[GMEV] モント・トレーネン・フィルハルモニカー演奏会 -古の記憶 魂の調べ-

4月15日にMond Tränen PhilharmoNikeR(モント・トレーネン・フィルハルモニカー、以下「月オケ」)の演奏会「-古の記憶 魂の調べ-」が開催されたので、行ってきました。
会場は、練馬文化センター 大ホール(こぶしホール)。
開演は13:00で、終演は16:00頃でした。

■ニーア好きによるニーアの楽曲好きのための企画オーケストラ
この月オケは、スクウェア・エニックスより2010年に発売されたA・RPG、Xbox360用の「ニーア ゲシュタルト」およびPS3用の「ニーア レプリカント」(以上2作品を、以下「ニーア」とする)の楽曲を演奏されるために結成された有志オーケストラです。
そのため、今回演奏された楽曲は、アンコールも含めてほぼ全てニーアの曲でした。
例外が1曲だけありましたが、ニーアの世界観を考えるとニーアと無関係とも言い切れない曲なので、あれはあれでとても効果的でアリだと思います。

ちなみに、自分は「ニーア レプリカント」の方をDエンドまでクリア済みです。
と言っても発売直後にプレイした古参ではなく、わりと最近プレイしたばかりです。
ニーアが発売された直後から「曲が良い」という評判を耳にしてOSTを購入し、その美しくも儚い曲の数々に魅了されてゲームにも興味を持ったのがキッカケです。
ただ、PVを見た時点ではあまりに難しそうに見えて、なかなか手が伸びないまま数年経過。
そんなときに、昨年の2016年、公式による演奏会「滅びのシロ 再生のクロ」が開催。
それを機に「いっそプレイできそうにないなら、せめてネタバレサイトで情報を漁ってシナリオだけでも軽く把握しておこう」と考察サイトを見てみたら、退廃的・終末的な世界観や容赦のないシナリオが非常に自分好みだとわかって、ようやくゲームをプレイした次第です。
なんだかアプローチの道程が色々間違っている気がしないでもないのですが、この件に関しては仕方ないと思っています。

ついでに言えば、PS3パッケージ版は釣りで1回詰み、その後友人の助言を借りてなんとか先に進められたものの、某ダンジョンの試練でもう1回詰んでいます。
その後、PS Nowでストリーム配信が開始されたので、プラットフォームが変わればクリアできるかもと一縷の望みをかけて再プレイして、3度目の正直でようやくクリアしました。
クリア後にもう一度再プレイしたいと思いつつも、釣りと試練がどうしてもネックとなっていて、その気力がいまだに出せずにいます。

そんなことはともかく。
今回の演奏会には、どうやらゲーム未プレイでも曲が好きで来られた方がたくさん居られた模様。
開演前や休憩時間中に周囲から、ゲーム未プレイと思われる連れに対して「ニーアはこういうゲームでさ」とか「あれはこういう場面のシーンで流れる曲でね」などと熱心に説明している声を、他の演奏会以上によく耳にしました。
確かに、自分がもしゲーム未プレイだったとしても、曲は大好きだったので、おそらく今回の演奏会には来ていたと思います。
ニーアオンリーで、しかも無料の演奏会ですよ、行かない手はありません。

■企画オケとは思えぬ演奏の完成度の高さ
有志による無料の企画オケ、ということもあって、正直なところ開演まで演奏の質については過度の期待をしていませんでした。
過去にも企画オケには何度も足を運んでいますが、演奏技術的に表現の難しい部分は情熱と勢いでカバーしているケースが多かったので。
また、ゲーム音楽の多くの例に漏れず、ニーアの曲もまた、演奏することを想定されていない難しいもののように思ったので。
そのため、開演前は「楽しめれば良いか」程度の軽い気持ちでいました。

が、いざ演奏が始まってみたら、演奏の質がめちゃくちゃ高くて驚愕しました。
有志オケによる無料の演奏会とは思えないぐらいに、演奏がハイレベル。
楽器の演奏もコーラスの歌声もものすごく丁寧で、最初の一音から最後の一音まで気を抜くことなく確実に演奏されていました。
また、調和にも気を使われていて、音の響きが崩れることなく常に美しかったことも印象的でした。

確かに、音が不安定になったり外していたりしていたところも皆無ではありませんでしたが、おそらく数えられる程度だったかと。
それくらい、しっかりと丁寧にまとめられた演奏になっていました。

またニーアの楽曲の特徴でもある感情的な表現も豊かで、穏やかなところ、切ないところ、狂気じみたところが、確かに音に反映されていました。
特に喪失感や攻撃性、狂気などの負の感情が発露する曲の演奏は、鳥肌ものでした。

これまで行ったことのある有志の企画オケと比べても、相当上位に入るくらいの高レベルな演奏でした。
これを超える企画オケなんて、そうないのではないかと。

ニーアの世界観をすごく大事にされている雰囲気が音の一粒一粒から感じられて、あの世界観が好きな身としては嬉しく思いました。
「楽しめれば良いか」なんて軽く考えていて、本当にすみませんでした。
演奏会が終わった今となっては、高品質で演奏してくれた感謝の念とともに平身低頭したい気分です。

■ニーアを描く上で欠かせないコーラス隊の活躍
今回の演奏会で特に活躍されていたのが、コーラス隊だったと思います。
その歌声のハーモニーがとても素晴らしくて、すごく綺麗な響きでした。
ニーアの世界観にとてもマッチした、脆さ、儚さ、曲によっては力強さと破壊衝動、それらがコーラスによって見事に描かれていました。
どれほど練習されたのかわかりませんが、トレーナーさんが付いて、すごく丁寧に細やかに練習されたのではないかと思います。
それが垣間見えるような、そんな美しい響きでした。

また、有志でコーラス隊を結成すると、声質的に他の人と混ざり難い声の持ち主が一人や二人はいて、その声だけが悪目立ちしてしまうことがよくあるものですが、今回それがなかったのも印象的でした。
コーラス隊全員の歌声が一体となってホール内に広がっていく様は、鑑賞していて気持ちが良かったです。

■的確かつ精確な指揮
今回の演奏会の指揮は、後藤正樹氏。
後藤氏の指揮は久しぶりでしたが、相変わらず見事なまでに的確で精確な指揮だったと思います。
その的確さは、音楽素人の自分にもわかるくらい。
どの曲の演奏時だったか忘れてしまいましたが、少しだけ大きな一音を出していた楽器に対して即座に指示を出したっぽい後、次の一音ではちゃんと抑えられた音になっていたところが、すごく印象に残りました。
全体の音を客観的に、かつ瞬時に把握して、バランスや表現を調整する、それが指揮者の役目かと、その指揮姿を眺めながら思いました。
指揮者の楽器はオーケストラだと、どこかで耳にしたことがありますが、今回の指揮を見てその言葉をふと思い出しました。

それにしても、後藤氏の指揮は、何度見てもやっぱり好きです。
理由はよくわからないのですが、何故だか魅了されるものを感じます。
全体を瞬時に把握して、その場の最適解を即座に導き出し、的確に指示を出されている頭の回転の速さは、いつも見てもすごいなぁと思うのですが、それだけではないような気もします。
他の指揮者の方々に比べ、感情よりも理性が強いというか、理性で感情をコントロールしているような印象を受けるのですが、そこにも不思議な魅力を感じています。

