[GMEV] ファミ箏 第四回演奏会

2016年12月17日に、和楽器楽団「ファミ箏」の第四回演奏会が開催されました。
会場は、トッパンホール。
13:30に開演し、16:00頃に終演しました。

■とりあえず、ジャンピング土下座していいですか?
和楽器と聞いて真っ先に思い出されたのが、年末年始によく聴く「テン、テケテケテケテン」なあの曲でした。
それもあってか、和楽器というと、祝いの席で聴く厳かでゆったりとしていて、けれど退屈な印象を持っていました。
時々、和楽器がオーケストラと共演していたり、ゲームのBGMに取り入れられていたりするけれど、オール和楽器でがっつり演奏というのはあまり馴染みがなく。
わざわざ時間とお金をかけてまで聴きたい、と思うほどの興味はなかったです。
そんなわけで、正直なところ、和楽器をなめていました。

ところが、今回の演奏会で、そんな先入観を見事にぶち壊されました。良い意味で。
いや、本当に、和楽器なめていました。
そんな昔の自分の頭を押さえつけて土下座させたくなったくらい、今回の演奏会は素晴らしかったです。
まさか、あんなに見事に演奏されるとは。
和楽器の魅力満載で、和楽器の懐の大きさについて認識を改めさせられました。
それくらい、圧巻の演奏でした。

■決め手はBDFF
そんな風に和楽器をなめてたことに加えて、当初発表されていたプログラムがどれも知らない曲ばかりだったことも、二の足を踏んでいた一因でした。
FC, GB時代の曲はそれほど詳しくなくて、「平安京エイリアン」も「桃太郎伝説」もタイトルは知っているけれど、ゲームの内容もBGMも全く知りませんでした。
そのため、曲を知らなくても楽しめるのかどうか不安に思い、チケット販売開始後もしばらく躊躇う時間が続きました。

そんな自分の背中を押したのが、「ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー」(以下BDFF)。
元々BDFFの曲は大好きですし、BDFF+和楽器でどんな化学反応を起こすのかと、俄然興味がわきました。
また、結構たっぷり演奏することも同時に発表されて、それはもうチケットを取るしかないなと決意。
すぐにチケットをゲットしました。

■前半はレトロゲーム中心、後半は比較的最近の曲
演奏された曲のうち、前半はFC、GB時代のレトロゲームが中心でした。
FF10は例外としても、それ以外の曲はどれも相当昔のゲームタイトル。
ただ、原曲の同時発音数が少ない分、和楽器のシンプルな構成と相性が良い感じがしました。
また、「平安京エイリアン」や「桃太郎伝説」など和のテイストを含んだゲームをチョイスしていた点も、和楽器に有利に働いていたと思います。

後半は、比較的最近の曲がメイン。
ハードが進化して同時発音数が増え、音の厚みが増したところは、和楽器でもしっかりと再現されていました。
そのためか、後半は常にクライマックス状態でした。
前半で和楽器のシンプルな音色に耳が馴染んだところで、後半からは畳みかけるような怒涛の展開。
縦横無尽に駆け巡る和楽器の音色に翻弄されつつ、それが気持ちよく感じるような圧倒的な演奏でした。
和楽器での演奏は難しいだろうと思ったような曲も、見事に演奏しきっていました。

■古き楽器と新しき音楽の華麗なる融合
そもそも演奏されることを想定して制作されていないゲーム音楽は、オーケストラにしろ吹奏楽にしろ、生演奏自体が難しいもの。
それを、シンプルで繊細な音色かつ制約の強い和楽器で演奏するというは、非常に挑戦的な試みのように見えました。
そんな難題は、今回和楽器のエキスパートによって丁寧かつ鮮やかにクリアされていました。
古来より伝わる和楽器と、近年登場したばかりの電子音楽が、ここで見事に融合していたと思います。
それによって、新しくユニークな表現が展開されていました。
オーケストラや吹奏楽によるゲーム音楽の演奏会は最近盛んに開催されていますが、和楽器オンリーという演奏はそれらと一風変わっていて面白かったです。
こういう変化球も、良いものですね。

