内田康夫「靖国への帰還」(講談社)読了。
太平洋戦争末期。昭和20年5月25日。B29による京浜一帯への攻撃があった。厚木飛行隊に所属する武者は「月光」に乗り込み、それを迎え撃つために飛び立つ。
東京上空でB29一機を撃墜し、もう一機落とそうと機体を翻したとき、重い衝撃とともに被弾する。その一撃で武者自身も負傷。出血量から死を覚悟しつつも厚木基地へ帰還しようと、海上から陸地を目指して「月光」を駆る。
そして厚い雲をようやく抜けたその先に見えたものは、見たこともない巨大な建築物群だった。
作者の顔とも言える浅見光彦シリーズ
ではありません。
しかもミステリでもないです。ジャンル的にはファンタジー現代小説?
要するにタイムスリップものです。
浅見シリーズをあまりに長い間続けてたから、何かが溜まっていたんだろうか?
話のテーマは靖国問題。
タイムスリップ発生以降、ひたすらそれについて語られてます。
AMCの会誌で内田氏が触れたことのあるテーマなので、
靖国問題にどういう意見を持っているかはあらかじめ知っていたけれど、
ちょっと意見に偏りがあり過ぎるかな、という気もする。
靖国神社の在り方については説得力を持って語られてるので
公式参拝賛成・反対自体はともかく、一意見としては良いと思う。
けれど、それとの比較対象として度々持ち出される
「それに比べて今時の若者は」的な流れがちょっと受け入れ難い。
戦中、戦後はそりゃ苦しいかっただろうと思うけれど、
今は今なりに苦しくて大変なことだってあるし、
結局シチュエーションをどう受け取るかなんて個人的な問題だし、
相対的なもんじゃないだろうか。
本作を読んでて気づいたのだけど、
そういえば太平洋戦争って、
戦争後期?終戦、終戦直後は世間の話題にもよく上がるし、
学校でも事あるごとに教えられてきたけれど、
太平洋戦争が起こった経緯ってなかなか知る機会がないような気がする。
結果だけが先行してて理由が欠けてるような。
世界恐慌があって、国際連盟脱退して、
で何でか生活が苦しくなって、それを打破するために戦争突入したんだっけ?
あれ、戦前、なんで日本に圧力かけられたんだ?
・・・・・・むぅ、あとで調べよっと。