[本] 栄光なき凱旋

2009/12/19(土) 21:51:25 | カテゴリ:
真保裕一「栄光なき凱旋」(文春文庫・全3巻)読了。

1941年12月。日本軍がハワイ真珠湾を奇襲攻撃をしかけたことで、アメリカ在住の日系2世たちの日常が一変した。
ロサンゼルスに住むジロー・モリタは、うるさく付き纏う新聞記者見習いのポール・タカクラを誤って殺してしまう。川に投げ捨てた死体がいつ見つかるかわからない中、突然現れたアメリカ兵によって高い日本語能力を買われて、語学兵としてスカウトされる。
ヘンリー・カワバタは、苦労の末に大学から一流企業への就職が内定していたが、真珠湾攻撃を機にそれを反故にされた挙句、恋人のケイト・タケシマを暴漢によって殺される。その犯人が捕まらない中、日系人の強制収容所へ収監される。日系人と自らの自由のため、ヘンリーは兵士として志願する。
ハワイ在住のマット・フジワラは、1世である父をスパイとして逮捕されてしまう。父の解放を求め、同じハワイの仲間とともにアメリカ軍へ志願する。
やがて、3人の日系2世が互いの想いを胸に、アメリカ軍の中で交錯する。


元々遅読な上に3巻もあったため、全部読み終わるのに約4ヶ月かかりました。
ていうか、4ヶ月もかけて読んでいたのか、これ。いくらなんでも時間かかり過ぎ。

真保氏の作品だからミステリかと思ったら、普通に戦争モノでした。
あらすじにもあるように、第二次世界大戦時の在米日系人の姿を描いたものです。
異国の地で生き抜くためにアメリカに迎合する者、日本を信じてアメリカに反発するもの、様々な人物像が描かれた群像劇でしょうか。

おそらく作者の取材力の賜物だと思いますが、臨場感がすごかったです。
リアルというか、もしかして実話なんじゃないかと思わせられる筆力には、圧倒させられてばかりでした。
特に戦場シーンにおけるキャラクターたちの心情は、精神的に何かが突き刺さります。3人の中では一番平均的な一般人に近くて、それでいて一番過酷なヘンリーの精神面は、読んでいて辛かったです。
戦争モノは少々食傷気味ということもあり苦手な部類だったのですが、これは興味深い作品でした。

とはいえ、第1巻は前座ということもあり、状況説明が多くてちょっと退屈だったりもしましたが。
2巻目以降から怒涛の展開が始まるので、とりあえずそこまで我慢が必要かも。

リアルな戦争モノということもあり、戦場シーンは血みどろだったりするので、そこのところは少し人を選ぶかもしれません。
もっとも、グロいホラーに比べれば、それほどヒドくはありませんが。

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