[GMEV] JAGMO - 英雄達の譚詩曲 ~聖なる交響楽団~

ゲーム音楽専門のプロオーケストラ楽団「JAGMO(JApan Game Music Orchestra)」の演奏会「英雄達の譚詩曲 ~聖なる交響楽団~」が、12月23日~25日の期間に開催されました。
そのうち、12月24日の昼公演に行ってきたので、その感想をここに記します。

会場は、めぐろパーシモンホール。
開演は13:00で、終演は15:30頃でした。

■久しぶりのJAGMO主催演奏会
JAGMOの単独主催演奏会は、2015年7月の「伝説の戦闘組曲」以来の参加となります。
JAGMOの演奏自体は、今年10月の「シンフォニック・ゲーマーズ」で生演奏を鑑賞しています。

「伝説の戦闘組曲」以降もJAGMOの主催演奏会が何度か開催されていたことは知っています。
ただ、4つの理由が重なって、イマイチ行きたいという気分にならなかったのです。

 ・メジャータイトルばかりで食傷気味。
 ・JAGMOの演奏は、なんとなく小綺麗に型にハマり過ぎている感じがする。
 ・JAGMOの運営から、ものすごく強いビジネス臭(拝金主義っぽさ)を感じる。
 ・チケット代が結構高い。

特に1つ目と2つ目の理由が大きくて、「別にJAGMOの演奏会じゃなくても、他でも聴けるしなぁ」となって見送っていました。
JAGMOらしさというか、JAGMOならではと言えるような尖った部分が、あまり見出せなかったのです。
それ故に、チケット代も高く見えていました。

そんなJAGMOが、あまり演奏会で演奏されないような曲を多数演奏するという話を耳にし、俄然興味が湧きました。
ラインナップを見てみたら、確かにあまりメジャーではないけれど良曲揃い。
ゲーム音楽好きの心を、良い感じにくすぐる曲ばかりでした。
この機会を逃したら、次いつ聴けるかわからないゲームタイトルばかりだったので、すぐにチケットに飛びついた次第です。

ちなみに、一番の決め手はアトリエシリーズでした。
次点が、「ワンダと巨象」と「俺の屍を越えてゆけ2」。

■演奏は確実にレベルアップ
演奏技術は、昨年聴いたときよりも確実にレベルアップしているようでした。
それどころか、2ヶ月ほど前の「シンフォニック・ゲーマーズ」のときよりも好みの演奏でした。
音を盛大に外すようなことはほとんど無かったですし、音の表現力も格段に上手くなっていたと思います。
音を出すべきところでは思いっきりダイナミックに、抑えるべきところはきちんと抑えるなど、程良い緩急も付けられていました。

特に、木管楽器の演奏が素晴らしかったです。
オーボエやフルートの音色が素敵でした。
逆に、金管楽器はもうちょっと頑張って欲しいかなと感じました。

■編曲は良し悪しが両極端
有名タイトルの曲は比較的アレンジ強め。
あまり演奏されたことのないタイトルは、アレンジ強めのものもあれば原曲重視のものもありました。

編曲は、良かった曲とイマイチだった曲と半々ぐらいでした。
原曲重視のものは、概ね良かったと思います。
原曲の雰囲気を多分に残したまま演奏してくれたので、ゲームの雰囲気とかけ離れることがなくて、「そうそう、これが聴きたかったんだよ!」という欲求は十分に満たされました。

逆に強めに編曲されていた曲は、編曲の意図や方針が見えなくて少しモヤッとしました。
あまりに強くアレンジされていて、ゲームのイメージからかけ離れているものもあって。
ただ、音楽性は総じて高かったと思います。
ゲームのことを考慮せずに、絶対音楽として割り切れていたら、もっと素直に楽しめていたかもしれません。

あと、ちょっと気になったのは、メドレーの終わり方。
率直に言ってしまうと、あまり上手な終わり方ではないなぁ、と感じました。
メドレー内メドレーのようなものや、メドレー序盤で演奏した曲のフレーズをもう一度演奏するなどは、ちょっと蛇足だったような。
最後の曲ですっぱり〆ておけば良いのに、と思うことが幾度かありました。

■選曲はツボをおさえつつも、若干の偏りも
選曲は、良い感じにツボを押さえていたと思います。
「シャリーのアトリエ」の「雲烟飛動」を選曲するあたりは、良く分かっていると思いました。

ただ、全体的にバトル曲のような激しい曲が多過ぎるのではないかという気もしました。
「とりあえず、音をガンガン鳴らしておけば満足するんだろ」と言われているような印象も受けて、若干複雑な気分にもなりつつ。
確かに、激しい曲の方が映えるし、印象に残りやすいし、人気もあるし。
集客面などのビジネス的な側面を考えると、まぁそうなるよなぁとも思うので、一概に否定はしませんが。

■JAGMOの運営に対して常々感じていたこと
この際だからもうちょっと苦言を呈するならば、運営方針について。
稼ぎ方の方向性が、若干間違っている気がしないでもないです。
なんというか、ゲームやその音楽に対する情熱のために楽団を運営しているのではなく、金稼ぎのために楽団を運営しているように見えます。
プログラムの詳細が有料パンフレットにのみ掲載されている点やCD販売などの音楽関連グッズならともかく、そうでないグッズ展開が多角的過ぎませんかね。
これは以前行ったことのある主催演奏会の時から、ずっと感じていたことでした。

プロオケ楽団だから、運営していくためには稼がなければならないことは分かります。
ただ、ゲームやゲーム音楽に限りませんが、芸術にビジネスが必要以上に強く絡んでしまうと、その芸術の本質が歪められて粗悪になり、それが引き金となって悪循環を引き起こし衰退していくような気がするので、ほどほどにしておいた方が良いと思います。
ヲタは、愛した作品について底抜けのバカになれるけれど、それだけに提供側の愛情の有無には敏感だし。
提供側の作品愛が感じられないとなると無言でさっと離れていくし、それならまだ良い方で、こじらせるとアンチになるので、気を付けた方が無難かと。

■プレコンサートについて
開演前に、ロビーにてプレコンサートが開催されました。
クリスマスシーズンということで、ハンドベルアンサンブルでした。
演奏曲目は、正直何を演奏していたのかわかりませんでした。
ハンドベルって、普通の楽器演奏の感覚で挑戦すると撃沈する気持ちでできていると思うのです。

ただ、音色を聴いているだけで、とてもクリスマスっぽい気分になりました。
あのベルの音色のクリスマス感の醸し出しっぷりは、本当に突出していると思います。

ところで、無粋な指摘なのですが、あれハンドベルじゃなくてミュージックベルですよね。
マジ物のハンドベルとは、楽器の構造も音色も奏法も迫力も全然違うし。
プロ楽団ならば、公式サイトの楽器名は正確に表記した方が良いのでは。

■感想まとめ
そんなわけで、つい辛口な感想も書いてしまいましたが、総合すると思っていた以上に楽しめた演奏会でした。
演奏自体はとても良かったし、楽器演奏されている方々の成長っぷりには目覚ましいものがありました。
それに、普段なかなか生演奏で聴けない良曲をたっぷり聴けたところは、すごく満足しました。
プロ楽団としてやり繰りしていかなければならない制約上、メジャーなタイトルにどうしても寄ってしまうと思いますが、時々こういったマイナーなタイトルも含めた演奏会を開催してほしいです。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、ゲームタイトルごとの感想になります。


今回の演奏会のセットリストは次の通りです。
-----
[第1部]
1-1. サクラ大戦
檄!帝国華撃団(サクラ大戦)/御旗のもとに(サクラ大戦3)/地上の戦士(サクラ大戦5)
1-2. ICO
ICO-You were there-/Castle in the Mist
1-3. ワンダと巨象
プロローグ~古えの地~/黒い血/開かれる道~巨象との戦い~/荒ぶる邂逅~巨象との戦い~/甦る力~巨象との戦い~/儀式の終焉~巨象との戦い~/陽のあたる大地
1-4. MOTHERシリーズ
Eight Melodies/Pollyanna(I Believe in You)/Bein' Friends/Saturn Valley/摩天楼に抱かれて/SMILES and TEARS
1-5. クロノ・クロス
CHRONO CROSS~時の傷痕~/疾風/死線/勝利~春の贈り物~/星を盗んだ少女/夢の岸辺に アナザー・ワールド/運命に囚われし者たち/龍神

[第2部]
2-01. ワイルドアームズ
荒野の果てへ/街
2-02. アトリエシリーズ
紫電清霜(新・ロロナのアトリエ)/Red Zone(トトリのアトリエ)/GO GO TOTORI(トトリのアトリエ)/雲雀東風(ソフィーのアトリエ)/疾翔(フィリスのアトリエ)/小手鞠(シャリーのアトリエ)/Stella~その2~(シャリーのアトリエ)/Sweep~その3~(シャリーのアトリエ)/雲烟飛動(シャリーのアトリエ)
2-03. 俺の屍を越えてゆけ2
序章/旅立ち/勝負/鬼神/阿部晴明/夜鳥子/鬼頭/晴明と式神/阿修羅/決戦 破/終結
2-04. 大神
タイトル/プロローグ/オイラのテーマ/妖怪退治/ウシワカ演舞~ウシワカと遊ぶ/常闇ノ皇/Reset/太陽は昇る

[アンコール]
E-01. 大神より「太陽は昇る」X'mas ver.
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これより下は、印象に残ったゲームタイトルごとの感想になります。

1-1. サクラ大戦
金管楽器の強い曲というか、金管楽器の映える曲だった。
原曲からして勢いのある曲だから、ブルドーザーのようにガーッと押し寄せてくるような曲と金管楽器は相性が良いのかも。
ただ、若干ヒステリックな音色を奏でるトランペットは、少々耳障りに感じました。
勢い重視の曲だけど、金切り声を上げる曲ではないので、もうちょっと柔らかい音色でも良かったのではないかと。

1-3. ワンダと巨象
比較的、原曲重視の編曲でした。
神秘的な「プロローグ~古えの地~」から、何かが闇に潜んでいそうな特徴的な笛の音が響く「黒い血」。
そして、そこから始まる巨象との連戦。
今回は「巨象との戦い」4連戦でしたが、そのうち3曲はすこぶる激しい曲。
演奏されている方々も連戦で体力の消耗が激しかったと思いますが、これまで培ってきたテクニックで見事に倒しきっていました。
どの曲も格好良くて、すごくたぎりました。
好きな曲が鮮やかに演奏されると、やはり興奮しますね。
「甦る力」は原曲の伸びやかで広大な雰囲気がちゃんと出ていて、ホール一杯に音が広がる感じが気持ち良かったです。

1-4. MOTHERシリーズ
おそらく「シンフォニック・ゲーマーズ」のスコアのままだと思います。
多少のスコアの改訂はあったかもしれませんし、演奏のニュアンスはピンポイントで変えてきていた気もしますが、記憶にある限りでは概ねほぼそのままでした。
「Pollyanna」や「Bein' Friends」などで、急にソロフレーズを差し込んでくるあたりの演出がそっくり残っていました。

編曲者の違いからか、他の曲に比べてやや抑え気味な印象を受けました。
もちろん「SIMELS and TEARS」ような盛り上がる曲は、大いに盛り上がっていましたが。
ほぼ常時イケイケドンドンな他の曲の雰囲気とは違って、明るく前向きな曲、コミカルな曲、心に沁み込むような曲と、様々な色を踏まえつつ手堅くまとめられていたと思います

1-5. クロノ・クロス
過去に演奏したスコアから大幅に改訂したそうです。
結構がっつりアレンジが加えられていました。
過去に演奏された譜面だけでなく、原曲と比較しても。

個人的には、ちょっとアレンジが強過ぎるような気がしました。
特に「時の傷痕」と「夢の岸辺に」は。
「時の傷痕」は原曲がそもそも完成形だと思うので、オーケストレーションに必要なアレンジはともかく、そこから不必要に逸脱してほしくなかったです。
音数がはっきりわかるくらいに増えていて、ちょっとごちゃごちゃした印象を受けました。
「夢の岸辺に」は、アナザー・ワールドのフィールド曲ということを踏まえると、少々明る過ぎるアレンジでした。
アナザー・ワールドにおけるセルジュの立ち位置を考えると、そんな明るい気分にはなれないのではないかと。

逆に「疾風」と「死線」、「龍神」はわりと原曲に近い形で、よく演奏しきったなぁと思います。
特に「疾風」。
他の楽団でもそうだけど、この曲を演奏しているシーンを見る度に、ものすごくテンポの取り難そうな曲なのによく空中崩壊せずに演奏できるなぁと、いつも感心します。

2-02. アトリエシリーズ
今回の演奏会の本命タイトル。
といいつつも、事前に原曲を知っていたのは「シャリーのアトリエ」ぐらいですが。
というか、アトリエシリーズのBGMでOSTを買って聴き込んだことがあるのは、「イリスのアトリエ グランファンタズム」と黄昏三部作だけだったりするのですが。
ただ、ガスト作品のBGMは一発で気に入るものが多いので、シャリー以外の原曲を知らない曲でも、たぶん普通に楽しめるんだろうなぁと思っていました。

実際、演奏されたアトリエシリーズの曲は、どれもすごく良かったです。
格好良さと可愛さとほのぼのさが共存しているようなあの独特の空気感が、きちんと表現されていました。
そのため、「アトリエシリーズといえば、これこれ! こんな雰囲気だよ!」と、興奮気味に鑑賞しました。
演奏がとても良かったので、黄昏シリーズ以外のアトリエ作品も気になって、OSTを衝動買いしてしまいそうです。

原曲を知らない曲でも大体そんな感じだったので、原曲を知っているシャリーの曲4連続が始まったときは、興奮も最高潮。
わりと原曲に近い形だったので、より一層楽しめました。
特に「雲烟飛動」が始まった時には、心の中でガッツポーズを決めたくらい。
「雲烟飛動」は今回の演奏会の大本命曲で、OSTで原曲を聴いているときから「生演奏で聴きたいなぁ」と切望していた曲でした。
念願叶って生演奏で聴けて、もうその時点で満足した気分に浸れました。
あの飛翔するような伸びやかな疾走感がダイナミックに描かれていて、感動しかありません。
それと、ヴァイオリンソロがめちゃくちゃ格好良かったのもグッドポイント。
本当に、コンミスさんGJです!

アトリエシリーズに限りませんが、ガストのBGMは自分のツボを良い感じに突いてくるものが多いので、ぜひガスト作品オンリーの公式(公認)オケコンを開催してほしいです。
ガストさん、どうにかならないでしょうか。会場が長野でも行きますよ。

2-03. 俺の屍を越えてゆけ2
あまり演奏されない俺屍シリーズだけど、まさか2日連続で聴くことになろうとは。。。
# 前日の23日に、別の楽団が1の曲を演奏していたのです。

「WILL」以外の曲はゲームプレイ以来久しく聴いていなかったのですが、ゲームプレイ当時を懐かしみながら聴けました。
確かゲームの方は、がんばってラストバトル直前まで進めたのに、そこでセーブデータが壊れて再開できなくなり、さすがにVita本体ごと壁に投げつけたくなったんだよなぁ(遠い目
ということまで思い出して、曲を聴きながら複雑な気分になったりもしましたが。

曲によってはアレンジが強くて、「こんな曲だったっけ?」ということもしばしば。
メロディラインは聴き覚えがあるけれど、かなり誇張されたアレンジが多かったような気がします。
原曲が和楽器強めかつシンプルな曲が多くて、オケらしさを前面に出すには誇張するしかなかったからかもしれませんが。

ここから大神にかけて、オーケストラに和楽器が加わった編成になりました。
とはいえ、俺屍2では和楽器はそれほど目立った活躍はせず。
原曲を考慮すると、もっと和楽器に役目を振っても良かったのではないかと思いました。

2-04. 大神
和楽器の魅力あふれる演奏でした。
というか、和楽器無双でした。
演奏の中に三味線オンリーのパートと和太鼓オンリーのパートがあったのですが、その圧倒的な迫力ったらもう、言葉になりません。
特に、和太鼓オンリーの演奏が素晴らしかったです。
和太鼓は、ステージ中央と左右にそれぞれ1セットずつ配置。
左右と中央から迫りくるように響く和太鼓の力強い響きには、圧倒されっぱなしでした。
とても熱くエネルギッシュな和太鼓の一音一音が、まるで雷鳴のようで。
音が圧力を伴って響いてくるので、耳で聴くのではなく、身体で聴いているような感覚でした。
あの臨場感たっぷりな迫力こそ、生演奏ならではの醍醐味かと。

オーケストラの演奏も、とても良かったです。
和楽器とオーケストラが互いに魅力を引き立て合うように共存していて、大神の世界観が良い感じに再現されていました。
「Reset」から「太陽は昇る」にかけては、今回の演奏会本編ラストに相応しい最高の盛り上がり。
大団円で幕が下りたような、すっきりした気分になれました。

ちなみに「Reset」は、平原綾香さんの「Reset」というよりは、むしろ「Reset~「ありがとう」バージョン~」をそのまま生演奏した感じでした。
まぁ、「Reset」をオケで演奏しようとすると、そうなるよね。

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