■ホール全体がアットホーム
会場のホールがそれほど大きな箱ではなかったので、ホール内の雰囲気はどことなくアットホームでした。
演奏は当然真剣勝負だったのですが、曲と曲の合間のトークはゆる~い感じでした。
ゲームの解説や編曲の意図などを交えつつ、雑談のような感じ。
場の雰囲気からすると、観客席側も共感を持ってそれらを聴いていたように感じられました。

また、元・ファミ箏の一員で、今回演奏された「桃太郎伝説」の編曲を担当され、この演奏会では客席にいらした田野村聡さんが、トークに巻き込まれていたのも印象的でした。
とんだ流れ弾じゃないか。面白かったけれど。

■感想まとめ
そんなわけで、「ファミ箏」の第四回演奏会でしたが、とにかく素晴らしい演奏でした。
ファミ箏の演奏会は、これまでなんだかんだと都合が合わなくて行きそびれていたため、今回が初参加だったのですが、想像以上に楽しかったです。
ゲーム音楽+和楽器というのが新鮮で面白くて、新たな魅力を感じました。
今後もぜひ、第五回、第六回と続けて、新たな魅力を発信し続けてほしいです。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、演奏されたゲームタイトルごとの感想になります。


本演奏会のセットリストは次の通りです。
-----
[第1部]

1-01. ポケットモンスター赤・緑
~オープニング~
戦い(VSトレーナー)


1-02. 平安京エイリアン
平安の夜明け
検非違使のテーマ


1-03. 桃太郎伝説
タイトルデモ

愛と勇気のマーチ
敵出現
戦闘1
力つきて
天の声
仙人の修行
竜宮千年の舞
戦闘2
ユキのテーマ
かぐや姫との対面
決戦!エンマ大王
エンディング
貧乏神のテーマ


1-04. ファイナルファンタジー10
ザナルカンドにて

1-05. MOTHER
MOTHER EARTH
POLLYANNA
EIGHT MELODIES


[第2部]

2-01. モンスターハンター/モンスターハンタークロス
英雄の証
秘湯を求めて~MHXver.
戦慄
妖艶なる舞~タマミツネ
灼熱の刃~ディノバルド
未来への希望


2-02. ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー
希望へ向う序曲
永遠の刹那
光と影の地平
砂と大時計の国
来訪者
彼の者の名は
君は僕の希望
勝利の歓び
風が吹いた日
内戦の国
不死の国
地平を喰らう蛇


[アンコール]

E-01. 大神
太陽は昇る
-----

これより下は、印象に残った曲をゲームタイトルごとに感想を記します。

1-01. ポケットモンスター赤・緑
ポケモン赤・緑は、ゲーム未プレイです。
(というか、ポケモンGo含めて、実はポケモンシリーズを1作もプレイしたことがなかったりします。)
なので原曲を知らないのですが、今年ポケモン赤・緑の曲を演奏会で聴く機会が何度もあり、その度に大体この2曲はプログラムに組み込まれていたので、さすがにメロディは覚えました。
ただ、和楽器ということもあって、これまで聴いたどの演奏とも異なる印象で面白かったです。
和楽器で演奏すると、曲がこうなるのか、という感じで。
箏をメインとしたシンプルな構成で、どことなくGB音源に近いような印象を受けました。

1曲目からゲーム音楽らしい活発な曲が演奏されて、初っ端から自分の持っていた和楽器のイメージが崩れ去ったような気がします。
「和楽器とは、高貴な方々が嗜みとしてゆったりとした演奏をする楽器だ」と考えていた固定観念が、良い意味で覆されました。
「和楽器って、こういうバトル曲のような激しい演奏もできるのか・・・」と1曲目から圧倒されて、自分の知らない世界が開かれた気分です。

1-03. 桃太郎伝説
FCの「桃太郎伝説」自体は未プレイです。
GBで「桃太郎伝説外伝」をプレイしたことがあるくらい。
そのため、原曲も予習で軽く聴いた程度でした。
とはいえ、予習で聴いた時も「あ、うん、普通にゲームのBGMだな」という印象しか残っていなくて、「天の声」以外は原曲をあまり覚えていませんでした。

今回演奏された曲の中でも、「天の声」はやっぱり良曲でした。
あの、物悲しさを含む原曲の雰囲気が、和楽器によって上手く表現されていたと思います。
この曲に対する編曲者の思い入れが強かったのか、この曲以外はほぼ1ループだけだったのですが、「天の声」だけは2ループとがっつり演奏されました。
個人的には、たいへんありがたかったです。

それと、「戦闘1」や「戦闘2」も格好良い演奏でした。
原曲を軽く聴いたときはそれほど印象に残らなかったのですが、今回の演奏を聴いて内心で「お!」と思いました。
この曲、結構格好良い曲じゃないか、と。

もし「桃太郎伝説」をリメイクすることがあるのなら、BGMは今回みたいな和楽器オンリーにしたら面白いかもしれません。
プレイヤーの気持ちをどこまで高ぶらせることができるのかが、最大の課題になりそうですが。
あと、戦闘バランスの調整も欠かせないかと。

1-05. MOTHER
アメリカナイズされた世界が舞台のMOTHERを、日本の伝統的な楽器で演奏するという、なんとも不思議な組み合わせ。
しかし、悪くありませんでした。むしろ、アリでした。
和楽器の演奏になっても、泣かせるメロディは健在。
涙腺への攻撃力は、やはり半端なかったです。

特に1曲目の「MOTHER EARTH」が素晴らしい演奏でした。
タイトルバック曲でありつつ、そのフレーズはエンディング曲でも使用されているという原曲の特性に加えて、繊細な音色の和楽器で奏でられたものだから、色々な感情が沸き起こって胸が詰まりました。
これは、涙腺崩壊曲だわ。うん。

ちなみに、「EIGHT MELODIES」はエンディング曲丸ごとではなく、ゲーム中で探すことになる8個のフレーズ部分のみでした。
まぁ、フルで演奏すると「MOTHER EARTH」と被るし。

2-01. モンスターハンター/モンスターハンタークロス
ファミ箏のメンバーに、HIDE×HIDEのお二人と鼓の梅屋喜三郎さんが加わった、大所帯な編成。
そこから繰り出されるモンハンは、熱量が半端なかったです。
「英雄の証」もバトル曲も、すごく熱い演奏でした。

モンハンと言えば外せない「英雄の証」。
オーケストラ演奏とは趣きが異なるけれど、意外とハマっていました。
一つ一つの音色は繊細だけど、それが集まることで力強さが生まれるような、「三本の矢」のような力を感じました。
そこからのどかな「秘湯を求めて」。
元々和風な曲に加えて和楽器ということもあって、まさに温泉に漬かってかぽーんとしているような気分になりました。
そんなのんびり気分を吹き飛ばすような不穏な音色の「戦慄」からの、「妖艶なる舞~タマミツネ」と「灼熱の刃~ディノバルド」の2連戦。
これが熱かった。すこぶる熱かったです。
まさに手に汗握る演奏。
2連戦に負けじと奮闘する演奏者の方々の弾きっぷりには、モンハンに通じるものを感じました。
ラストを飾るのは、雄大で未来を感じさせる「未来への希望」。
すっきりした気分で〆られました。

HIDE×HIDE+モンハンの演奏は「狩猟音楽祭」で何度か聴いたことがありますが、今回の演奏が一番ハマっていたように感じました。
やはり、和楽器と一番相性が良いのは和楽器ということでしょうか。
そりゃ、反発し合う要素がありませんし。
それと、演奏後のトークがモンハン愛に溢れていたのも良かったです。
というか、むしろガチプレイヤーでした。

そして、忘れてはならないのが、梅屋さんの鼓。
曲のおいしいところの大半を、鼓と掛け声が持っていきました。
絶妙なタイミングで入る鼓の力強い響きと「ぃよぉ~」の掛け声が、すこぶる気持ち良くてたまりませんでした。
それと、叩き方一つで様々な音の表現ができるのも、興味深かったです。
気が付いたら、鼓を演奏されている梅屋さんの一挙手一投足を、わりとずっとガン見していました。
鼓の印象が、今回のこの曲でがらりと変わりました。

2-02. ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー
原曲の壮大なオケロックを、和楽器でどう料理するのかが気になり、チケット購入の決め手になったゲームタイトル。
今回の演奏会のメインディッシュであり、個人的には最大の目的でもありました。

感想を率直に言えば、ガチの演奏でした。
違和感の仕事のしなさっぷりに、心底驚きました。
和楽器であのメロディの美しさや力強さをどこまで表現できるのか、演奏前は期待が大半だけど不安も感じていたのですが、そんな不安はあっさりと吹き飛ばされました。
和楽器による再現度のあまりの高さに、もう感嘆するしかありませんでした。
和楽器なめてました。この演奏の音源欲しいです。わりと本気で。

前曲モンハンのときにも見られたのですが、箏の台座をパーカッション代わりに使っていたのが衝撃的でした。
和楽器って、なんというか、丁寧に扱わなければいけないもので、叩くなんてとんでもない行為だと思っていたので。
ステージに向かって左側の上面を手の付け根付近で叩いて低音ドラムを、右側の底面を指先で叩くことで中音ドラムを再現しているようでした。
それほど大きな音ではなかったので、今回のような小さな音でも広く響き渡らせるホールでないとできない表現方法かと。
それにしても、箏の台座を叩いていた指先が何気に痛そうでしたが、指も箏も無事だったのでしょうか。

そんなわけで、和楽器の表現力の限界に挑戦したかのような演奏。
和楽器でも、ここまで表現することができるんだぜ!と言わんばかりの、圧巻の演奏でした。

「希望へ向う序曲」から、箏の響きがハープのようで美しさを醸し出していました。
それでいて、二十絃箏が低音部分をしっかりと下支えしていて、音の響きに豊かさをもたらしていました。
もうこの時点で、心の中では「すごい!」で埋め尽くされていました。

曲が進むごとに気持ちの昂ぶりを感じていたのですが、それが「彼の者の名は」で急上昇。
あの疾走感が、和楽器でも見事に再現されていました。
演奏されている方の手や腕の動きはなんだか大変なことになっていましたが、その苦労がちゃんと曲の中で開花していました。
そこからの「君は僕の希望」は、爽やかさもありつつ非常にたぎる演奏でした。
しかも、スーパースターな神永大輔さんが前に出てきて、すごくノリノリな演奏。
ゲーム中の「今だ! 総攻撃!」な雰囲気が、演奏にもパフォーマンスにもしっかり出ていました。
ちなみに、神永さんのパフォーマンスが他の演奏者を煽るスタイルだったのも、印象的なシーンでした。

戦闘後の「勝利の歓び」では、神永さんが軽快なステップを踏みながら、尺八を吹いていました。
あれ、地味に難しくないですが。すごく器用だなぁ。

「内戦の国」では、「ルクセンダルク紀行」のラップ調の低音部分までしっかり再現されていました。
すごくリズム取り難そうでしたが、上手くアレンジされていたと思います。
そこから続く「不死の国」は、もう和楽器と相性良過ぎでした。
曲の性質上、ここで一度ヒートダウンしたのですが、次に続く曲のための準備に過ぎないことを、この後で思い知りました。

そして、本演奏会最大の大曲でありラスボスの「地平を喰らう蛇」。
OST収録版をフルで演奏されました。
コーダの部分も、和楽器で見事に演奏。
コーラスの部分も、まさかの自前で再現。
確かに箏や三味線は口を使わないから物理的には可能だけど、あんな激しい曲で指を動かしつつ声を出すって、難しくないですか?
そして「彼の者の名は」以上に演奏者の方々の運指がとんでもないことになっていましたが、見事に演奏しきっていました。
これは本当に圧巻の演奏。見事としか言いようがありません。
なんというか、プロ根性を感じました。
単純にすごいです。むしろ、すごいとしか感想が出てこないぐらいです。

欲を言えば、最後は「希望へ向う譚詩曲」で締めてほしかったですが、「地平を喰らう蛇」で演奏者の方々のHPが限りなく0に近かったようなので、さすがに欲張り過ぎでしょうか。

E-01. 大神
大神と和楽器、相性が悪いはずのない完璧な組み合わせでの演奏。
そこにさらに鼓と掛け声まで参加して、さらに原曲に近い形になっていました。
良い意味で反則級。これで胸が熱くならないわけがありません。
和楽器オンリーで大神の曲の生演奏を聴ける日が来るなんて、貴重な機会をくれてありがとうございます! と言いたいです。

コメント

この記事へのコメント


コメントを投稿する


トラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック