の人魚」でキムとエメラダの日常や関係性、「夢の卵の孵るところ」と「遠い約束」でキムとエリィのエメラダに対する想いが描かれていたように感じました。
それがじっくりとしっとりと、いつまでも続くかのように、それでいて今すぐにでも切れてしまいそうなか細い糸のような演奏で。
それだけに、唐突に始まった「死の舞踏」では絶望に突き落とされたような気分になりました。
ゼノギアスで描かれていた展開を考えると「やっぱりそうきたかー!」とも思ったのですが、それでも絶望感が半端なかったです。

しかしそれだけでは終わらなかったのが、今回の演奏会の素晴らしいところの一つかと。
再び「神無月の人魚」と「夢の卵の孵るところ」に戻るところがもう切なくて。
ここでキムの希望がエメラダに託されたような、そんなイメージを思い描きました。
なにこれ、泣くしかないじゃないですかこの展開。

2-04. ラカン
「傷もてるわれら 光のなかを進まん」を主軸とした楽章。
最初から最後まで「切ない」しか出てこない楽章でした。
ゼノギアスのエピソードIからVまでのストーリーを全て覚えているわけでもなく、よって全て把握しているわけでもないのですが、このラカンのシナリオは漠然と覚えていて、それも相まって「切ない」しか出てきませんでした。

1曲目の「傷もてるわれら 光のなかを進まん」は、幾通りものアレンジで演奏されていました。
1つの曲でこんなにも幾通りにも編曲できる点だけで、もはや脱帽レベルでした。
しかも、それらがラカンを取り巻く複雑な事情を描いているようで、どれも外せないものばかり。
とても聴き応えのある編曲と演奏で、正直「すごい」という感想しか出てきません。

その後「やさしい風がうたう」に移行しても、「傷もてるわれら 光のなかを進まん」の余韻とゲーム内のシナリオからその後の展開がなんとなく察せただけに、単純に長閑さだけに浸れるわけもなく。
むしろ、その後の展開を知っているだけに、その長閑さが逆に絶望感を煽っていたように思います。

で、突然始まった「紅蓮の騎士」に遷移して「あ・・・」と絶望。
さらに「グラーフ 闇の覇者」に繋がって「あぁ・・・」という”やっちまった感”を強く感じました。

それでも、最後に「傷もてるわれら 光のなかを進まん」が演奏されたときには、ほんのり希望が感じられて。
この最後に演奏されたこの曲が、一番原曲に近かったように思います。
「最後に原曲に一番近い形にした」点には何か編曲者の思いがあるように感じるのですが、なんだろう、イメージが上手く形にならないな。

2-05. フェイ
「海と炎の絆」でプロローグが、「おらが村は世界一」と「憧憬」で序盤が描かれたと思ったら、「引き裂かれしもの」で一気に終盤へ。
尺の都合とか、中盤までかっちり描くとフェイの楽章だけものすごく長くなってバランスが悪いとか、諸々の事情を考慮すると、まぁそうなるかなと。

神秘さと、張りつめたような緊迫感、不安定な揺らぎのある「引き裂かれしもの」。
ともすればあっさり瓦解してしまいそうな脆さのある曲ですが、演奏は安定したものになっていました。
リズムが崩れそうなところも、

そんな「引き裂かれしもの」から一転して、「覚醒」は最終局面に相応しく爆発力のある演奏でした。
これで最後だと言わんばかりの、力強い演奏。
低音も高音もとても迫力があり、それに圧倒されたためか、気が付かないうちに腕に力が入っていました。
おかげで、演奏会後になんだか腕の筋肉がひどく怠くなっていました。

「覚醒」の激闘を経て、エピローグ的な「lost… きしんだ かけら」と「盗めない宝石」へ。
「lost… きしんだ かけら」は過去に喪われてしまった人々や想いの数々に対する寂寥の念と決別が、「盗めない宝石」からは未来への希望が感じられた演奏でした。
切ない出来事やどうしようもない絶望もあったけれど、ようやく前向きな未来へ一歩踏み出せるような、そんな意思を感じました。
これは、とても綺麗な幕引きだったと思います。

エンディングは、当然「SMALL TWO OF PIECES」。
「冥き黎明」からこのエンディングにたどり着くまでの長い道のりと、各時代で交差した人々の想い、絶望と希望を思うと、涙なしには聴けない曲でした。
今回の演奏会では短い尺ながらも、恒星間移民船の墜落からおよそ1万年にも及ぶ長い歴史が綴られただけに、感動も一入でした。
これは、本当に素晴らしい構成と編曲、そして演奏だったと思います。

E-01. Xenogearsより「飛翔」
ゼノギアス屈指の人気曲は、アンコールで演奏されました。
完全な予想でしかないのですが、本来はこの曲も演奏したかったけれど本編の流れに入れる余地がなかったから、アンコールで単独演奏したのではないかと。

人気曲と言われるだけのことはある格好良さ。
そして、本編で描かれてきた複雑ななアレコレを吹き飛ばすほどの勢いのある疾走感と爽快さ。
アンコールには勿体ないほど、いやアンコールだからこその、全てを吹っ切って前向きに突き進んでいくような、心地良さがありました。
最後の最後がそんな演奏だったからか、気持ちよくすっきり終わることができたような気がします。

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