[本] 震災列島

2010/04/24(土) 21:52:36 | カテゴリ:
石黒耀「震災列島」(講談社文庫)読了。

東海地震の発生が噂される名古屋市上汐町。この町の平穏は、不動産会社・阿布里住宅が乗り込んできたことで壊された。
阿布里住宅が上汐町にビルを構えて以来、ヤクザが上汐町内に居を構え、犬の死体が路上に放置されたりといった嫌がらせが相次いだ。町民は阿布里住宅のヤクザの仕業に違いないと警察に相談したが、誰の仕業か証拠がないため、取り合ってもらえない。
ついに、明石真人の父である善蔵が阿布里住宅に乗り込んだ。
その数日後、真人の娘の友紀が何者かに襲われた。容疑者として上がったのは、阿布里住宅の元従業員。容疑者は事件の直前に解雇させられたため、阿布里住宅とはなんら関係ないという。
事件の数日後、友紀が自殺。事件の裏を知った真人は善蔵とともに、阿布里住宅のヤクザの全滅を狙った復讐を計画する。それも、近日中に起こるであろう東海・東南海地震を利用した計画を。


端的に言えば、地学ミステリ、でしょうか?
話の主軸は復讐劇なのですが、途中で「○○プレート」や「断層」の話が普通に出てきます。
高校理科で物理・化学・地学を選択した地学好きとしては、こういう単語が出てくる度にわくわくしました。
地学楽しいのに、なんで選択できない高校ばっかりなんだろう。

とはいえ、作中で詳細な説明があるので、地震の発生メカニズムを知らなくても問題ないと思います。

前半3分の1で上汐町の現状を、中盤3分の1で復讐に向けた仕込みを、残り3分の1で地震と復讐の顛末が描かれています。
復讐のためのあれこれには稚拙さが目立って終始気になって仕方なかったのですが、最後に別キャラクターによるセルフツッコミがあったので、作者の確信犯のようですね。最後まで読んで妙に納得しました。

地震を利用した復讐劇よりも、個人的には原発の脆さの描写に引き込まれました。
中越沖地震の震源地からわりと近いところに実家があるので、もともと原発と地震には強い関心があったからでしょうか。
マグニチュードがそれほど大きくなかった(それでも十分強い地震だったと思うけれど)から、柏崎・刈羽原発はあの程度で済んだけれど、作中で描かれている浜岡原発のようなことが起こったらと思うと、少しぞっとします。

作中で描かれている地震被害がどれほどの調査の上に想定されたものなのか、真偽のほどは素人には判別できませんが、描かれていることが全て現実になったら実際にはどうなることか。
「事実は小説より奇なり」が現実にならないことを祈るばかりです。

コメント

この記事へのコメント


コメントを投稿する


トラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック