[GMEV] テンプルナイツ交響楽団 2nd stage

5月5日に開催されたテンプルナイツ交響楽団の第二回演奏会(以下、Tオケ2)に行ってきました。
開場は、パルテノン多摩 大ホール。
13:30開演で、16:10頃に終演しました。

テンプルナイツ交響楽団の前回の演奏会が2014年7月でしたので、およそ2年ぶりの演奏会。
今回の演目は、前回演奏されたFINAL FANTASY TACTICS(以下、FFT)の前身とも言えるゲーム「タクティクスオウガ」(以下、TO)。
その中でも、リメイク版である「運命の輪」をターゲットにした演目内容になっていました。

ちなみに、TOは「運命の輪」で初めて最後までプレイしました。
選択したルートは、Lルート。
1周目でLルートを選ぶ人は珍しいとよく言われますが、Lルートを選択した理由は、

・大を生かすために小を切り捨てる、戦争なんてそんなもんだろ。
・相当昔に出版された松葉博さんのコミカライズが大好きで、それが確かLルートだったから、そっちが正史だと思ってた。

たぶん、2つ目の理由がかなりのウェイトを占めています。

プレイ当時はルート分岐があることを知らず、しばらく後になってそれを知ったのですが、なんだかんだで2周目をプレイする時間がなく、結局今に至るまでLルートしかプレイしていません。
ついでに言えば、プレイしたのが随分昔で、しかも1周しかプレイしていないので、ストーリーの大半を忘れてしまっている状態です。

でも、OSTは無印版も「運命の輪」版も好きなので、時々引っ張り出しては聴いていました。
おかげで、曲は大体知っているけれど、それがどのシーンで流れていたBGMだったかまで結びつかない有様。
今回の演奏会のパンフレットにゲームシーンの解説がなかったら、どんな展開だったかまるで思い出せなかったと思います。

で、本題の演奏会についてですが、演奏技術的にはお世辞にも完璧とは言えません。
音が不安定で、ピロッたり揺れたりと、なかなか安定しませんでした。
特に高音域になればなるほど、音の不安定さが目立っていました。
まぁ、その楽器の上限に近いというか限界突破したような高音域で頻発していたので、止む無しかなとも思いましたが。
逆に、演奏しやすそうな中音域では音が安定していました。

音が不安定なところが多かったからか、音のバランスの崩れや乱れもちらほら見られました。
あるパートの音だけが妙に大きかったり、明らかに指が回っていなかったり。
でも、上手な方は本当に上手で、早いパッセージも難なく演奏されていたりもしました。

技術的には「アマオケだったらこんなもんかな」と感じたレベルでした。
が、それを補って余りあるほどのTOに対する情熱が、ステージ上から常に発せられていました。
それがもう、とにかく熱い。
演奏がものすごく熱い。
最初から最後まで、隅々まで熱かったです。
「俺たちのTOへの情熱を受けてみろ!」と言わんばかりの凄まじい熱量を、演奏のそこかしこから感じられました。

あの熱さは、本当にすごいと思います。
一つのゲームに対してひたむきな熱意を傾けることができて、そしてそれが集まるとあんなにも熱い演奏になるということを、改めて実感しました。
ここ数年はプロ・アマ問わず様々な楽団でゲーム音楽を演奏される機会が増えましたが、ゲーム音楽専門の楽団の場合はその熱意が一番の魅力ではないかと。
今回の演奏会も溢れんばかりの情熱が常に迸っていて、TOへの愛情がひしひしと感じられて。
それだけでなんだか満たされた気分になれた演奏会でした。

オーケストラの編成の大きさは、一般的なオーケストラコンサートと同程度。
ステージ上に70~80人ほど乗っていたでしょうか。
楽器のバランスはちょうど良かったと思います。

編曲は、かなり原曲重視。
オーケストラに合わせるための多少のアレンジはあったものの、基本的には原曲をそのまま素直にオケに落とし込んだ感じでした。
原曲がそもそもオケっぽい曲なので、親和性は抜群。
原曲がゲームやOSTから飛び出してきて現実化されたように感じられるほど、違和感がなかったです。

ホールの反響のためか、そういう意図で編曲されたためか、そういう奏法だったのかはわかりませんが、音がすごく伸びるように感じました。
伸びるというか、通るというか。
メインメロディはもちろんのこと、埋もれてしまいがちな伴奏の音まで、結構はっきりと聴こえました。
一音一音の広がり方が、ずいぶん大きく感じられました。
その分、音を外しても目立ってしまうという両刃の刃だったかもしれませんが。

アンコール1曲目と2曲目の間に、TOのメインコンポーザの崎元仁氏と岩田匡治氏が登壇され、制作当時の秘話が披露されました。
話の内容は、覚えている限りでは、

・自分たちの曲は、演奏されるたびに「難しい」と言われる。
・みんな(演奏者の方々)、ドMだよね。
・(こんな難しい曲を演奏するなんて、)おかしいよ。
・制作当時の思い出は、楽しいものがあまりない。
・ディレクターの松野さんに叱られたり、社長に呼び出されて「ゲームがわかってない」と何時間も説教されたり。
・TOの曲を制作して以来、暗い曲を書くというイメージが定着してしまった。
・それまで明るい曲も書いているのに。
・(伝説の)オウガバトルのときは明るかったのに、TOで急に重くなって。人を殺せと命じられたりね。

こんな感じの会話を、5~10分ほどされていました。
どれも興味深くて、面白かったです。
岩田さんの「おかしい」は、2009年の管弦楽団「星の調べ」によるFFT演奏会のときにもしきりに仰られていたような。

そんなわけで、オールTOというTO好きにはたまらない今回の演奏会。
音が盛大に外していたり、音のバランスが悪かったり、演奏技術面では少々残念なところもありつつも、TOへの情熱の凄まじさにやられまくりました。
その情熱のまま、演奏技術が伴えば最強クラスになれると思うので、ぜひ再演を期待します。


これより下は、セットリストと印象に残った曲ごとの感想になります。


セットリストは以下の通りです。

-----
[第1部]
Prelude. Overture
01. Fortune Teller 2 - Catastrophe
02. Notice of Death - VENDETTA! - Prayer
03. Restriction - Theme of WLO - Looking Back
04. Three Kings - Avilla Hanya - Air Land
05. Prayer - Deathrattle - Fight It Out! - Deathrattle

[第2部]
06. War Situation - Blessed memory - Island Atlas - Prepare to take the field - Accretion Disk - Retreat!
07. Notice of Death (Reprise) - White Storm - Theme of the priest
08. Fog of Phantom - Blasphemous Experiment - A Color of Chaos
09. Impregnable Defence - Religious Precepts - Song of tundra - Showdown
10. Harvest Dance - Theme of Black Knight - Limitation

祝電披露(Warren Report)

[第3部]
11. Reminiscence - Krypton - Revolt
12. Footsteps From Darkness - Theme of Black Knight - A Cygnet
13. A Clash of Giants - Time Forever Lost - Deeds Writ In Stone
14. Unsealed - Glory
15. Coronation - Awakening - Passing Moment

[アンコール]
E1. Unit March
E2. Chaotic Island - Overture
-----

これより下は、印象に残った曲ごとの感想になります。

02. Notice of Death - VENDETTA! - Prayer
開演直後の凄まじい音の不安定さが幾分解消されたのが、この曲あたりからでした。
指が温まってきたのか、数曲演奏して緊張がほぐれてきたのか、指の動きが滑らかになったように感じました。
それもあってか、「VENDETTA!」の勇壮さが格好良かったです。
というか、今回の演奏会の戦闘曲の金管は、どこも格好良かったです。

03. Restriction - Theme of WLO - Looking Back
「Theme of WLO」の途中で入るコーラス音まで、自前で用意。
手の空いている演奏者の方々(主に木管とヴァイオリン)がコーラスに参加されていたようでした。
ほんのワンフレーズだけでしたが、まさかコーラスが用意されているとは思わなかったので、妙に印象に残った演奏シーンでした。

そこから続く「Looking Back」は、これまで勇壮な曲か物々しい曲のどちらかばかりだったレパートリーの中で、ようやく訪れた束の間の平穏でした。
とはいえ、これから起こる出来事を暗示しているかのような不安すら掻き立てられる、そんな印象が残りました。
ところで、客席の最後方からマラカスの砂だけを転がすような音がしていたような気がしますが、あれは後ろに演奏者の方がいらしたのでしょうか。
後ろを振り向いてないからわからなかったのですが。
指揮者の合図で後ろからの音が止まったから、多分空耳ではないはず。

05. Prayer - Deathrattle - Fight It Out! - Deathrattle
「Fight It Out!」の冒頭のトランペットの響きが、すごく狂気じみているというか、悲鳴のようでした。
負の感情が精一杯込められた渾身の嘆きの声で。
なんというか、すごくバルマムッサでした。

06. War Situation - Blessed memory - Island Atlas - Prepare to take the field - Accretion Disk - Retreat!
「Prepare to take the field」の重低音が、聴いていてすごく気持ち良かったです。
CDでは削られてしまう高周波と低周波の音が、生演奏では残ったまま耳に届くからか、CDで聴くよりも奥深い音色に感じられました。
これぞ、生音の醍醐味。

09. Impregnable Defence - Religious Precepts - Song of tundra - Showdown
メドレー最初の「Impregnable Defence」からずっと好きな曲ばかりが並んでいて、内心で狂喜していました。
「Impregnable Defence」が前向きで格好良い原曲の趣きのまま演奏されて、本当にたまりませんでした。
これを生オケで聴けるなんて、耳が幸せでした。