ただ、今回一瞬だけ妙に印象に残ったシーンがありました。
3曲目か4曲目だったと思うのですが、メドレーの曲と曲の間が少し空いたところでフライング拍手がパラパラと起こった瞬間に、後藤氏が客席の方を一瞬だけ睨んだように見えたところです。
おそらく無意識の反応だったような気もしますが、あまりにも眼光が鋭くて、そこに演奏に対する素の感情の一片が垣間見えた気がして、その一瞬がすごく印象に残りました。
とはいえ、その鋭さからそれだけ真剣に曲や演奏と対峙されている感じがして、逆に好感度が上がりましたが。

ちなみに、ある曲の最中に指揮棒を吹っ飛ばすというアクシデントもあって、そこもある意味印象的でした。
後方の客席からも、放物線を描く指揮棒がばっちり見えました。

■ニーアの物語を考え尽くされた曲構成
曲の構成は、ゲームのシナリオをなぞったものになっていました。
第1部はゲーム前半(レプリカントで言えばニーア少年期)、第2部はゲーム後半(レプリカントのニーア青年期)、第3部は決戦、という構成。
その構成もまた、演奏同様に完成度が高くて、すごく練り込まれたものでした。

その完成度の高さは、曲と曲の間の拍手に困ったほどです。
演奏に感動した想いを伝えたくて拍手したい気持ちがありつつも、拍手せずにこのまま続けて演奏を聴きたい気持ちもあって、一曲演奏が終わる度に葛藤がありました。
こんなに拍手一つで戸惑った演奏会は初めてかも。

また、非常にゲームに忠実な構成だったためか、ゲームプレイ時の記憶とのシンクロ率が半端なかったです。

第1部と第2部は、わりと冷静に鑑賞できていました。
あんなイベントがあったなぁ、その後にそんなシーンもあったなぁ、と、思い出を掘り起こしながらゲームを追体験している気分でした。
まぁ、普通にゲーム音楽の演奏会を鑑賞しているのと同じ感覚です。

が、第3部に突入した途端、ゲームプレイ時の記憶が一気にフラッシュバックしてきて、それがぴったり演奏とクロスし、その結果、感情が限界突破しました。
懐かしさ、切なさ、登場人物たち各々の切なる想いの強さ、戦わざるを得ない皮肉さと非情さ、その結末のやるせなさが、一気に押し寄せてきた感じです。
第1部、第2部でもそんな感情は確かにあったのですが、それ以上のものが第3部でどっと襲い掛かってきて。
結果、感情が千々に乱れる感覚に陥りました。

本編最後の曲が終わったときは、やるせない気持ちでいっぱいになりました。
満足感も確かにあったけれど、それと同じくらいにやるせない気持ちもありました。
満足感は演奏に対してのもので、やるせなさはゲームに対するものだと思いますが、それらがごちゃごちゃになってしばらく気持ちの整理が付きませんでした。

なんとか気持ちと折り合いを付けようとしてあれこれ考えた結果、結論としては「感無量」という言葉が一番しっくりきました。
うん、感無量な演奏会でした。

■原曲を重視しつつもフルオケ用にアレンジされた楽曲の数々
編曲の傾向としては、原曲重視。
ただ、他の企画オケよりも、やや強めにアレンジされていたように感じました。
原曲をそのまま素直にオーケストラに落とし込むのではなく、ゲームの各シーンで伝えたいことや、その時の登場人物たちの心情まで再現するような、そんな編曲だったように思います。

まぁ、原曲があまり音に厚みのないある意味さっぱりした硬質な曲が多く、これを単純にオケに落とし込んだだけでは味気ないものになりそうなので、今回披露された程度の編曲はアリではないかと。
フルオケで演奏する上で必要な緩急やメリハリを、原曲よりもやや強めに付けるためと思われるアレンジが多かったですし。
それに、原曲の雰囲気をとても大切にしつつ、ゲームの各シーンとも真っ正面から向き合ったような編曲だったので、不満はほとんどありません。
むしろ、すこぶる満足しています。

ただ一点、ちょっと不満に感じた点があるとすれば、同じ曲を何度も聴くことになったこと。
これは曲の構成も絡む話なのですが、あまり大きなアレンジの違いのない曲を、1つの演奏会中に3, 4回も聴くと、さすがに飽きるというか疲れるというか。
構成を大事にした結果というのも理解できなくもないのですが、アプローチの仕方を少し変えてみるなどの飽きない工夫が欲しかったなぁ、という気もします。

■凝った演出だけでなく、豪華なサプライズまで続々と
演奏以外についても少し言及します。

演奏以外の部分においても、ニーア一色な演奏会でした。
特に開演前と休憩時のカゲアナが、ニーア好きにはたまらないくらい凝ったものでした。
鑑賞時の注意事項が「掟〇〇〇」になっていたり、「休憩」ではなく「休息」だったり。
細かいところまで凝っていました。

また、アンコールではシークレットゲストとして、実際にニーアの楽曲に参加された中川奈美さんが登場。
そのままアンコールの演奏にも参加されていました。
終演後にはマイク片手にステージ上からアナウンスを行っていましたが、声質からするとどうやらこれまでのカゲアナも全て中川さんだった模様。
全然気付きませんでした。
確かに、開演前アナウンスのうち掟の部分だけやや厳格な雰囲気に変わったから、妙に小慣れているアナウンスだなぁとは思いましたが。

さらに、アンコール1曲目の後には、ニーアの曲を作曲をされた岡部啓一氏とディレクターのヨコオタロウ氏も、スペシャルゲストとして登壇。
エミールヘッドを付けていない素顔のヨコオ氏を見たのは初めてかも。
岡部氏は、自身のニーアの楽曲を自画自賛しつつ(実際、ものすごい良曲ばかりですが)、しっかり(ちゃっかり?)「ニーア オートマタ」の宣伝もされていました。
その一方で、GWに開催予定の公式演奏会の宣伝がなかったのは、チケットが既にSOLD OUTしていたからでしょうか。

ところで、中川さんのコメントで「OSTがゲームの3倍売れてる」「ゲームを買った人の3分の1の方がOSTを買っている」とあったのですが、あれは本当なのでしょうか。
そういえば、「滅びのシロ 再生のクロ」でヨコオ氏が「ゲームより音楽の方が評価されている」というようなコメントをされていたし、本当にその通りなのかもしれない。

それにしても、ゲームクリエイターやゲーム音楽の作曲家の方々は、本当にフットワークが軽いなぁと思います。
過去にも、アマチュア楽団の演奏会に作曲の方が直々に来場されるケースは多々ありましたが。
非公式の演奏会にも関わらず足を運んでくれて、場合によっては軽くトークまでしてくれて、ファンとしても嬉しい限りです。

■感想まとめ
予想の遥か上を行く素晴らしい演奏、構成、編曲の数々で、たっぷりとニーア充できた演奏会でした。
ニーア好きとしても、ニーアの音楽好きとしても、今回の演奏会に参加できて良かったし、満足しました。
演奏とゲームプレイ時の記憶がシンクロして、感情の整理が追い付かないような珍しい体験もしましたし。
これが無料の演奏会なんて勿体ないくらいでした。
わりと真剣に、チケット代の振込先はどこですか?と問い合わせたいくらいです。

岡部啓一氏も仰られていましたが、ぜひ「ニーア オートマタ」の演奏会も開催してほしいです。
「ニーア オートマタ」も良曲が揃っているし、「ニーア オートマタ」の方がフルオケに向いていると思うので、検討をお願いしたいです。
たとえ開催までに7年かかるとしても、待ちます。待つ覚悟はできています。

※[2017/04/16更新] コメントでご指摘をいただいた点について修正しました。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。

[GMEV] MUSICエンジン 第二回演奏会

4月1日にMUSICエンジンの第二回演奏会が開催されたので、行ってきました。
会場は、清瀬けやきホール。
開演は14:00で、終演は15:50頃でした。

■メジャー路線から少し外れたゲームタイトル
昨年11月に第一回演奏会が開催され好評を博した、MUSICエンジンの第二回演奏会。
第一回のときにそのハイレベルな演奏技術と編曲で一気に魅了されたため、今回の演奏会も楽しみにしていました。
しかも、個人的なイチオシである「ルドラの秘宝」の曲を演奏するとあれば、もはや行かない手はありませんでした。

今回演奏された楽曲は、「ルドラの秘宝」(以下、ルドラ)と「ブレス オブ ファイア」(以下、BoF)の2本立て。
ともにSFC時代のゲームです。
ゲームタイトルとしての知名度は、中の中ぐらいでしょうか。
SFC時代のコアなRPG好きだったら大抵の方は知っている、逆に言えばそうでなければ大抵の方が知らないタイトルかもしれません。
BoFは今もシリーズの続いている作品なので知っている方も多いかもしれませんが、ルドラは単発作品なので知らない方が多いかも。

前回の「エストポリス伝記2」のときにも感じましたが、そのメジャー路線からあえて少し外れたゲームタイトルが選ばれている点も、この楽団の魅力の一つだと思います。
たくさんのメジャーな作品の中に埋もれてしまっている良曲を拾い上げてくれているようで、昔からのゲーム音楽好きとしてはとても嬉しいです。
なんというか、気付いてくれたんだ!という感激みたいなものでしょうか。
マイナーな作品なので集客的には不利であるけれど、それを振り切ってでも演奏会を企画し開催してくれた関係者の方々に、感謝の念を抱いています。

ちなみに、ルドラもBoFも、他の演奏会では聴いたことのないゲームタイトルです。
かれこれ何十というゲーム音楽の演奏会に足を運んできましたが、自分がこれまでに行ったことのある演奏会では、たぶん一度も聴いたことがありません。
むしろ、今回の演奏を聴いて、何故これまで演奏されてこなかったのか、逆に不思議に思いました。

■プロの演奏者によるガチの演奏
ゲーム音楽、それもSFC時代の作品なんて、そもそも人の手で演奏されることは想定されていないので、ピロピロした旋律が多分に含まれている難しいものばかり。
音楽素人の自分の耳で原曲を聴いていても「これ、一体どうやって人の手で演奏するんだ?」と思うような曲ばかりです。
が、ステージで演奏されていた奏者の方々は皆プロの演奏者なので、演奏技術は折り紙付き。
その高い技術力でもって、一見難しそうなフレーズも見事に華麗にこなされていました。

それに加えて、プロの演奏者でありながらゲームあるいはゲーム音楽が好きな方々ばかりなので、曲への情熱もすごかったです。
プロの技術にゲーム音楽への情熱が加わると半端ない化学反応が起こる、という現場には過去に何度か居合わせたことがありますが、今回もその例に漏れることはなく。
演奏中だけでなく曲と曲の合間からすらも、とてつもなく大きな熱量をステージ上から感じました。
その熱量に、終始圧倒されていました。
プロの技術に情熱が加わると、本当にすごいです。すごいという言葉しか出てこないくらいにすごいです。

■中規模編成ながら、バランスの良い組み合わせ
今回の演奏会の編成は、弦楽器+木管楽器(フルート、オーボエ、クラリネット)+金管楽器(トランペット、ホルン)+パーカッション(ドラムセット含む)+ピアノ(シンセサイザー含む。
総勢20人という編成でした。
少なくはないけれど、多くもないという人数です。

ただ、バランスはすごく良かったです。
各パートの音のバランスが絶妙で、どこかのパートの音が突出して前に出過ぎることもなく、逆に弱くて埋もれてしまうこともなく。
パートごとに全体のバランスを互いに常に調整し合っていて、結果的にちょうど良いバランスになっていました。

開演前に若干不安視していたドラムセットも、実際に演奏が始まったら、そんな不安はあっという間に消し飛んでしまいました。
ドラムセットというと、これまでの経験上、前に出たがる演奏者の方々が多かった印象が強くて、今回もそうだったらどうしようと思っていたのですが、完全に杞憂に終わりました。
他の楽器の音色の溶け込むような絶妙なボリュームで、主旋律を盛り上げる裏方に徹する一方、インパクトを効果的に与えるべきところでは与えていたところには、すごく好感が持てました。
絶妙なバランスだったと思います。
ドラムスの方、本当に素晴らしい力加減でした。

■長年の念願がようやく叶った「ルドラの秘宝」
まず、前半に演奏されたルドラについて。
自分のルドラ歴は、まずゲーム雑誌で情報を入手したことがキッカケでした。
言霊システムと世界観に興味を持って、漠然とプレイしたい欲求を抱いた覚えがあります。
ただ、当時ゲーム禁止家庭の実家住まいだったためゲームをプレイすることは叶わず、さりとてマイナー作品故にOSTを入手する機会もなくて、消化不良な日々を過ごしていました。
そんな日々の果てに、独り暮らしを始めたことによりようやくゲーム禁止の制約から解放されて、まずやったことはOSTのゲット。
そこで聴いた曲がどれもとてもツボにハマり、それによりゲームへの興味が再燃して、とある機会にゲームもクリアしました。
そんな紆余曲折のある思い出深い作品が、ルドラです。

そのルドラの楽曲を演奏すると知った時点で、もうチケットゲットは確定でした。
OSTを入手して魅了されて以来、ずっと生演奏で聴きたかったルドラの曲を、今回ようやく聴けたわけです。
それだけでもう感謝感激雨あられ。
自分の悲願を成就してくださって、本当にありがとうございますMUSICエンジンさん!

そんなわけで、今回の演奏会の目当ての大半は、ルドラの曲でした。

編曲は、原曲をそのまま素直に管弦楽に落とし込んだような感じでした。
原曲重視というよりも、原曲再現と言った方が近いかも。
とはいえ、元の音源がSFCなので、そっくりそのまま同じというわけにはいきません。
また、多少のアレンジも加わっていたと思います。
が、原曲をがっつり聴き込んだ上で今回の演奏を聴いても、違和感はほとんどありませんでした。
むしろ、原曲に近い感じで再現してくれた分、OSTを聴いていた当時やゲームをプレイしていた時の懐かしさがぶわっと湧き出してきて、ゲームのシーンをちらちらと思い出しながら聴いていました。
ルドラは、ゲームも音楽も、本当に夢中になったなぁ。
懐かしい、とても懐かしいです。
懐かしさのあまり、曲が進むにつれて感動が積み重なって、最終的には涙腺が崩壊しました。
それくらい、素晴らしい演奏でした。

■今回の演奏会のために原曲の音源を購入して予習して臨んだ「ブレス オブ ファイア」
後半はBoFの楽曲を演奏。
BoFは、GBA版をプレイしたようなしていないような曖昧な記憶しかなく、そのためBGMの記憶はほとんどありませんでした。
とはいえ、原曲を全く知らないまま演奏会に突撃するのも無謀かなと思い、演奏会が開催される10日ほど前にiTunesでサウンドコレクションを購入。
一応曲だけでも予習しておくか、という軽い気持ちで、ざっくり聴き込んでから今回の演奏会に臨みました。

ゲームはほぼ未プレイ(プレイしていたとしても、もはや記憶にほとんど残っていない状態)だったので、開演前はついていけるかどうか不安がありました。
が、蓋を開けていたら、意外と本気で聴き入っていました。
予習が功を奏したのか、原曲や今回の演奏が素晴らしかったからなのかは不明ですが、意外と楽しく演奏を堪能できました。

編曲の方針はルドラの時とは少し違っていて、SFC音源の原曲からクラシカルな楽器で広がりのあるクリアなサウンドにしつつ、メリハリを少し強調させたような感じになっていました。
もしBoFが最新ハードでリファインあるいはリメイクされることがあれば、きっとこんな感じになりそう、という感じです。
むしろ、そのような機会が生まれたら、BGMは今回の演奏会のもので良いのではないかとすら思ったくらいです。

多少アレンジが加わっていたとはいえ、基本的には原曲重視。
雰囲気を十分に残しつつも、音の広がりや幅、場の臨場感を拡張させたような感じです。
原曲を知らなくても楽しめたかもしれませんが、原曲を知っていても違和感なく楽しめました。

今回の演奏会でBoFの原曲をじっくり聴く機会に巡り合えたのですが、生演奏で聴いたBoFの曲もとても格好良かったです。
原曲を聴いたときは、率直に感想を言えば良くも悪くも「あ、ゲーム音楽だ」で完結してしまっていたのですが、生演奏によって格好良さがより一層引き立てられていたように感じました。
「この曲、こんなに格好良かったっけ?」のオンパレードで。
それにより、原曲の良さが再認識できて、また一つお気に入りのゲーム音楽が増えました。

■中規模ながらも利便性の高いしっかりしたホール
会場である清瀬けやきホールは、キャパシティ500人ほどの中規模の音楽ホール。
初めて足を運んだホールでもあります。
それほど大きなホールではないのですが、意外と音響はしっかりしていたと思います。
そして何より、観客席の傾斜が結構急で、前の席との高低差がかなり大きく、そのおかげで前の席の方の頭でステージが見えない、ということがなかったのは好印象でした。
交通の便はあまりよくないけれど、このホール、結構良いかもしれません。
個人的には、前の方の頭が邪魔にならずに、ステージの全景を見ることができた点を、大いに評価したいです。
このホールを見つけてくれた方、とてもGJでした。

■感想まとめ
プロの演奏者によるマイナー楽曲のゲーム音楽専門の管弦楽団「MUSICエンジン」の第二回演奏会でしたが、第一回に負けず劣らずの素晴らしい演奏の数々でした。
演奏を聴いていて、胸が熱くなったり、たぎったり、切なくなったり、楽しくなったり、興奮したりと、色々な感情が沸き起こって、それすらも思う存分楽しめました。
次回演奏会の予定はまだ決まっていないようですが、ぜひ第三回目も期待しています。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。

[GMEV] 魔女と百騎兵-Concert- 魔女たちの幻想夜会

3月25日(土)に、日本一ソフトウェアのA・RPG「魔女と百騎兵」のBGMをメインにしたコンサート「魔女と百騎兵-Concert- 魔女たちの幻想夜会」が開催されたので行ってきました。
会場は、府中の森芸術劇場 ウィーンホール。
開演は18:00で、終演は20:15頃でした。

■日本一ソフトウェア主催による日本一ソフトウェア作品初の公式ホールコンサート
今回のコンサートは、日本一ソフトウェア主催の「魔女と百騎兵」を主軸としたものでした。
なんでも、コンサートホールで演奏するような形の公式コンサートは、今回が初だそうです。
バンド形式のコンサートは過去に「ディスガイアナイト」などの例がありますが、音楽ホールで座って聴くタイプのものは確かに記憶にないかも。
ただ、岐阜の隣県を拠点とする某アマチュア楽団が、かつて「魔女と百騎兵」や「ディスガイア」の曲を演奏していた覚えがあります。
あの時、「魔女と百騎兵」の曲が聴きたくて、行こうかどうしようかギリギリまで真剣に悩んだんだよなぁ。
結局、旅費を前にして膝を折りました。

それにしても、ゲーム会社自身が主催する演奏会というのは、ここ最近では珍しかったかもしれません。
近年は、主催はゲーム会社ではなくてイベント企画会社(あるいは団体)で、ゲーム会社は「協力」や「協賛」というサポート的な立ち位置であることが多かったので。
その点は、少し意外に感じました。
が、日本一ソフトウェアという会社の特性を考慮すると、まぁ主催してもおかしくないという気がするから、不思議なものです。
個人的なイメージですが、日本一ソフトウェアって、やりたいことをやりたいようにやる、良くも悪くも挑戦的な会社(その結果、大穴を引き当てることも、大暴投することもある)という印象を抱いています。

■小規模な編成ながら迫力のサウンド
今回演奏された曲は、次の作品のBGMでした。

・魔女と百騎兵(以下、魔女百)の無印, 2
・ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団(以下、ルフラン)
・魔界戦記ディスガイアシリーズ

これらの作品のBGMが、アコースティックなサウンドで演奏されました。
編成は、

・ヴァイオリン(1st, 2nd)
・ヴィオラ
・チェロ
・ピアノ
・ギター(アコースティックギター, エレキギター)
・パーカッション
・アコーディオン

と、総勢8人による小規模なアンサンブル形式。

確かに、編成だけ見れば小規模です。
が、演奏全体の迫力はものすごかったです。
アンプを使っていたからかもしれませんが、まず音圧がすごい。
そして、原曲の拡張するような編曲の見事さがすごい。
さらに、演奏に込められた熱量がすごい。
それらが三位一体となって観客席に襲い掛かってくるような感じで、とにかくすごかったとしか言いようのないすごさでした。

■原曲を生かしつつ、よりダイナミックに拡張されたアレンジ
編曲は、今回の編成に合わせてがっつり手が加えられていたと思います。
魔女百とルフランに関しては、原曲の雰囲気を色濃く残しつつも、今回の編成を生かすようにアレンジされていました。
あの原曲に含まれていた独特の妖しさと美しさはそのまま。
それを継承しつつ、各楽器の魅力を最大限に引き出し、かつ曲自身が持つ魅力も増幅させるような、そんな思慮が見えました。
ゲームを知らなくても十分聴けるような、一つの曲として演奏が成立するような、そんなアレンジです。

ディスガイアについては、実はシリーズ作品のいずれも未プレイでOSTも聴いたことがないので原曲を知らないのですが、魔女百やルフランと同様に上手くアレンジされていました。
原曲を知らなくても、すごく楽しめました。
また、魔女百やルフランの中に混ざっても違和感のない雰囲気に仕上がっていて、ガチで「混ぜるな自然」状態だったのも印象的。
あまりにも上手く魔女百の雰囲気に寄せていて、心底驚きました。
その寄せっぷりのあまり、逆に原曲がどんなものなのか気になったくらいです。
原曲はもっとロックっぽかったり讃美歌っぽかったりするのかな。

■編曲の妙に見事に応えた迫真の演奏
そんな素晴らしい編曲に対して、演奏も見事に応えていました。
演奏者一人一人の技量の高さも素晴らしかったし、演奏に込められた熱量も半端なかったです。
各楽器の音色が混然一体となり、大きな熱量を伴った塊になって、客席に向って飛んできていました。
そのあまりに熱量の高い迫真の演奏に、最初から最後まで心が震えっ放しでした。
魔女百っぽい表現をするなら、圧倒的なまでの音の狂宴、といった感じです。
熱量を伴ったプロの技ってすごい。本当にすごい。
圧巻の演奏でした。

中でも、弦楽器がすこぶる格好良かったです。
特に1stヴァイオリンがめちゃくちゃ格好良くて、演奏時間の半分以上を費やしてガン見していたような気がします。
また、アコーディオンの演奏もとても良かったです。
アコーディオンが入ると途端に魔女っぽさが増すのは、良い意味で卑怯というか、上手い効果というか。
正直、たまりませんでした。

また、演奏者の方々がみんな、今回のコンサートの曲を楽しそうに演奏されていたのも印象的でした。
演奏するのが楽しくて仕方がない、という雰囲気が、音からも姿勢からも伝わってきました。
特に1stヴァイオリンの方が、時折微笑みを浮かべながら弾いていらしたのが実に楽しそうで、聴いているこちらも楽しくなりました。
自分の好きな曲を楽しそうに弾いてくれると、聴いてる方も嬉しくて楽しくなります。

■次回コンサートの会場は岐阜?
コンサート中、ゲストとして佐藤天平さんと新川社長が度々登壇されて、トークを披露されていました。
トークの内容で覚えているのは、

・かつて日本一ソフトウェアがパズルや麻雀ゲームばかり作っていた時代、いよいよ潰れそうというときに「いっそ潰れるならRPGを作って華々しく散ろう!」と新川氏が当時の社長を説得して作られたのが、ミュージカルRPGの「マール王国の人形姫」。
・ミュージカルRPGということから、当時ミュージカルの楽曲も手掛けられていた佐藤天平さんに声がかかった。
・話を持ち掛けられた際、佐藤さんは「よくぞ見つけてくれた」と嬉しく思い、渋谷の坂(当時、日本一ソフトウェアのオフィスが渋谷の坂の上にあったらしい)を足取り軽く降りていったらしい。早く曲を作りたくて仕方なかったそうな。
・初代ディスガイアは、再び会社が潰れかけたときに、新川社長を含めたスタッフ3人が集まって、「魔界」という世界観だけ決めて各々好き勝手に作り始めて、後日合体させてできたもの。
・「魔界」という何でもありの懐の広さが功を奏した。
・音楽について、ディスガイアは何でもありの広がりのあるサウンドを心がけていて、魔女百やルフランは逆に凝縮したサウンドのイメージを大事にして曲を制作した。

新川社長本人も仰っていましたが、なんだか「会社が潰れる」ネタの多いトークだった気がします。
率直に言えば、今も傍から見ていて危なっかしい感じがするので、もはや伝統芸なのではないかと思ってますが。
潰れそうで潰れないしぶとさとしたたかさが。

あと、コンサートのメインであるはずの魔女百に関するトークが少なかったです。
知名度で言えばディスガイアの方が遥かに上なので、まぁ、仕方ないのかな。

新川社長自身はまたこのようなコンサートを開催したいようなので、次回も期待できそうです。
「この日のためだけに編曲して、メンバーを揃えて、会場を押さえて・・・なんて勿体ないから、またやりたい」というような発言をされていました。
ただし、「ワイン片手に屋外でゆったり聴きたい。岐阜城とか、関ケ原の合戦場とかで」とも仰っていたから、会場が岐阜になる可能性が無きにしも非ず。
岐阜かぁ・・・遠いな・・・。
というか、新川社長、本当に岐阜が好きだな。

■感想まとめ
妖しくも美しい魔女百やルフランなどの楽曲を、非常に情熱的に演奏されて、とてもたぎった演奏会でした。
新川社長もトークで発言されていましたが、他にもこの形で聴いてみたい曲があるので、ぜひ次回コンサートも期待したいです。
そのときもまた、足を運んでみたいと思います。

ただ、会場が岐阜だったら、ちょっと考えます。

あ、その前に、まず魔女百のアレンジサウンドトラックの再販をお願いします。
Amaz○nで「いつか買おう」と欲しいものリストに入れておいたらいつの間にか売り切れていて、「いつか再販されるだろう」と思っていたけれどいつになっても再販されなくて、今「在庫のあるうちに買っておけば良かった」と密かに悔し涙を流しています。
パンフレットに掲載されていたくらいなので、きっと再販してくれると期待しています。
心の底から、期待しています。(大事なことなので


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。

[GMEV] Music 4Gamer #1 「聖剣伝説」25th Anniversary Concert

3月24日(金)に聖剣伝説シリーズのオーケストラコンサート「Music 4Gamer #1 「聖剣伝説」25th Anniversary Concert」が開催されたので、行ってきました。
会場は、Bunkamuraオーチャードホール。
19:00開演で、21:00頃に終演しました。

演奏は、東京交響楽団。
指揮は、柴田真郁氏。

■聖剣伝説25周年記念としてシリーズ初の公式オーケストラコンサート
2016年、聖剣伝説シリーズは発売25周年の記念イヤーでした。
今回のオーケストラコンサートはそれを記念して、ゲーム情報サイト「4Gamer」とタッグを組んで企画されたものです。
開催時点で2017年なので、正確には今年で発売26周年なのですが、まぁ細かいことはいいのです。誤差の範囲内です。

聖剣伝説シリーズはナンバリングタイトルだけでなく派生作品も数多くあるのですが、今回の演奏会では「聖剣伝説 -ファイナルファンタジー外伝-」(以下、1)、「聖剣伝説2」、「聖剣伝説3」、「聖剣伝説 Legend of MANA」(以下、LOM)、「聖剣伝説4」の曲が演奏されました。
演奏された曲は、4Gamerで募集したリクエストをもとに選曲されたそうです。
このラインナップは、個人的には正直なところありがたかったです。
自分の聖剣シリーズ作品プレイ歴が、

・1(GB版+Vitaリメイク版)、2、3、LOM、「聖剣伝説 CHILDREN of MANA」クリア済み
・4は開始30分で挫折(でもOST持ってる)
・「新約・聖剣伝説」は途中までプレイした(でもOST持ってる)
・「聖剣伝説 HEROES of MANA」、「聖剣伝説 RISE of MANA」はOST持ってるけれど未プレイ
・他は未プレイで曲も全く知らない

という状態だったので。
やはりナンバリングタイトルとLOMは、格別に思い入れが強いです。

コンサートにはどうしても演奏時間に上限があり、無制限にあれもこれもと演奏することはできないため、シリーズの中からこの4作品に絞ったのは正解だと思います。

■過去の名アレンジを生かしつつ、オーケストラを生かした編曲
編曲は、原曲に対してそこそこ加えられていました。
これまでプロ・アマ問わず様々な楽団の演奏会で何度か聖剣シリーズの演奏を聴いたことがありますが、それらよりも比較的編曲が強かったように思います。
ただ、原曲がそもそも演奏することを想定して制作されていないので、それを人の手で演奏できる形にした程度です。
原曲の雰囲気や空気感はほぼ残されていました。

一部、既にオーケストレーション化されているものは、それをベースにリアレンジ、あるいはそのまま演奏されていたりもしましたが。
特に下村陽子さんの「drammatica」に収録されているLOMの曲は、そのまま再現されていたことが多かったように思います。
他にも、1は「想いは調べにのせて」バージョンをベースにアレンジされているような曲もありました。
メドレーの都合上、オリジナルのアレンジになっている部分もありましたが、過去の名アレンジを生かしてくれていたところにも、25年もの長きに渡って愛されてきた作品への敬意を感じました。

その上で、オーケストラによる生演奏という付加価値を最大限に生かすような、ダイナミックなアレンジになっていたと思います。
激しい曲は熱く壮大に、泣ける曲はしっとりと、時にはソロを交えつつ、メリハリの付いたとても良いアレンジでした。

少し余談ですが、「drammatica」版が多く採用されているのは、「drammatica」のオーケストラアレンジが最強だからなんだと思います。
先日開催された「キングダムハーツ」のオーケストラコンサートでも、「drammatica」収録曲はそのまま演奏されることが多かったですし。
あのスコアがあることで編曲にかかる負荷が下がっているのであれば、「drammatica」は色々な意味で名盤ではないかと。
演奏とアレンジの質の高さという意味だけでなく、貢献度的な意味でも。
もう、あれが公式スコアで良いと思います。

■編曲の素晴らしさに見事に応じた演奏の素晴らしさ
今回演奏された曲の中には、いくら考えても人の手で演奏できる曲じゃないと思われた曲もありました。
2の「危機」や「子午線の祀り」はどんなにオーケストレーションしても、あれを再現するのは難しいだろうと、開演前は思っていました。
それがプロの業によってどんな風に料理されるのか、楽しみでもあり不安でもありました。

そんな思いの中、蓋を開けてみたら、とんでもない超絶技巧が披露されました。
演奏を聴いている最中ずっと、「え、これ、人の手で演奏できるの? え? え??」と感嘆しか出てきませんでした。
プロの本気がガチで本気で、半端なかったです。脱帽ものです。プロすごい。

バトル曲のような熱い曲は熱く情熱的に、イベント曲のような切ない曲は情緒豊かに、ゲームを想起させるのに十分な熱量の含んだ演奏でした。
今回ステージで演奏に参加された東京交響楽団の方々全員が聖剣伝説をプレイされているとは思えないけれど、譜面からそのへんを汲み取って演奏されているところも、さすがプロだなと感心しました。

まぁ、原曲を知らないことが原因と思われる音のズレも、多少ありましたが。
全体的な完成度の高さから言えば、些細なことです。

■開演前トークショー(作曲家編)
開演前の18:30から30弱ほど、伊藤賢治さんと菊田裕樹さんをゲストに招いたトークショーが開催されました。
トークの内容は、かなり濃いものでした。
濃過ぎて、実はあまり覚えていません。
かろうじて覚えているのは、

・人が演奏することを想定した曲ではないので、(演奏者に対して)ドSな曲ばかり。特に菊田さんの曲が。
・発注を受ける際の指示は、大体「通常バトル」「ザコ1」「ザコ2」「ボス戦」「ラストバトル」など、とてもアバウト。
・菊田さんは曲が降りてくるタイプ。イトケンさんは曲が降りてくることもあれば、悩み抜いた挙句に気分転換しようとしたタイミングで閃いたりするタイプ。

というぐらい。

今回会場に来ることができなかった下村陽子さん(キングダムハーツのワールドツアーでイギリスに行っていたのではないかと思う)からは、音声コメントが届いていました。
その中で、会場にいないことを良いことに、イトケンさんと菊田さんへ「デモを提出するときはどんな心境ですか?」という質問に続いて、「きっと自信満々に提出されていたと思います!」と半ば挑発とも取れる爆弾発言を投下されていきました。
今回の演奏会の中で、下村さんが一番の地雷踏みでした。
ただ、その質問に対して漫才みたいな回答を和気あいあいとするイトケンさんと菊田さんから、コンポーザー陣の仲の良さも感じられました。

ちなみに質問に対する回答は、イトケンさんが「提出とリテイクを繰り返して曲を仕上げていく」、菊田さんが「できるだけデモは出したくない、出すときに完成形を出したい」とのこと。
ただ、お二人とも「発注元が期待しているものを予測して作曲している」という点は共通していました。

開演前トークショーの最後に、イトケンさんが「いっぱい喋れた!」と喜んでいたのが印象的でした。
おそらく昨年のサガオケと比較しての発言だと思いますが、あのときはトークの時間がものすごく短くて物足りなさそうでしたしね。

■休憩中トークショー(制作スタッフ編)
第一部終了後に20分ほど、再びトークショーが開催されました。
今度のゲストは、聖剣伝説の生みの親である石井浩一さん、2, 3の制作に関わられた田中弘道さん、現・聖剣伝説プロデューサーの小山田将さん。
聖剣伝説について、主に石井さんが当時の思い出を熱く濃く語られていました。
トークの内容としては、

・発売された1は、実は三代目の聖剣伝説。
・「聖剣伝説」という商標を取得した初代は、FFよりも前に開発に着手していた。
・今の聖剣伝説とは全く異なるシステムで、3DダンジョンRPG(ウィザードリィのようなもの)だった。
・しかも、ディスクシステムで3部作という構成だった。
・三代目にあたる1を制作する初期段階では、RPGにする想定だった。
・が、石井さんが参加され、石井さんの意向によりアクション要素が追加されて、今の1のような形になった。
・マナの樹を女性、剣を男性に見立てて、樹に守るようにその根元に突き刺さっている剣のイメージが石井さんの中に思い浮かんだ瞬間に、「これはいける!」と直感した。
・FFが物質世界なら、聖剣伝説はそのアストラル(精神)世界。だから精霊が見える。
・モンスターの色にも理由があり、ラビの色が黄色なのは太陽の光を受けたから。他のキャラの色もそれぞれ理由がある。
・2は、企画当時、任天堂とソニーがCDをメディアにした新しいハードを出すという話があり、それ用に開発していた。
・開発段階でキャラデザを鳥山明さんに依頼していた。
・が、いくら待っても新しいハードの話が進まず、結局SFCで出した。
・鳥山明さんの要素は、クロノ・トリガーに引き継がれた。
・2, 3がマルチプレイに対応しているのは、家族で楽しめるようにするため。
・LOMのシステムが2, 3からガラリと変わったのは、石井さんが同じもの(似たようなもの)を作りたくなかったから。

などなど、これまで聞いたことのないこともポンポン飛び出していました。
どのトークも非常に興味深かったです。

■丁寧なつくりのパンフレット
当日物販で販売されたパンフレットが非常に読み応えのあるものになっていて、面白かったです。
曲目解説もあり、インタビュー記事も豊富。
しかも、内容がどれも濃かったです。
巻末にはシリーズ作品の紹介記事が掲載されていたのですが、ガラケー作品まで網羅。
すごく丁寧につくられているパンフレットでした。
これは、聖剣シリーズ好きは一読の価値があるのではないかと。

そういえば、シリーズ作品のうちスマホ作品は2年ほどでサービス終了しているものもあって、そこにそこはかとない切なさを感じました。
聖剣って、スマホはあんまりパッとしないよね。。。

■感想まとめ
選曲、編曲、演奏にトークと、どこを取っても満足した演奏会でした。
演奏会の時間は休憩時間(30分)を含めて2時間とやや短めでしたが、トークがあったためか、それほど短くは感じませんでした。
最後の最後に、イトケンさんの煽りによって半強制的に全員スタンディングオベーションになったのですが、それが苦にならないくらいの満足感でした。
イトケンさんも菊田さんも、カーテンコール時のテンションが妙に高く見えたけれど、きっと演奏を聴いて興奮されていたのだろうなぁ。うん、わかります。

というくらい満足度の高い演奏会だったので、これ1回で終わらせてしまうのは勿体ないと思います。
今回は平日開催ということもあって、来られなかった方も多かったと思うので、ぜひ土日に再演してほしいです。

4Gamerでは今後も「Music 4Gamer」として、ゲーム音楽のコンサートを開催していくそうです。
1つの作品(あるいは1つのシリーズ作品)をプロの奏者でがっつり演奏するということは、GAME SYMPHONY JAPANと似た路線になるのでしょうか。
ただ、演奏形式はオーケストラに限らないそうなので、そこで差別化を図っていくのかな。
何にせよ、今回の演奏会がとても熱くて満足したものだったので、今後の展開にも期待です。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと、印象に残った曲ごとの感想になります。

[GMEV] KINGDOM HEARTS Orchestra -World Tour-

3月10日, 11日に、アクションRPG「KINGDOM HEARTS」シリーズ(以下、KH)の公式オーケストラコンサート「KINGDOM HEARTS Orchestra -World Tour-」の東京公演が開催されました。
そのうち、10日の公演に行ってきたので、その感想を記します。

会場は、東京国際フォーラム ホールA。
指揮は和田薫氏、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団+コーラス隊。
開演は19:00で、終演は21:30頃でした。

■シリーズ初の公式オーケストラコンサート
自分のシリーズ作品プレイ歴は、1(オリジナル版)、「チェインオブメモリーズ」(CoM)、2(FINAL MIX版)、「Birth by Sleep」(BbS)のみ。
それと、ブラウザ用ゲームとして展開されていたχ(アンチェインではない方)をプレイしていた時期があります。
ただ、世界観が複雑過ぎて、ストーリーや人物関係は把握できていません。

とはいえ曲は好きで、OSTは聴き込んでいます。
未プレイの「ドリームドロップディスタンス」(3D)のOSTも持っていますし、HD ReMIX版のサントラBOXも購入しました。
下村陽子さんのアルバム「drammatica」と「memoria」も、当然押さえています。

それくらいのKHサウンド好きなので、今回のオーケストラコンサートは待ちに待ったものでした。
昨年の吹奏楽コンサート(First Breath)にも行きましたが、やはりKHはオーケストラで聴いてみたかったです。
開催されるという一報を聞いてチケット争奪戦への闘志を燃やし、なるべく確実にゲットするために平日金曜日公演の抽選予約に申し込みました。
そして無事にチケットをゲットできて、今回足を運んだ次第です。

■感涙必至の神曲揃い
昨年の吹奏楽コンサートのセットリストは、全体的に1, 2に偏っていたように思います。
今回のオーケストラコンサートは、吹奏楽コンサートよりもシリーズ作品から満遍なく選曲されていました。
比重はどうしても1, 2に偏りがちでしたが、それでも吹奏楽コンサートよりはその比重が小さくなっていました。
358/2やBbSの曲が、思っていた以上に多かったです。

ただ、3Dだけは影が薄かったです。
今回のコンサートにSIEも協力していたことから察するに、PSプラットフォームでリリースされていない作品だからでしょうか。

そんな数多あるKHサウンドの中から、選りすぐりの曲がセットリストに並んでいました。
右も左も神曲揃い。むしろ神曲しかない。
いや、使い古された神曲という言葉自体が生温く感じるくらいのセットリストでした。

そんなオールスターな曲が、今回オーケストラで生演奏されたわけです。
セットリストだけでなく、アレンジといい演奏といい、観客を本気で泣かせにきていました。
OSTですら軽く泣きかけてた曲は、オーケストラの生演奏では号泣必至です。
もし演奏中、目の前に机があって、音を出しても良かったなら、机に突っ伏してバンバン叩いてジタバタしていたと思います。
それくらい、感動的なセットリストとアレンジでした。

そんな感動に包まれていた人は、どうやら自分だけではなかったっぽく。
観客席のあちこちから、鼻をすする音が聴こえていました。
これは、泣いても仕方ないよね、うんわかる。
でも、演奏中に鼻すするときは、ティッシュを使うとかハンカチやタオルで鼻の辺りを覆うとか、なるべく音を出さない努力をして欲しかったな。

■原曲準拠もしくはオーケストレーション済み音源準拠のアレンジ
アレンジは、それほど強くなかったです。
そもそも原曲がオケっぽい曲なので、そのまま素直にオーケストラ演奏用に落とし込んだような感じでした。
また、既にオーケストレーション化して発表済みの曲(「drammatica」や「memoria」収録曲など)は、ほぼそのまま演奏されていました。
そのため、違和感はほぼ感じることはなかったです。
むしろ、「これをそのまま生オケで聴けるんだ・・・(感動)」と感じたことの方が多かったです。

今回オーケストラでの演奏を聴いて、KHサウンドとオケの相性はやっぱり最高だなと実感しました。
ものすごく相性が良いです。
あまりに相性が良いので、なんでこれまでオーケストラコンサートが開催されなかったのか、不思議に思ったくらいです。

■演奏以外の驚きの展開
演奏会中のMCは、KHシリーズの作曲を担当されている下村陽子さんご本人。
・・・・・・え、何されてるんですか、下村さん。
と、下村さんが登場されておもむろにMCを始めたときに、思わず目が点になりました。
下村さんは招待される立場なのでは?
もしかして、下村さんご本人の希望だったのでしょうか?
などなど、色々考えもしましたが、真相は何だったのでしょう?

曲名紹介などは大体映像が担当していたので、MC自体は本編1回、アンコール前に1回の計2回。
それだけだったから、下村さんが担当されていたのでしょうか。

また、驚きの展開といえば、休憩時間の終了間際にディレクターの野村哲也氏のアナウンスが流れたこと。
主に、近日リリース予定の「Union χ」(ユニオンクロス)の告知でした。
PVも先行公開され、あちこちから歓喜の声が沸き起こっていました。
※PVが一般公開されたのは、このときに公開された後だそうです。

追加情報として、KH3は鋭意制作中で、このWorld Tourのどこかの公演で発売日を発表するとのこと。
ということは、最終の大阪公演までには発表されるということですね。
お、もうすぐ情報解禁か・・・と一瞬思いましたけれど、大阪公演って7月じゃん! 最長であと4ヶ月待たされるってことじゃん!
まぁ、これまでさんざん待たされてきたので、4ヶ月なんてあっという間だと思いますが。

ちなみに、この休憩時間のアナウンスは、10日公演だけのものだそうです。

■不満点もないわけではなく
そんなこんなで、選曲やアレンジはとても素晴らしいコンサートだったのですが、不満点もないわけではありません。
国際フォーラム ホールAでのゲーム音楽コンサートではもはや恒例とも言えるスピーカーのノイズは、今回のコンサートでもやはり気になりました。
ホールがキャパ約5,000と巨大な空間で、曲の性質上ピアノやハープの音色を強調したい時があるから、スピーカーの使用自体は仕方ないと思います。
が、あのノイズはどうにかならないものでしょうか。
激しい曲であればノイズが掻き消されるので気にならないのですが、静かな曲ではノイズの方が勝ってしまうこともあって、その点は残念でした。
機材やケーブルの特性上、どうしようもないことなのかな。

あと、曲の余韻をもう少し長めに取って欲しかったです。
最後の一音が鳴った後に余韻に浸る間もなくスパンと指揮の手を下ろすことが多くて、余韻とは・・・と思ったことがしばしば。
勇ましい曲や激しい曲であれば百歩譲って許容範囲内ですが、感動する曲はもっとじっくり余韻を味わいたかったです。
あ、フライング拍手は問題外だと思っています。

■映像は必要か?
話は今回のコンサートから少々外れるのですが、先日Twitterで「ゲーム音楽の演奏会に映像欲しい?」というようなアンケートが流れてきました。
その結果「場合によっては欲しい」が最多数、次点が「ぜひ欲しい」でした。
映像が欲しいという人が多数派なんだなぁ、としみじみ思ったことが、今でも記憶に残っています。

ちなみに、自分は映像不要派。
理由は、映像が流れると視覚に脳のリソースを取られて、聴覚が疎かになるから。
せっかくの演奏会なのに、音を感じ取る聴覚が疎かになるなんて、勿体ないじゃないですか。
映像に含まれる情報量が少なければ問題ないのですが、ゲーム画面のような情報量の多い映像だったらむしろ邪魔だと感じています。

そういうわけで、映像演出にあまり良い印象を持っていないのですが、今回はそれとは少し角度の異なる理由で、映像演出に対する印象が悪化しました。
そもそもの発端は、演奏が合わなくて音が不揃いになり、不快に感じたところが数えきれないくらいあったこと。
東京フィルらしからぬミス乱発で、らしくないなぁと思っていました。
が、第2部あたりでその理由が分かったような気がしました。

まず最初に気付いたのは、指揮の乱れでした。
リズムや指示が解りにくいというか、なんだかよく乱れていたのです。
で、よく見たら、どうも演奏中にヘッドホンを付けていた模様。
スピーカーから流れていたものと同じものを聴いていたのではないかと思います。
その時点で、そりゃ音が乱れるな、と納得しました。
楽器から直接聴こえてくる音とスピーカーから流れる音が完全同期するはずはなく、ケーブルや機材を経由している分、どうしてもスピーカーから流れる音の方が遅くなります。
演奏者側は楽器から発せられた音を聴きつつ指揮に合わせて演奏していると思うので、そこで楽器の音と指揮のタイミングにズレが生じ、混乱を招いた結果が音の乱れだったように思いました。

それならば、なぜヘッドホンを着用していたのかと言えば、これは憶測なのですが、映像と完全に同期させるためではないかと。
指揮台の足元にもモニターがあって、そこに正面スクリーンに投影されているものと同じ映像が流れていたようで、どうしても映像と同期させた演奏をしたいという企画側の意図が見えました。
ひょっとしたら、指揮者が着用したヘッドホンからは、映像と同期させるための外部からの細かい指示も含まれていたかもしれません。
それもあって、指揮が乱れてしまうことがあったのではないかと。

結局のところ、演奏と映像の主従が逆転してしまい、映像に引っ張られる形で演奏が乱れてしまっていたように思います。
だったら、演奏会に映像は要らないです。
演奏会なのだから、まずは音を最優先で大事にして欲しいです。

なんだか、映像に関する制約が強過ぎて、鑑賞していて楽団の方々や指揮の和田氏が可哀そうでなりませんでした。
もっと自由にのびのびと演奏してほしかったです。
少なくとも、今回の音の乱れに関しては、演奏者と指揮に非はないという結論に達しています。

■物販は長蛇の列
話は変わって、物販について。
コンサート恒例の物販は、やはり長蛇の列ができていました。
物販開始1時間前に列に並んで、買い終えたのはそれから2時間半後。
先頭に並んでいた方は、一体何時から並んでいたのだろう。

物販商品は大量に用意されていたらしく、自分が買った時点ではまだ品切れはありませんでした。
というか、商品が大量にあり過ぎていて、物販会場となったD1ホールが倉庫のようになっていました。
ホールの面影がまるでなくなっていて、それはそれで珍しいものを見た気分になりました。

もし品切れしていたとしても、通販による受注を受け付けていたので、今すぐ欲しい!というものでなければ確実に手に入れることができたようです。
受注受付期間は短いですが、せっかく並んだのに入手できないということが無くなるので、これは良い対応だと思いました。

ちなみに、会場限定発売されたアルバムは、今回演奏された曲が全て収録されているわけではありません。
アンコールを含めて6曲ほど未収録なので、そこは注意が必要です。

■感想まとめ
演奏と映像については不満を爆発させてしまいましたが、コンサートが終わって少し時間が経過した今になって振り返ってみると、良かったという思い出しか浮かんでこないです。
音だけで涙ぐんだり高揚したりと感情を揺さぶられながら、結局のところなんだかんだで楽しんでいたのだと思います。
KHはオケと相性の良い素晴らしい楽曲ばかりなので、ぜひ今後もコンサートを開催してほしいです。
さしあたって、KH3が発売されたタイミングでいかがでしょうか。


これより下の追記は、今回の演奏会のセットリストと印象に残った曲ごとの感想になります。