10. Harvest Dance - Theme of Black Knight - Limitation
第2部ラストの曲だからか、ステージ上から発せられる熱量の凄まじい演奏でした。
決死の覚悟すら見えたくらいのとても熱い演奏で、聴いているだけの身なのに自然と手に力を込めてしまっていたぐらい。
今回の演奏会で、一番の熱量だったのではないかと思います。

とはいえ、「Limitation」のトランペットは、高音域でちょっと限界突破していたように思います。
一番盛り上がるところであまりの高音に音がピロッていて、それが悪目立ちしていました。
原曲のまま演奏しようとすると、まぁそうなるよなぁ、と思わないでもないですが。
編曲でカバーできなかったのかな?

祝電披露(Warren Report)
名古屋ゲームミュージックアンサンブル(以下、NGME)の祝電が全文読み上げられました。
NGMEの祝電といえば、メインとして演奏されるゲームの内容を、情緒豊かかつ巧みな言葉さばきで文章中に絡めるという、唯一無二の祝電芸が名物。
今回もその実力が存分に発揮されており、かつ、それが「Warren Report」の柔らかく幻想的な調べをバックに読み上げられるという見事なマッチっぷり。
しかも、祝電披露が終わるとほぼ同時に「Warren Report」の演奏も終曲部に入って終わるという、まるで祝電の本文も含めてあらかじめ計算されていたかのような絶妙なタイミング。
なんだこの奇跡的な出会いは。すごい現場に居合わせてしまったぞ。。。

12. Footsteps From Darkness - Theme of Black Knight - A Cygnet
「A Cygnet」のコントラバスの低音とハープの高音の絶妙なハーモニーが心地よかったです。
透き通った美しい調べを奏でるハープ。
それを下支えするコントラバス。
原曲にあるような心の脆さと静謐さ、そして切なさの感じられる、シンプルながらもとても素晴らしい演奏でした。

14. Unsealed - Glory
「Unsealed」の緊張感が半端なかったです。
見えない糸で縛り付けられたような、重量感のある圧迫感が演奏から感じられて、聴いていて鼓動が妙に早くなりました。
緊張のあまり、ずっとドキドキが止まりませんでした。
ラストバトル中のデニムたちも、こんな緊張感に縛られていたのかなぁ。

それくらいの緊張感にさらされていたからか、「Glory」に移った途端、ものすごくほっとしました。
そう感じた方が多かったのか、「Glory」が始まった直後に少し身じろぎする方々があちこちに見られました。

15. Coronation - Awakening - Passing Moment
「Passing Moment」が始まった途端に感じた安心感。
これまでの道のりでは重苦しい曲が多かったからか、OSTを聴いているとき以上にほっとした気分になりました。

また、生演奏ではCD音源には含まれない高周波成分まで聴こえるためか、原曲よりも爽やかな感じがしました。
なんというか、原曲よりも歩みが軽くて明るい感じ。
原曲が雪解けの時期(3月下旬~4月上旬の頃)に吹く春風の爽やかさならば、今回の演奏は新緑の季節(ちょうどGWぐらいの頃)に感じる初夏の風の爽やかさ。
曲を聴きながらふっと沸いたイメージはそんな感じです。

「Passing Moment」は、演奏者の方々が特に丁寧に演奏されていたように思いました。
「音を外しちゃいけない」というような無言のプレッシャーが、ステージ上から感じられました。
確かに本編ラストの一番感動的な曲なので、わずかな一音ですら外せないという気概はなんとなくわかるような気がします。
その甲斐あってか、終曲部直前の一番盛り上がるところも、音を外すことなく演奏されていたと思います。
限界突破気味なトランペットも、ここではやや不安定ながらも大きく音を外すことなく切り抜けていました。
そこは「よくやってくれた!」と手放しで褒め称えたいです。
あの盛り上がりは、内心で音を外して欲しくなかったので。
本当に、感動的なエンディングをありがとうございました。

E2. Chaotic Island - Overture
前回のFFTの演奏会と同様に、一番最初に演奏したタイトルバックの曲の再演がオーラス。
そして、前回同様に、オーラスの再演は素晴らしい演奏でした。
冒頭のあの盛大な音の狂いはなんだったんだ? と思ったのも、前回同様でした。
冒頭からこのクオリティで演奏してほしいなぁ、と思うのは、欲張りでしょうか。
まぁでも、最後の最後で一番頻繁に聴くタイトルバックの曲を素晴らしい演奏で聴けたので、満足しました。
ぜひ、再演してほしいです。

あ、でも、FFT演奏会の再演もしてほしいなぁ。
いっそ、FFTとTOを毎年交互の演奏するとかどうでしょうか。

コメント

この記事へのコメント


コメントを投稿する


トラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック